<富田靖子&松下由樹 コメント>
――デビュー作「アイコ十六歳」は、どんな撮影でしたか?
松下:(芝居を)知らないので、思ったまんま。合宿みたいなのはありましたね。
富田:稽古合宿はありましたけど、役が決まって1ヵ月くらいで撮影に入っているので…。
松下:夏休みの時だけ撮影期間だったので、全国から来た中学生、高校生で現場は埋め尽くされていました。クラスメイトは全員、オーディションで受かっている子たちで先生だけがプロの役者さん。それ以外は、経験のない初めての人たちばっかりでした。地方の子たちは、靖子もそうだけど、ホテル泊まりになっているし、そういうのところも大変だったと思います。
富田:そのときに、初めてファミリーレストランのハンバーグを食べました。毎日、外食っていうのが「うわ〜、すっごい」って思っていました。
松下:ホテルのラウンジで、クリームソーダを飲んだの覚えてる?
富田:あ〜〜!覚えてる覚えてる!!「あっ、これがクリームソーダですか!」っていうの?そんな感じでした。
松下:お互いに中学生で、クリームソーダ(笑)。
富田:もちろん、自動販売機のクリームソーダは飲んだことはあっても、喫茶店みたいな、ホテルのラウンジの素敵なクリームソーダは、そのとき初めてだったので。
松下:靖子って、「アイコ十六歳」のとき、映画に出たくてオーディションを受けたの?
富田:私の場合、親は行かせるつもりはなかったらしいです。これが将来への道筋になるなんて思ってもいなかったので、行かせていいのかどうか、やらせていいのかどうかっていうのはすごく考えたみたいです。だけど、本人が行く気満々だったので、止めることができなかったみたい。
松下:靖子は、行く気満々だったんだ。
富田:行く気満々!薬師丸ひろ子さんになりたかったから。
松下:え〜、そういう印象じゃなかった、私。
富田:由樹は?
松下:私はもうやりたかったから、東京に出ていくことは躊躇(ちゅうちょ)なかった。なんか靖子の印象は、本人が躊躇しながら来ているという印象があったかな。
富田:当時、芝居が好きなだけでは終わらないこともいっぱいあったからね。主役だからしっかりやってねと言われることが最初はうれしかったんですが、だんだん息苦しくなってきて、福岡から一人で出てきた孤独感もあったので、もしかしたらそういうふうに見えていたのかもしれない。そこらへんの葛藤は、撮影の後半くらいから、自分の中で気持ちをどう処理していいのか、わからなくなっていたというのはあります。
――デビュー作から40年ぶりとなる共演。お互いの印象は?
松下:靖子は変わっていなかった。
富田:由樹も。
2人:(爆笑)
松下:変わってないと思う?やっぱり。
富田:うん、うん。もっとフワフワする感じがあるかなと思ったら、普通にセリフを言って、普通に終わっていった。
松下:話し方から、普段の雰囲気とかまで「あれ?全然変わっていないな」っていう。
富田:40年も経ったのにね〜。
松下:私もそういう感じ。やっぱりそうなんだね〜。
富田:根っこは変わらないのね〜っていう感じ。
――今後、こんな役をやりたいというのはありますか?
松下:明るい作品に出たいなと思います。明るい作品は、パワーをもらえるし元気になれるから。今回の『おっパン』も元気をもらえる作品だから、すごくうれしいです。そういう思いもありながら、やっぱり年齢に相応しいに大人の作品というものにも、ちゃんと出られるような自分でいたいなと思います。だから、時代劇や現代劇など、作品の幅というものはあまり狭めないで、いくらでもできるみたいな、年齢を重ねていることをポジティブに変えていこうと思います(笑)。
富田:由樹と同じところは、やっぱり自分がエネルギーをもらえるような作品はずっと続けていきたいというところ。その先に、どんな出会いがあるのか楽しみにしているところはあります。この『おっパン』の先にどんな役が待っているのか考えるとちょっとワクワクします。でも、ちょっぴり女スパイはやってみたいかな。やっぱりケガも増えてきちゃって、体もあちこちガタが来ているので、体力があるうちに刑事ものとか、アクションものとか、ここ数年のうちにやっておかないとできなくなっちゃうというのはありますね。言葉より体を使う役を早めにやらなくちゃ、と思っています。
――富田さんの女スパイ、ぜひ見てみたいです!
富田:女スパイって、なんだよ(笑)!
松下:女スパイってなんだ(笑)!
富田:ちょっと今、「SPY×FAMILY」がマイブームで来ているので、ちょっとやってみたいですね(笑)。
(続く)
『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』第4話は、1月27日(土)23時40分より、東海テレビ・フジテレビ系で放送されます。