1年半にわたって藤原道長を演じて気づいたこととは?そして、長い撮影期間でのルーティンが生活に"ある変化"をもたらしたといいます。

「自分の若さに気づかされた」藤原道長を演じての気づきと自身の変化

――大河ドラマ『光る君へ』での藤原道長役も話題です。歴史上の人物を1年半にわたって演じて気づいたことや変化はありましたか?

自分の若さに気づかされました。大河ドラマって若いところから始まって年を重ねていくので、演じていくうえで“年齢”という問題が生じてきます。今回の大河に至っては、常にどこかキラキラしている青春のような時間があって、それを大切にしたいということもあり、「あまり老けさせずに」と考えていました。

それにしても、ある年齢を超えたら白髪が必要になるし、眉毛にも白いものが混じったりするし、ひげの端を長くしたりと一種の老けメイクが必要になる。体つきや姿勢、表情と声も気をつけるのですが、そうした時にどうしても自分の若さを感じました。

撮影:柄本佑

それはいいとか悪いということではなくて、「それを知れた」という感じです。うちの母がよく言っていた「四十、五十は洟(はな)垂れ小僧」(※渋沢栄一の名言)という言葉は本当なんだな、自分はまだまだ若いんだなって(笑)。

"年を取っていく"ということを自分なりに考えてみたりもしますが、昔の役者さんの"老けた"芝居を見ると、内容の厚みというか深さや人間的なものが断然違う。そう気づけたことも、今回の収穫だったなという感じがします。

撮影:柄本佑

――長期間にわたる撮影、オンとオフの切り替えはどのように?

月曜から金曜までが撮影、土日はお休みがほとんどデフォルトな撮影形態だったので、"花金"を楽しみにしていて、平日が終わったらすぐにビール!という(笑)。

僕はお酒が好きなので、本来ほぼ毎日飲むという生活なのですが、撮影期間に何かあったら困るので、今回初めて月曜から木曜まではまったく飲まずに、金曜の撮影終わりと土曜だけ飲んで、また日曜からは飲まないというルーティンにしました。週7日飲んでたのを週2にしてみたんです。金曜さえ終わればビールが飲める!という気持ちでがんばりました。

セルフシャッターで撮影する柄本佑

――そのルーティンにしてみていかがでしたか?

それが、わりと調子が良かったというか、決めたルールの中に入り込むというのは「どうやら嫌いじゃない」ということがわかりました。意外と飲まずにもいけるんだなと、飲まない時間の楽しみ方も見出せましたね。

楽しみというのとは少し違うのかもしれませんが、「眠れないな」となったら、「もうしょうがない」と思ってソファにじっと座ったり、ベッドの脇にもたれたりして、じーっとしているのが意外に自分にとって良い時間になっているんですよね。思考が勝手に整理されていくのか、なんかボーッとするんです。

撮影:柄本佑

起きていると、掃除とか何かしら家のことをしなければいけないけれど、夜中なので何もできないのでじーっとしていられる。眠れない夜が自分をゆったりくるんでくれる感じで、それが意外と楽しみになっています。飲んでいたら飲んでいたで、動き回るし、結構忙しいんでしょうね。

逆に飲まずに「寝れないな」なんて思いながらボーッとしている時間が、サウナじゃないけれど「ととのう」みたいな感じです。一見、どうしようもないそんな時間が非常に豊かなものを生んでくれている気がして、割とその時間が楽しみになっています。

撮影:柄本佑

――来年の予定や今後の目標を教えてください。

長い時間をかけてひとつの大きな作品が終わって、ゆっくりしながら考えたいと思いつつ、実は大河をやりながらも自分で監督をした短編集映画『ippo』が公開されたということもあって、関わってくれたスタッフやキャストの方々のためにもやらないといけないことがあります。

あとは、まだ具体的ではありませんが、ほかにも動いていることもあって。あまり時間の経たないうちに長編の監督作品も撮らないとなと思っています。

撮影:柄本佑