<村瀬健(プロデュース)コメント>

僕は、連続ドラマにとって主題歌は命だと思っています。今回、脚本の生方さんから設定のアイデアを聞き、このドラマの企画を始めたときから主題歌はback numberにお願いすると決めていました。

依与吏さんが紡ぐ、とてつもなく繊細な感情をとてつもなく美しいメロディにのせて歌い上げる曲が大好きで、それは僕がドラマという場所で目指そうとしている世界そのものだと思い、憧れのような気持ちでback numberの曲を聴いてきていました。

僕は、back numberは“弱い男が秘めている強さ”、あるいは逆の“強い男が抱えている弱さ”みたいなものを一貫して描いているバンドだと思っています。

このドラマの主題歌は“父の子に対する想(おも)い”をテーマにした曲にしたいと考えたとき、依与吏さんがこれまで描いてきた主人公が父親になった姿が僕の中で浮かんできたのです。

幸運にも依与吏さんにお会いして食事をする機会をいただき、このドラマのテーマについて、このドラマで描きたいものについて、たくさん、たくさん、話させていただきました。

その後、第1話から第9話までの脚本を読み込んでくださり、このドラマの世界に寄り添ったメロディと歌詞を作ってくださりました。

新しいDEMOが届くたび、毎晩のように大量のメッセージをやりとりさせていただき、僕からは撮ったばかりの本編映像やポスター用スチール、はては劇中に登場する絵本まで、たくさんのものを送ってはメンバーのみなさんに見ていただき、このドラマの世界を音楽という形でこれ以上ないほど見事に具現化した曲を作り上げてくださりました。

楽曲制作中のスタジオや最終MIXの場にもお邪魔させていただき、依与吏さん、(小島)和也さん、(栗原)寿さん、そしてプロデューサーの小林武史さんも含めたみなさんによる丁寧で繊細な作業によって、もともと素晴らしかった曲が極限まで高められていく姿を目の当たりにさせていただきました。

最終的に完成した曲は、歌詞、メロディ、歌声、演奏、アレンジ…そのすべての力によって、“父の想(おも)い”だけではなく、もっともっと大きな、もっともっと多くの感情を内包する曲になったと思います。

主人公の夏(目黒蓮)だけでなく、弥生(有村架純)、大和(木戸大聖)、水季(古川琴音)、津野(池松壮亮)、朱音(大竹しのぶ)、もっといえば、子どもである海(泉谷星奈)の気持ちまで感じさせてくれる特別な曲になったと感じています。

さすがback number!と唸(うな)らされた『新しい恋人達に』というタイトルが意味するものまで含めて、この曲をじっくり聴きながら、この曲とともに『海のはじまり』の世界を感じていただけたら、幸せです。