小池栄子 宮藤官九郎の脚本は「“今の時代”が描かれている」

──オファーを受けた際の心境を聞かせてください。

小池:まず面白い企画だなと思いましたし、面白いと思える作品に出演させていただけて光栄だなと思いました。

役柄としてはクリアしなければいけないハードルはたくさんありますが、チャレンジをすることが好きですし、周りは仲野さんをはじめどんなに自分が未熟でもすべてを面白いことに変えてくれる役者さんばかりなので、撮影が楽しみでしたね。

仲野:僕は小さい頃から宮藤官九郎さんのドラマを見て育ってきました。今までも何度か宮藤さんの作品に出たことはあるのですが、主演を務めさせていただけるというのはうれしくて…あの頃の自分に言ってやりたいです。

題材もすごくチャレンジングですし、小池さんをはじめ素敵な俳優の皆さん、スタッフの皆さんと共にこの作品をつくれることがうれしいですし、この先がとても楽しみです。

──宮藤さんの脚本を読んだ感想を聞かせてください。

小池:今4話まで読ませていただいているのですが、すごく面白いです。聖まごころ病院に運ばれてくる患者さんのバックグラウンドはニュースで見たことがあるようなもので、うまく“今の時代”が描かれているなとも思いますし。

患者さんは人ともめたり、悩んだり、いろいろな事情を抱えるなかでケガをしたり、病気をしたりして病院に運ばれてくるのですが、そういう患者さんとふれ合って、医療とは何か、人の命を救うとは何か、自分の存在意義とは何かというものが、これから描かれていくんだろうなと感じています。

あとは、群像劇なので登場人物たちみんなにたくさんエピソードがあって、みんなで作り上げていく感じで。監督は「舞台みたいだね」とおっしゃっていましたけど、まさにそういう感覚を受けました。

仲野:宮藤さんの脚本は、ユーモアいっぱいに物語が描かれていますが、本質はヒューマンドラマで、根底はとても社会派なんです。今回も社会に対する宮藤さんのメスが鋭利だなと思っていて。

小池:Scalpel!

仲野:メスのことですか?

小池:Yes!Scalpel!

仲野:(笑)。今回も歌舞伎町の物語ではありますけど、日本の不条理や不寛容、そういうものが描かれている気がします。

実際、劇中には難民申請をしても受理されない外国の方、元ヤクザ、トー横キッズが出てきます。勝手な偏見、差別、カテゴライズで人のことを決めてしまうような社会だと思うんですけど、あくまでも命は平等で。命の重さに大小はあるのか、公平さって何だろうかとか、そういうことがこのドラマでは描かれていると感じています。

ここまでユーモアのある社会派ドラマってなかなかないですよね。もちろんドラマを見て笑ってほしいし、楽しんでもらいたいけど、考えることも大事で。宮藤さんじゃないと書けない切り口だなと思いました。