最近、元警察官のコメンテーターがニュースや情報番組のスタジオで解説している姿を目にするが、こちらのイケメン元刑事をご存知の方は多いのではないだろうか?
3月1日(日)20時〜放送のフジテレビ系『逮捕の瞬間!警察24時 消えた犯人&謎の通報者を完全追跡SP』に出演する、元埼玉県警の刑事の佐々木成三さん(43)だ。佐々木さんは殺人や強盗などの凶悪犯罪を担当する捜査一課に10年所属し、ネットなどを使ったデジタル犯罪捜査のプロフェッショナルでもある。
今回フジテレビュー!!は、佐々木さんに単独インタビュー。もしあなたが事件を目撃したら…犯人のここを見よ!というポイントから、佐々木さん自身がなぜ警察を辞めて、メディアで語る立場を選んだのか?へえー!が満載の取材となった。
――刑事を密着する番組に出演した感想は?
佐々木:元刑事として、『警察24時』シリーズに出させていただけるのは本当にありがたいです。現役の警察官も「かっこいいなー」と言いながら見ている憧れの番組ですので。
女性の刑事は「犯人を許さない!」という思いが強い
佐々木:私が特に注目したのが、女性刑事が活躍するVTRです。最近の警察には、女性の刑事を登用し業務を拡大していこうという動きがあり、女性だけの鑑識チームがいたり、女性の所属長が生まれたり。女性にしか気づかないポイントも多いですし、女性の方が「犯人を許さない!」という気持ちが強い傾向がありますね。私が知っている女性の鑑識は金庫の外ではなく内側から犯人のわずかな血痕を見つけ、強盗殺人犯を捕まえたんですよ。犯人が金庫にどうやって触れたのか、粘り強く徹底的に洗っていました。
――佐々木さんはなぜ刑事になろうと?
佐々木:小学校4年生の時、高校野球の決勝戦を見に行った帰りにスタンドにバッグが落ちていたんです。まず「持ち主を調べなきゃ」とバッグの中身を確認したら、中高年のおじさんが帰ってきて「てめぇ、このやろう」と怒鳴られました。父親が頭を下げてくれて、私は迷惑をかけてしまったな、と泣いてしまって…。
でも5歳離れた兄の「お前は悪くないんだよな」の言葉に救われました。確かに間違いをする人っているだろうな、って子供ながらに感じたんです、犯罪者にやったのか?やらなかったのか?ではなく、どうしてこのようなことをしたのか?が聞ける刑事に憧れたんですね。
少年時代 良かれと思ってバッグの中を確認も…父親に頭を下げさせ涙
――捜査一課での経験を踏まえ、今回の番組のスタジオで、事件の目撃情報について解説いただきましたが、意外とあいまいなことにびっくりしました。
佐々木:そうなんです。日本人は良い方が多く、協力しようと頑張ってくれるんです。実はそんなに確かな記憶でなくても「白っぽいズボンを履いていました」とか。有力な情報ではありますが、警察はその言葉を鵜呑みにできないので「どうして白っぽく見えたのでしょうか?夜なのに?」など質問も工夫し聞いていきます。もちろん根拠が必要なので、カメラに映る画像などを探し照らし合わせていきます。
目撃情報は意外とあいまい!犯人が○○に似ている、も大事なポイント
――もし犯人を目撃したら、ここを見て!というポイントは?
佐々木:スタジオでも解説がありますが、身体的な特徴を見てほしいです。ほくろがどこにあった、傷があった、前歯がなかった、耳が大きかった、とか。犯人が変装して変えにくいところですね。あとは、芸能人の誰に似ていた、もいいですよ。刑事が「どうして?」と聞くと、実はファンだから似ているのは間違いない、って言う方も。刑事の“聞く技術”がないとそういう情報は取れないですね。
犯罪が生まれない環境を目指し、刑事を辞めた
――佐々木さんがメディアで発言していくことの意味は?
佐々木:刑事をやめた理由のひとつは、“犯罪を取締る側”から“犯罪を生まない環境を作る側”に、ということなんです。事件捜査は休みがない日が続いたりしましたが、犯人を逮捕するという強い意志がありましたので身体的精神的な辛さは感じませんでした。でも被害者やご遺族と接することは本当に辛くて。
佐々木:ほんのちょっとのきっかけがあれば、事件が生まれなかったのでは?事件の起きる前に犯人が思いとどまるような“きっかけ”を作れないかと思い、講演・ワークショップをするようになりました。私のことを知ってもらうためにも、メディアで発言することは意味があると思っています。今では警察官に向けて講演もします。また先日はある会社の幹部から「中高年の固定観念をぶっ壊してくれ」と言われたこともあります。
番組では、佐々木さんが刑事時代に実際に体験した「驚きの逮捕の瞬間」がVTRで流れる他、スタジオ出演者たちの“犯人の目撃力”を、ある手法でテストしていく。これは佐々木さんがよく講演で行うもので、今回そのアイディアが取り入れられたという。視聴者はその仕掛けに気付くことができるのか?
日曜日の夜、刑事たちのリアルな奮闘ぶりと共に家族で楽しく学べるスタジオ展開に注目したい!
佐々木成三(ささき・なるみ)
1976年生まれ。岩手県出身。元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課の警部補。巡査部長5年、警部補5年の計10年間を勤務。デジタル捜査班の班長として、デジタルフォレンジック(デジタル証拠)の押収解析を専門とし埼玉県警察における重要事件(捜査本部)において、携帯電話の精査各種ログの解析を行なっていた。
最新の著書に「あなたのスマホがとにかく危ない」(祥伝社 刊)がある。