“目の保養”となるようなイケメンを紹介する「眼福♡男子」Vol.54は、4月8日(木)スタートの新ドラマ『レンアイ漫画家』に出演する白石隼也が登場。
物語は、漫画一筋で恋愛下手な“レンアイ漫画家”刈部清一郎(鈴木亮平)と、“ダメ男ホイホイ”と呼ばれる崖っぷちアラサー女子・久遠あいこ(吉岡里帆)の、恋に不器用な二人を中心に描くハートフルコメディ。
そんな作品で白石は、清一郎の弟であいこの初恋の人、超がつくほど女好きでシングルファーザーという刈部純に扮し、“モテ男”の魅力を遺憾なく発揮する。
亮平さんの「弟役が隼也でよかった」という言葉が励みに
――少女漫画原作の作品に出演するのはフジテレビ『グッドモーニング・コール』(2016~2017)以来ですね。
少女漫画って清廉潔白な男子が登場する、男にとってはちょっと迷惑なものだと考えていたんですけど(笑)、「グッドモーニング・コール」を読んでキュンキュンした思い出があるので、今回も楽しみにしています。
――主人公の清一郎を演じる鈴木さんとは5年ぶりの共演なのだとか。
昔から知っている方ですし、以前にも兄弟役を演じた経験があるので、久しぶりに共演できることがうれしいです。
――白石さんからみて、鈴木さんはどんな方ですか?
とても真面目でストイック。後輩に対して寛容で、大好きな先輩です。
――現場で何かお話をしましたか?
1話で、亮平さん演じる清一郎が純の姿を見て涙を流す場面があるんですけど、本番の後に亮平さんが「弟役が隼也でよかった」と言ってくださったんです。これまでも共演経験があるからそう言ってくれたと思うんですけど、その言葉はうれしかったですね。
――鈴木さんのように体が大きく、男らしい方が少女漫画を描くというギャップが作品の面白さでもあると思うのですが…。
面白い設定ですよね。でも、亮平さんってシャイでちょっと乙女チックな一面もあるので、意外とピッタリだと思いますよ。
――乙女チックな一面ですか!?
何て表現したらいいんだろう?繊細で、まわりのことをよく見ているけれど、意外とおっちょこちょいでたまにテンパってるところを目にすることがあります(笑)。
――そして、注目は白石さんが初めて父親を演じるということですね。父親らしさを出すためにどんなことを意識しましたか?
知人にちょうど純の息子・レン(岩田琉聖)と同年代の子どもがいて、ここ何年か一緒に過ごす時間も長かったので、子どもとの接し方みたいなものは心得ていました。
他にも、僕は昨年、短編映画を撮ったんですが、その作品にレンくんと同年代の子どもを3人キャスティングして、彼らとのリハーサルに長い時間をかけてお芝居をつくっていった経験があったので、いかに短い時間でレンくんの緊張をほどき、自然な笑顔を引き出すことができるかを意識していました。
――白石さんが主演した『仮面ライダーウィザード』を琉聖くんが見ていたと聞きました。
そうなんです。僕は人見知りをしてしまうので、すぐに仲良くなれないタイプなんですけど、琉聖くんのほうから「仮面ライダーウィザードが好きだった」と言ってくれて、仲良くなるきっかけをもらったのはありがたかったですね。
――純は「外交的で自然とまわりを明るくする雰囲気をもつ、グループの中心にいるような存在」という設定ですが、実際の白石さんとの共通点はありますか?
社交的な一面ももちろんありますが、そうなれない時のほうが多いので、純のように常に明るくいられる人はすごいなと思います。
――さらに、“超”がつくほど女性好きだそうですが…。
僕も昔はそうだったかもしれません(笑)。
――純はあいこの初恋の人で、高校時代に何度もアタックをされた過去がありますが、同じ女性から何度もアタックをされた経験はありますか?
うーん、どうだろう…。逆に、僕のほうから何度もアプローチをした経験はあります(笑)。
――ちなみに白石さんの初恋は?
幼稚園の同級生で、絵が上手な子でした。幼稚園児にしては大人っぽく、精神年齢が高くて、そういう部分に惹かれてたんじゃないかな。
――ドラマは、いきなり純の葬儀の場面から始まる衝撃の展開ですね。
変な感じでしたね。斎場のセットに入ったら僕の遺影が飾られていて、棺桶の中に入っていくという(苦笑)。とても不思議な気持ちでした。
――遺影を撮る時はどんな心境だったんですか?
普通に芝居をしている時の写真から、いい笑顔をしているカットを遺影として使ったそうなんですけど、記念写真は自分でも撮りました(笑)。
――では、作品のPRをお願いします。
一番見ていただきたいのは、亮平さんと吉岡里帆さんの掛け合いですね。吉岡さんがボケて、亮平さんがツッコんで、みたいになると思うんですけど、とにかく吉岡さんが可愛らしくて、そして、純の息子・レンくんも可愛い。癒やされるドラマになると思うので、家族やカップルでほんわか見てほしいです。
30歳になり、家族への考え方や見方に変化が表れた
――先ほども少し話していただきましたが、白石さんは昨年、短編映画「そそがれ」で監督・脚本に挑戦されました。苦労した点や大変だったことを聞かせてください。
俳優は雇われ仕事なので、誰かがつくったものを演じて表現することが主なんですが、いつかゼロからつくってみたいという思いが僕の中にずっとあったんです。やっとチャンスをいただけて、脚本も自分で書いたんですけど、すべてが自由にできるぶん、責任も伴ってきてかなりしんどかったです。
なおかつ、自主映画などではなく、はじめましてのプロデューサーさんと組まなければいけなくて、そういう方々をどう説得し、納得させながら、大多数の人が思い描くであろう正解を凌駕するだけの圧倒的な世界観を提示していかないと、事が進んでいかないという壁にもぶつかりました。途中、逃げ出しそうになることもありましたが、多くの人が励ましてくれ、協力者もいたので、自分がやりたい形にもっていくことができました。
そういうことは以前からちょこちょこやっていて、事前準備がいかに大切かということは身に沁みてわかっていましたし、現場でテンパることはできないので、撮影日は余裕をもって迎えようと準備だけは万端にしていました。
脚本を書き上げる“生みの苦しみ”みたいなものが終わってからはめちゃめちゃ楽しくて、こういうふうにお芝居をつくっていったらもっと俳優の力を引き出せるんじゃないかと実験的な楽しさも感じられたので、とてもいい経験になりました。
――いつか長編も撮ってみたいという思いはありますか?
予算と、より良い条件で撮ることがいかに難しいかということもわかっているので、そういうチャンスが来た時にモノにできるよう、準備はしておきたいです。
――撮ってみたいジャンルや興味があるジャンルについて聞かせてください。
“家族”ですね。最近、親父が少し体調を崩しまして、家族で集まることも多く、10年分はしゃべったんじゃないかというくらいたくさん会話をしたんです。その期間には3.11も含まれていて、10年前のその日、近くに友人も住んでいたんですけど、帰宅困難になってしまった僕を迎えに来てくれたのは親父で、こういう時に力になってくれるのは家族なんだなとヒシヒシ感じました。
30歳になり、家族に対する考え方や見方がだいぶ変わってきたので、そこに向き合ってみたいという思いがあります。
年齢を重ねても、若い頃と同じ熱量を燃やし続けるだけのエネルギーをもっていたい
――白石さんにとって“眼福”な存在は何ですか?
それこそ、両親が仲良くしている姿ですね。この1年で、友人の取捨選択みたいなものを強いられたじゃないですか。コロナの影響で会えなくなった人たちがいて、中にはまったく連絡をとらなかった人もいた。身近にいる人を大切にしなきゃという思いが自分の中でより強くなり、己の欲求よりまわりの幸せを考えるようになったんです。眼福という言葉にはちょっと当てはまらないかもしれませんが、両親の姿を見て安心することが増えましたね。
――それは年齢も大きく関係しているのでしょうか?
20代の頃は自分が大好きだったし、自分にしか興味がなかったんですよね。30代に入り、それにちょっと飽きてきたという感じでしょうか(笑)。
――30代をどんなふうに過ごしたいと考えていますか?
約10年間この仕事をしてきて、思い通りには全然進んでいない気がして、自分に失望しているところもあったんですけど、それでも僕に興味をもってくださる方がいたり、チャンスを与えてくださる方がいたりするので、そういう方たちの期待に応えたいという思いがあります。
表現をする仕事って常に考えて生み出していかないとできないし、何より圧倒的な情熱がないとやり通せないので、これから体力などが低下していく中、燃やし続けるだけのエネルギーが必要になってくる。年齢を重ねても、同じ熱量で発信し続けている先輩たちを見ると、尊敬の思いしかないんですけど、僕もその熱だけは持っていたいと強く思います。
コロナで幸せの価値観が変わった一方で、社会に対する目や他人に対する目は敏感に研ぎ澄ましていかないとどんどん薄れていってしまい、ただのハッピーな人間になってしまう。どこか鋭い目ももっていないと、なにか終わってしまう気もして。精神をすり減らすことなく、バランスをうまくとっていれば、面白いことができるのかなと。すごく抽象的な考えなんですけど…。
――今回、父親役を演じたように、今後の役柄にも変化が出てくるのでしょうね。
きっとそうですね。どこへ行っても「えーっ、30歳なの!?」って驚かれることがほとんどなので、どうしたらいいんだろう…(笑)。結婚して子どもができて、夜泣きで2日くらい眠れない日が続いたらそういう顔になるのかな(笑)。いつまでも若いのはいいことだけど、俳優としては大人の雰囲気が出せるように頑張りたいです。
撮影:河井彩美