毎回さまざまなジャンルで活躍するゲストが集い、多彩な話題や事象を取り上げていくフジテレビのトーク番組『ボクらの時代』。
4月11日(日)の放送は、日本のプロレス界をけん引してきた小橋建太、武藤敬司、蝶野正洋が登場し、付き人時代のエピソードや新人時代の失敗談、プロレスへの思いを語り合った。
小橋の招集に武藤「今、呼ぶとしたら長州力だよ(笑)」
今回の鼎談は、小橋の提案でこの3人が集まったというが…。
蝶野:何で俺ら2人を選んでくれたの?
武藤:今は、長州力だよ。呼ぶとしたら。
蝶野:わはははは!
小橋:だって、(長州は)世代的に上じゃないですか。
蝶野:武藤さんはもう、長州さんは絡みやすい?
武藤:絡みやすいよ。すげぇ丸くなってるもん。もう、キレないもん(笑)。
小橋が「この世代でやりたかったんです」と説明する3人は、同時期に全日本プロレス、新日本プロレスで活躍した同世代だ。
ジャイアント馬場さんのひと言で「全部洗い流された」(小橋)
3人が入門した当時のプロレス界は、ジャイアント馬場率いる全日本プロレスと、アントニオ猪木が率いる新日本プロレスが勢力を二分している時代。
武藤と蝶野は、1984年の同じ日に新日本プロレスに入門。小橋は、1987年に全日本プロレスに入門した。
入門後、ジャイアント馬場の付き人をしていた小橋が当時のエピソードを明かした。
蝶野:でもさ、靴とか服とか全部規格外じゃない?だから、普通のスーツケースに、たぶん入んないんだよね。
小橋:馬場さんのアタッシェケース、40キロぐらいあったんです。
蝶野:うわっ。
小橋:滑車が付いてるんですけど、転がしたら怒るんです。
武藤:え、何で!?
小橋:「プロレスラーがそんなもん転がすなっ」て。
武藤:うはははは!
武藤が「でも馬場さんの付き人してメリットもあったでしょ?」と聞くと、認めてもらえなかった下積みの日々を告白した。
小橋:僕の前についてた付き人の人を、馬場さんはすごいかわいがっていたんですよね。それで、部屋に挨拶に行ったんです。「今日から付き人になります。よろしくお願いします」って言ったら「誰が言ったんだ!」って。
蝶野:あら!怒られた?
小橋:「お前を付き人にするなんてひと言も言ってない!」「俺はお前を認めない。帰れ!」
蝶野:あら。
小橋:デビューするまで、ひと言も口きいてくれなかったですよ。
武藤:へぇ~!きついね、それは。
小橋:きつかったですよ。でも、デビューした日に「今日デビューできました。ありがとうございました」と言ったら、そのとき初めて「今日、ホテルの上で待ってるからな」って。レストランがあるんですけど。
蝶野:食事?
小橋:食事に誘っていただいて。
武藤:それはもう、一つのけじめだ、馬場さんの中でね。選手か、選手じゃないか、というところの。
小橋:そのときに初めて「ようがんばったな」って。ひと言、言ってくれたんです。
小橋は、「そのひと言で、全部洗い流された」と当時を振り返った。
長州力は「過去ではなく“今”を闘っている」
また、3人はバラエティ番組やドラマなどテレビに出演することについても言及。
武藤:この間、一緒にね、ドラマも出たじゃん。
蝶野:うん。
武藤:あんなもん、役者と比べられたら俺ら太刀打ちできないもんな。
蝶野:そうそうそう。
武藤:バラエティ出たって、タレントと比べられたら太刀打ちできないもんね。
蝶野:でもああいうところに出たときって、やっぱり「プロレスラーとして」っていう意地があるよね。
武藤:そうそう。
蝶野:プライドが。だからすごいなと思うのが、長州さんと天龍(源一郎)さん。プロレスのときのキャラを完全に断ち切ってさ。もう、イジられキャラを平気でやってる。あそこが、俺はすごいなと思う。
武藤:長州さんとか見てるとさ、「今」を闘ってるよな。
蝶野:そうそう。それは、あると思う。
武藤:「過去」じゃなくて「今」を闘ってるよ。
蝶野:新しいね。
武藤:新しいものにチャレンジしてる。
この話には小橋も大きくうなずき、「尊敬できる」(武藤)、「心掛けたい」(蝶野)と、先輩たちの姿勢に感銘を受けていた。
58歳にして王者に!失敗の方が美しく見える!?
58歳の今も現役プロレスラーを続けている武藤は、今年2月12日(金)に行われたGHCヘビー級タイトルマッチを振り返った。この試合で武藤は、王者・潮崎豪を撃破し戴冠。
この試合の解説を務めた小橋は、潮崎が自身の弟子であることから「ボクも複雑」と言いながらも「いい試合でした」とコメント。
武藤:側転エルボーとかさ。
蝶野:うん。
武藤:こっちは本当にやろうと思ってるんだよ。だけど、失敗したんだよ。
蝶野:足がつかなかったの?
武藤:膝がもたなかった。バーンと縦の衝撃だからさ。
蝶野:危ないよ、やめた方がいいよ。
武藤:だけど、その失敗の方が…。
蝶野:チャレンジした…。
武藤:その精神と、失敗の方が美しく見えるみたいな。試合の中でさ。
蝶野:それがわかったら、武藤さんは全部それで演出していくからね(笑)。
小橋:ああ~。
武藤:(笑)。
今後も「決めるところは決めていかないと」と話す武藤に、蝶野は「これからどういう試合の組み立てをするか楽しみ」と期待を寄せた。
プロレス以上に情熱が湧いてくるような仕事はなかなか見つからない
番組終盤には、武藤が「小橋、試合しようよ」とボソッと語りかけた。
小橋:いや、しないです、しないです。僕はもうプロレスは引退して、次のステージに。
武藤:何?何?次のステージって何?
小橋:まだ見えてないんです。それはもう、僕にとってのプロレスだったものが。
武藤:プロレスから離れるってこと?
小橋:いや、離れるという意味じゃなくて、何か大きな山じゃないですけど、大きなものがまだ見つかっていないんですけど。
蝶野:まぁ、そうだよな。
武藤:俺、それわかるんだよ。なんだかんだ生きてきてさ、プロレス以上に情熱が湧いてくるような仕事ってないもん。
「だから辞められない」と語る武藤。小橋、蝶野もプロレスを超えるものは「出てこないと思う」とうなずいた。