仲野太賀が語る新宿の思い出 父・中野英雄の“コワモテ俳優”っぷりを実感

──現場はどのような雰囲気ですか?

小池:本読みと医療シーンのリハーサルをやっていて思ったのは、なんか早かったですよね?

仲野:現場の空気ができるのは早かったですね。

小池:事前に、私たちの代役の方が動きを作ってくださっているのですが、それを2回見て、3回目で急に監督から「はい、入って!」と言われて動揺したのをすごく覚えてる(笑)。

仲野:そうでしたね(笑)。

小池:しかも皆さん完ぺきにセリフを入れて、すごく念入りにリハをしてくださっていて。自分の代役の方をスタジオの端から一生懸命のぞき込むように見て、「ヨウコはこうか…」と思っていたら急に芝居するように言われたから、どうしようかと思いました(笑)。

でも、スタッフの皆さんが「こっちから撮ったほうが面白いんじゃないか」とか、本当に細かく考えながら作ってくださるので、「リハができるっていいな」と思いましたね。

動きだけじゃなく、役と役の関係性、この人はどういう気持ちでここにいるのか、そういうことも丁寧に演出してくださるので楽しいです。

──初共演のお2人ですが、お互いの印象を聞かせてください。

小池:こんなに肩に力の入っていない役者さんって、すごいですよね。普段からいち視聴者として作品を見ていますが、硬派な役、情けない役、怪しい役、胡散臭い役、すごくいろいろな顔を見せてくださいますし。

あと、「この役はこういう人だからこうする」と決め込まないで、自分の役柄の範囲内でシーンの温度を大切にしながら遊んでいらっしゃる方なのかなと勝手に思っていました。

それはリハーサルを一緒にやらせてもらっているなかでも感じたんですけど。皆さんの芝居をしている温度や声のトーンを聞いて、自分が一番おいしくなるところにスッといくのがうまいな、と。

仲野:そんなことないです(笑)。そう言っていただけるのはうれしいですが。

小池:さすがだなと思いました(笑)。

仲野:小池さんは、子どもの頃からずっと見ていて…。

小池:私、まだ43歳だよ(笑)。

仲野:…すみません、大ベテランみたいに言っちゃって(笑)。でも、本当にずっと活躍されているのを見ていたんです。

小池:いえいえ(笑)。うれしいですよ。

仲野:小池さんはいろいろなフィールドで活躍されていて、できないことはないんじゃないかというくらいスマートで。お芝居をしていてもそうですし、バラエティを拝見していても、本当に頭のいい方なんだろうなと思っていました。

それでいて、どんな立場や役柄でも、どんなシチュエーションでも、誠実さが伝わってくるというか。仕事に対するプロフェッショナルさを感じますし、いつかご一緒できたらいいなと思っていたんです。だから、今回の共演でいろいろと勉強させていただきたいです。

小池:頑張るよ…。でも、途中で「キツいよ、太賀くん…」「やばいよ、どうしよう」って言っていると思う(笑)。

仲野:僕なんかで良ければ、いくらでも言ってください。受け止めます!!

──本作は、新宿・歌舞伎町が舞台ですが、新宿の思い出はありますか?

小池:高校生の頃、新宿アルタのあたりには遊びに行っていましたけど…この間、歌舞伎町で深夜ロケをやらせていただいたのですが、もう随分と様子が変わったなと感じました。

たぶん少年少女だろうなという子たちがウロウロしていて。私はもう年齢的に母心で見ちゃうから、こんな深夜の繁華街に…って、他人ながら心配になるけど、そうやって心配してくれる親御さんがいる人は幸せだけど、そうじゃない子たちの行き場にもなっているんだろうなと思うと、やりきれない気持ちになりました。

仲野:僕は新宿が地元から近くて、小さい頃からよく行っていました。

昔、新宿スカラ座という大きな映画館があって、『ハリーポッター』を見るために母と並んだ記憶があります。帰り道にすごく怖いおじさんとすれ違ったときに、「この街怖い」と思ったんですよね。

でも、地元の駅に着いて、父(中野英雄さん)が迎えに来てくれていて…父の見た目が一番怖かったという(笑)。

小池:ははは!

仲野:それを今思い出しました(笑)。 やっぱりコワモテ俳優だな、と。