本格的な冬の到来で注意しなければいけないのが、転倒などによる “骨折“です。
その中でも特に高齢者にとって注意が必要なのが、生活する中で気付かないうちに骨折してしまうという 「隠れ骨折」(=圧迫骨折)。
“いつの間にか骨折“とも呼ばれ、骨折しているにも関わらずつらい痛みを伴わないといいます。
身体がこわばり、転倒などで骨折のリスクが増える寒い冬には要注意だといいます。
腰痛・腰曲がり治療のスペシャリスト、テーラーメイドバックペインクリニック・松平浩院長に解説していただきました。
背中や腰の“違和感”「隠れ骨折」かも?
テーラーメイドバックペインクリニック 松平浩院長:
(隠れ骨折は)腰あたりの張りとか疲労ぐらいは出るんですけど、あまりつらい痛みが出ないのが特徴です。
一方で、朝起き上がるときとか寝返りを打つときに少しでも背中か腰の痛みを感じられたら要注意です。
具体的なケースを見ていきます。
隠れ骨折のケース①
高齢の女性が棚の上にある荷物を取るため背伸びをしました。そのときはぎっくり腰に似た違和感が腰の辺りにあるというだけで特段生活に支障はなかったのですが…
1~2週間後、その違和感が痛みに変わり病院に行ったところ「隠れ骨折」と診断されました。
隠れ骨折のケース②
高齢の女性が送迎の車に乗ったとき、腰をかがめながら座った際にお尻から腰にかけて違和感を覚えました。立つ際も同様に違和感がありましたが、疲れているだけだと放置。
1~2週間後、違和感が痛みに変わり病院に行くと「隠れ骨折」と診断されました。
連鎖骨折に要注意
背骨を骨折して気づかずに放置すると、周りの骨に負担がかかり次々と “連鎖骨折”してしまうことがあります。
少なくとも5カ所骨折してしまった患者のX線写真を見ると、連鎖骨折したことで背骨が曲がり腰曲がりの状態になってしまっていることが分かります。
テーラーメイドバックペインクリニック 松平浩院長:
曲がっていくとまたつぶれる力が加わるので、“ドミノ骨折”とも言うんですけども、そういった形でどんどん腰曲がりが進んできてしまうと歩くスピードが落ちて健康寿命にも影響してくるといいます。
隠れ骨折の原因
隠れ骨折の原因は「骨粗しょう症」です。
骨粗しょう症は、骨量(骨密度)が減り、骨がもろくなる病気ですが、骨粗しょう症になると、くしゃみ、椅子に座る、洗濯物を干す、尻もちといったちょっとしたことで骨折してしまう場合もあります。
テーラーメイドバックペインクリニック 松平浩院長:
特に、前の方向にいく動作が危ないです。
若い方だといわゆる「ぎっくり腰」で済むんですけども、骨粗しょう症がベースにあると、ぎっくり腰が隠れ骨折だったという可能性が70代以上の方は多いです。
岩田明子氏:
私いまくしゃみをすごくしていて…くしゃみをするたびにドキドキするんですよ、腰にグキってくるので。ぎっくり腰何回もやってるので本当に気をつけながらくしゃみをしているんですけれども、危ないですよね。
テーラーメイドバックペインクリニック 松平浩院長:
くしゃみをするときに手をつくとリスクがずいぶん減らせます。手をつく場所がなかったら膝に手をついてもいいです。
隠れ骨折に気づくには?
① 身長の低下
20歳ごろの身長を基準として、-2㎝以下だと注意、-4㎝以下だと隠れ骨折の疑いがあります。
②体重と年齢
骨粗しょう症のリスクの計算式 (体重-年齢)×0.2
年齢60歳 体重55kgの例:(55-60)=-5×0.2=-1
-1以下の場合は要注意です。
③壁チェック
壁に背を向けて立ち、背中とかかとを付けた際、後頭部が壁に付かない人は要注意です。
渡辺和洋アナウンサー:
この3つのチェックのうち1つでも当てはまる人は早く診てもらった方がいいですか?
テーラーメイドバックペインクリニック 松平浩院長:
まず骨密度の検査をして自分の骨密度具合をチェックしてもらうこと。特に糖尿病とか腎臓の機能が悪い方というのは骨の質も悪くなってしまうので、違和感を覚えたらまず骨密度の検査をすれば診断がついて予防できるお薬の治療ができますので、そのようにしていただけたらいいかなと思います。
隠れ骨折の予防方法
「食事」と「運動」の2つが重要です。まずは食事、筋肉を強くすることと骨の質を上げるということ。
テーラーメイドバックペインクリニック 松平浩院長:
日本人はビタミンDが不足しているため、動物由来のビタミンD(サンマ、サケ、イワシ、卵黄など)で背筋を強化し正しい姿勢を取れるようにする。
さらに日光を浴びてビタミンDを生成すること、手のひらだけでもいいです。
そして、椅子ひとつあれば誰でも簡単にできる運動が2つあります。
それぞれ1日10回、週5回程度行ってください。
①背中反らし
足を少し開いた正しい姿勢で椅子に座り、手を頭の後ろに回して背中を反らします。
1回だいたい6カウントくらいの秒数で行うといいといいます。
②背筋エクササイズ
椅子と背中の間にクッションなどを置き背中で押します。
テーラーメイドバックペインクリニック 松平浩院長:
アクティブシニアの方は胸の前で手をクロスしていただいて、足を組みます。そして、顎を引いていただいて、しっかり背中で押します。
実際に、数年前に圧迫骨折をした70代女性はどんどん腰が曲がってしまい腰の曲がりを止めることができなかったそうですが、治療を受けながら予防運動を続けて、3カ月後くらいにテニスができるようになるまで回復したそうです。
テーラーメイドバックペインクリニック 松平浩院長:
背中の筋肉を鍛えることによって骨にもいいし骨折予防にもつながります。
あおむけで真っすぐになる方は、完全には伸びませんけど諦めないでいただけたらと思います。
(『めざまし8』2024年12月19日放送より)
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