役作りは父の“平蔵”を感覚として自分の中にしみ込ませていく作業から
――「血闘」は酔った銕三郎が、くだを巻くシーンから始まりますが、どんな心境で演じていましたか?
いやぁ、まだ20歳になっていないのにいいのかなと思いながら酔っぱらっていました(笑)。銕三郎にとって、盗人酒屋で飲んで酔いつぶれて、おまさ(中島瑠菜)に介抱されるのはいつものことだと思ったので、日常の中のひとコマということを意識してやっていました。
――同じ人物を演じるにあたって、幸四郎さんと話したことはありますか?
父と意見を交換し合ったり、芝居をすり合わせたりということはほとんどなく、仕草や佇まいにおいては、お猪口(ちょこ)の持ち方を尋ねたくらいです。
銕三郎と平蔵がリンクするような場面は、父が先に撮影をしていたら、そちらを見てから自分の方の撮影に臨むということはありましたが、理屈でお芝居を作っていくのではなく、父の平蔵を感覚として自分の中にしみ込ませていくという感じでしたね。
銕三郎にとって平蔵は未来の自分の姿で、未知の時代でもあるので、逆に父が演じる平蔵を意識することはあまりなかったです。
――役柄をはなれたところで幸四郎さんと似ていると感じるところはありますか?
やはり親子ですので、舞台に立っていると、顔つきが似ている瞬間や、舞台での発声の仕方が似ていると言っていただくことがあります。普段の声はまったく違うんですけどね。