超本格的スパイス探求番組『スパイストラベラー』CS放送フジテレビNEXTで放送中。

番組では音楽業界きってのカレー好きとして知られる、Dragon Ashの櫻井誠とBiSHのセントチヒロ・チッチが、昨今のカレーブームをけん引する名店の数々を紹介していく。

今回2人が訪れたのは、福岡・中間。

櫻井:すごい所に来ましたね。

チッチ:駅があります。無人ですか?

櫻井:無人みたい。ここは、筑豊中間という駅らしいです。北九州よりもう少し南くらいのところです。

チッチ:はい。

櫻井:福岡の2軒目は、噂によると、こわい人。

チッチ:クセがありそうで、こわいのかな?

櫻井:かもしれない。でも、カレーは一流らしいですよ。

チッチ:楽しみですね。

櫻井:探しながら行ってみましょう。

櫻井:なんか地方感が出ていいね。ロケに来たって感じ。

チッチ:うん、来ましたね。福岡ですから。

櫻井:福岡って言っても福岡っぽくないところに来ましたけどね。

LEE:こんばんは。

今回も二人を案内してくれるのは、 “カレーおじさん \(^o^)/ ”こと、 AKINO LEE (アキノリー)。

2006年から毎日カレーを食べ続けているカレー偏愛家で、生涯で食べたカレーは15000食を超える。テレビや雑誌など様々なメディアでカレー情報を発信するカレーのプロだ。

LEE:遠路はるばるですね。福岡のなかでも、中心地から離れた場所です。今日はKALAさんです。

LEE:「不慣れな人には不味い店」なんですよ。

櫻井:あはは。

LEE:誰もがわかる、わかりやすいおいしさっていうのもあるし、いろいろな知識があって初めてわかるおいしさもあるじゃないですか。どちらかと言えば、後者のタイプ。

櫻井:なるほど。

LEE:もちろん、おいしいですよ。おいしいけれども、お値段が結構します。ただ知識があれば、むしろ安いだろうと思えるような料理を出してくれます。今日は勉強するつもりで、行きましょう。

いざ、「KALA」の店内へ

チッチ:最初に入ったときはおばけ屋敷みたいと思ったのですが、一歩お店の中に入ったら、バーカウンターがあって、おしゃれだと感じました。何もなかった場所にポツンと現れたかっこいい場所です。

「KALA」オーナーシェフにご挨拶!

LEE:KALAのオーナーシェフのボスです。

ボス:はじめまして。

櫻井・チッチ:よろしくお願いします。

LEE:こちらのお店は、ちょうど7周年なんですよね。

ボス:そうですね。

LEE:その前は、東京でもお店をやっていたのですよね。

ボス:このお店の前は、ここでサムギョプサルをやっていました。その前が、東京の目黒で7年ホルモン屋さんでした。

LEE:ホルモン屋さんとサムギョプサル屋さんをやって、次になぜこのスタイルになったのですか?

ボス:東京にいると、普通に食べられるじゃない。いっぱい料理もあって。目黒だと大使館もあるので。こっちに来ると、おうちカレーしかない。食べたくなってもお店がないので、自分で作るしかない。それで、やりだすと凝り性なので、とことんやっちゃう。今は、もう困ったなあと思ってますね(笑)。

「KALA」の魅力

LEE:基本的には、南インド料理とモダンインディアンのお店です。以前にもモダンインディアンは、スパイストラベラーで取り上げたのですけれども、さらに本式のモダンインディアンに近いです。コース仕立てで、インド料理と違う料理をかけあわせたイノベーティブフュージョンが魅力です。

ボス:客と店という関係は、どうやったら成り立つか。例えば、今日初めて来た客に対しての料理は何もない。誰かのために作った残り物とか、ある程度の人にウケるものなんです。だから、僕が開発するときに、顔を思い浮かべられるようになったときに初めて、店と客の関係が成立します。だから、僕の考えは「客上位」ではなくて、「店上位」です。

本日の料理 1品目「牡蠣のトーレン」

ボス:簡単に言うと、牡蠣のスパイス炒め蒸し。もともとの素材がしょっぱいので、いったん塩をぬぐいます。牡蠣が死んじゃうけれど、真水につけて塩を少し抜いてあげて、それから水切りをします。アサリバターの変形に近いです。

ボス:お待たせしました。

チッチ:わー。美しい!

櫻井:いただきましょう。

チッチ・LEE:いただきます。

チッチ:うーん、ぷりっぷり。

LEE:これは、もう完璧なアンティパストですね。食欲に火がついちゃう。

本日の料理 2品目「エビとホタテのエスニックパスタ」

ボス:タイ料理に近いです。日本人はパクチーが苦手な人も多いけれど、東南アジア、南アジアを含めて、パクチーが苦手なのは、実は日本人だけなんです。ひょっとしたらパクチーを嫌いな僕たちが異常ではないかということに気付かなければいけないと思ったんです。今日の料理には、パクチーは3段階で使ってます。火の入れ方が違って、すごく熱いオイルの中に入れたものと、麺とからめたものと、最後にトッピングしたもの。そこで、パクチーが柔らかくなっているという仕掛けがあります。

ボス:エビとホタテのエスニックパスタです。

LEE:エビとホタテ。豪華~。

チッチ:パクチーだ。

LEE:あまり得意ではないパクチー。どうでしょう。

チッチ:いただきます。

チッチ:うん!ボーノ。

LEE:おぉ、ボーノ出ました(笑)。

チッチ:パクチーが苦手なのを知っていて作ってもらったのですけど、本当においしい。パクチーの香りも残っているけど、苦手なところまでいかない・・・。香りは残して、おいしいのと混ざって、最高です。

櫻井:最初はちょっとナンプラーっぽい香りがするけど、噛んでいる途中でクミンが来ますね。

LEE:そうそう。クミンとパクチーが合うんですよね。

櫻井:何これ。

チッチ:不思議ですよね。

櫻井:ボス、すごい。

本日の料理 3品目「白甘鯛のポワレ」

ボス:白甘鯛に塩を打つときに、スプレーを使います。手で塩を打つとムラができるので、すごく濃い塩水のスプレーで塩を打って、その水分を飛ばすために、わざと冷蔵庫の中に入れます。ソースに関しては、フレンチに近いです。フレンチとインド料理の違いは、ベースにダシがないということ。インド料理には、スパイスという武器があるので、ダシは一切使っていません。

ボス:白甘鯛のポワレです。カリフラワーのソース。赤いのがラズベリーのアチャール。上に乗っているのは、カリフラワーのアチャール。その塩みをうまく利用して食べてください。緑は、ディルです。

チッチ:おしゃれ。

ボス:ソースは、フェンネル、ベイリーフ、そしてなんとランペを使っています。

櫻井・LEE:ランペ!

ボス:ランペのアロマチックな香りがします。まず、ソースを食べてみてください。「これ、食べたことない味だな」と思うはず。

LEE:言われるがままに。まずは、ソースをいただきます。

LEE:あぁ!おいしい。

LEE:そして、この皮目がカリカリなのが。

櫻井:最高ですね。身はやわらかい。

櫻井:いろいろな香りが、ずばーっと押し寄せてきますね。

チッチ:おいしいです。

ボス:良かった。

櫻井:「甘鯛自体も極力塩を使わずに調理しているから、ソースをたっぷりつけて食べてね」と言われたのですけど、逆にそれが甘鯛の甘みとかをすごく引き立てています。そういう調理法を大切にしているボスが、すてきだなと思います。

本日の料理 4品目「バナナリーフミールス」

ボス:ミールスは、1日4億人が食べている、インドの昼飯です。いろいろなランクがあるけれど、うちの場合は、ホテルスタイルよりもう少し上かな。

ボス:説明しよう。サンバル、ダール、パイナップルのカーラン。カボチャのクートゥー、レモンジンジャーラッサム。カード(ヨーグルト)、ポンニライス、カレーリーフライス、レモンセヴァイ。

ボス:アチャール3種で、アボカド、パプリカ、レモン。

ボス:ニンジンのトーレン、ほうれん草と春菊のナムル、キャベツのトーレン。

ボス:チャトニ3種で、ココナッツ、ミント、トマト。

ボス:まずは、ダールを味見してみましょう。どう感じるか。

チッチ:やさしい味。

櫻井:おいしい。

LEE:豆の滋味が。

ボス:次に、レモンジンジャーラッサムをグっといってみてください。今日の仕上がりはどうだ。

チッチ:グっと。

LEE:うまい。

櫻井:辛い。

LEE:辛みと酸味が結構あるから。

チッチ:辛くて、ちょっとパクチーっぽい感じがします。

ボス:あとは、ライスの上に数種類のおかずをかけて、混ぜてください。両端のアチャール3種、チャトニ3種は、しょっぱいゾーン。一番しょっぱいのは、アチャール3種。これが加わることで、隠れていた味が前に出ます。だから、しょぱいものとしょっぱいものを混ぜると大失敗。薄い味のものと薄い味のものを混ぜても、あまり味が前に出てこないので、この両サイドをうまく使ってください。

櫻井:うまい。

チッチ:おいしい。

ボス:二度と会うことのない組み合わせになります。これがミールスの楽しみ方。

櫻井:ここまでの点数があるミールスを食べたのは初めて。ボスの味付けの潔さの美学が感じられました。味付けや狙いを食べ手に委ねられている料理です。

櫻井・チッチ・LEE:おいしいお料理を、ごちそうさまでした!

【Spice&Dining KALA (カーラ)】
住所:福岡県中間市東中間1-3-7 Kタウン 1F
アクセス:筑豊中間駅より徒歩2分
電話:090-7159-3045
公式アカウント:https://www.facebook.com/KALAindia
営業時間:ランチタイム、ディナータイムともに完全予約制