2024年日本民間放送連盟賞で、関西テレビの4番組が受賞。番組部門で4番組同時受賞するのは関西テレビ初のこととなります。
テレビドラマ:最優秀賞
『春になったら』
テレビバラエティ:優秀賞
『知らないのは主役だけ』
テレビ報道:優秀賞
『引き裂かれる家族 検証・揺さぶられっ子症候群』
特別表彰部門 放送と公共性:最優秀賞
『14年にわたる関西地区のハンセン病問題報道』
番組部門 テレビドラマ:最優秀賞
『春になったら』
【審査講評】
『3ヵ月後に結婚する娘」と「3ヵ月後に病で世を去る父」を1クール=3ヵ月という連続ドラマの特性を活かし、リアルタイムで見せるホームドラマ。物語は2024年の元旦、3ヵ月後の結婚と、3ヵ月の余命を娘と父がそれぞれ同時に発表することから展開していく。互いの幸せを願うからこその衝突などを軽やかに描きながら、春になれば訪れる、父娘の“はじまりと終わり”を題材とした。
見事な脚本、丁寧な演出、そして俳優陣のナチュラルな演技などによって、死を単に悲しいものとして捉えるのではなく、生命のサイクルとして清々しく描いている。笑いあり、涙ありの温かく豊かなドラマであり、人生の機微や日常の尊さを見いだすことのできる血の通った番組として高い評価を受けた。
<岡光寛子(プロデューサー)コメント>
昨今、さまざまなエンタメコンテンツがあるなか、テレビドラマの価値を信じ、家族という普遍的なテーマを1クール<3ヵ月>という時間で描いた作品です。ただ消費されるのではなく、視聴者とともに生きたいと願って制作した、決して派手さはない「日常」の機微を切り取ったオリジナルのホームドラマが、このような評価をいただけたこと、大変うれしく、今後のドラマ制作の希望になりました。
奈緒さん、木梨憲武さんをはじめとする誠実で愛情たっぷりのキャスト、熱意を持ってともに戦ってきた信頼するスタッフ、そして『春になったら』をここまで連れてきてくださった視聴者のみなさまに、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
番組部門 テレビバラエティ:優秀賞
『知らないのは主役だけ』
【審査講評】
“何も知らない主役”の日常を2ヵ月間隠しカメラで撮影して紡ぐリアルとフィクションが混在した新感覚ドラマ。今回、知らないうちに主役に抜擢されたのは、お笑い芸人の錦鯉・長谷川。先が読めない、演技を超えた究極のリアリティショーとなっていく。ドッキリとドラマの融合というコンセプトが斬新で、今までになかった画期的なバラエティ。キャスティングもハマっており、コンビ愛をテーマに笑いと感動に包まれる。
<近藤匡(プロデューサー)コメント>
もしも今、自分の周りに広がる何気ない日常が、すべて脚本通りの世界だったら…。そんな突拍子もない酒井ディレクターの発想から生まれた番組です。それなら、「ドラマ」と「ドッキリ」をかけ合わせて、見ている人すらも「これはどっちなの?」と混乱させる映像を作ろうと始まりました。
カメラ91台、撮影期間2ヵ月。隠しカメラが捉えるドキュメンタリーのような主役の日常と、カット割りされた別撮りのドラマカットを融合させた、まさにスタッフの血と汗がにじむ映像です。
何も知らずに2ヵ月間隠し撮りをされていた錦鯉・長谷川さん、すべてを知って2ヵ月間も脚本の中の登場人物を演じてくれた錦鯉・渡辺さん、そして、このとんでもない企画に賛同し出演してくださったすべてのキャストのみなさま、この突拍子もない企画を面白がって関わってくださった撮影スタッフと美術スタッフのみなさま、すべてのみなさまに感謝しています。
そんなキャストとスタッフみんなの全身全霊をかけた番組が評価されたこと、本当にうれしく思っています。これからも遊び心でパンパンに膨らんだ番組を作り続けたいと思います。
番組部門 テレビ報道:優秀賞
『ザ・ドキュメント 引き裂かれる家族 検証・揺さぶられっ子症候群』
【審査講評】
乳児が激しく揺さぶられることで硬膜下血腫などを引き起こす「揺さぶられっ子症候群」(SBS)。2010年代に入り、大阪を中心にSBS事件での逮捕・起訴が急増していた。生後間もない長男を激しく揺さぶって虐待したと疑われた父親とその家族を5年半にわたって取材している。冤罪によって引き裂かれた家族の苦しみがよく描かれている。現状を伝えることで将来における同様の被害を防ぎたいという制作意図も明確で完成度が高い。
<上田大輔ディレクター コメント>
虐待冤罪を生む構造は、まだ残っていると感じています。今回の受賞を励みにして、さらに取材を続けていきたいと思います。
特別表彰部門 放送と公共性:最優秀賞
『14年にわたる関西地区のハンセン病問題報道』
【審査講評】
関西テレビ放送は、ハンセン病問題を2010年から継続して取材し、隔離政策に翻弄されたハンセン病元患者とその家族への取材を通じ、隠さなければならない社会を変えるため、報道を続けている。
先輩から志を受け継いで取材を続ける記者が、ハンセン病元患者の心や人生に寄り添い、試行錯誤しながらも取材対象者に正面から向き合う姿勢に、他人事で終わらせないという取材者の意思が感じられた。
集団訴訟を経て表面的には問題が解決した後も、長らく家族との関係を断っていた元患者のリアリティを追い続け、問題は続いていることに焦点をあてた報道が評価された。
<押川真理(記者)コメント>
「ハンセン病問題は今も続いている」。 柴谷記者が長年、本中カメラマンと続けてきた取材に自分が加わり痛感したことです。
「過去を隠さなければならない」「法律が変わっても家族と会えない」この悲しさと理不尽さに触れた一人として、責任をもって取材を続けていきたいと思います。
元患者の方とご家族が、気兼ねなく会える社会になることを、心から願っています。
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