<野呂佳代 コメント>
ここまでの大役は経験したことがなく、最初は何から手をつけたらいいか、わかりませんでした。
初めてご一緒する方ばかりで、とにかくチームに迷惑をかけてはいけない、と。緊張に負けそうな日が何度もありました。
それを察して和らげてくれたのが、黒木さんでした。初めてのことばかりで戸惑う私を、置いてけぼりにしないよう気にかけてくれて。
そのおかげで、私も早くなじもうという気持ちになることができました。今では「黒木さんじゃなかったら、どうなっていただろう」と思うくらい、本当に支えられています。
第1話の屋上のシーンが一番記憶に残っています。冬の寒い夜に、何時間もかけて撮影した一番大変なシーンでしたが、キャスト・スタッフともに同じ気持ちだったので、すごく達成感がありました。
私はスナックのシーンが大好きです。パワフルなとし子ママと、楽しいお客さん。役者さんたちが作り出す、まるで実在するスナックと常連客のような雰囲気に、現場で思わず感動してしまいました。
みなさんからエネルギーをいただいたおかげで、私もいいママを演じることができています。
第1話で茉莉が「何か困ってることはないですか?」と、あかりやスナックのお客さんに問いかけるシーンがあります。そこでお客さんは、“足りないもの”や“不安なこと”を口にしますが、意外とあの状況って現実では見たことがないな、と。
本音が言いづらい今の世の中で、エンタメだからこそ描けたシーンだろうし、一人ひとりの主張をほんの少しでもドラマを通して言葉にすることができて、私自身も救われました。見てくれた誰かの気持ちを、少しでも軽くできていたらいいな。
政治に疎(うと)いスナックのママが、どういうふうに説得されて出馬を決意するのか…。そこまでの過程に何十話分くらいの出来事や気持ちの変化が詰まっていますが、第3話で、あかりは大きな決断をします。
希望を持っていても、どうにもならないときってあるじゃないですか。でも、どうにもならないからといって、あきらめている場合じゃないときもあるじゃないですか。
信じられないけど、何かを信じないといけない。前向きに考えて、歩き出さなくちゃいけない。生きていたら、そんなこといっぱいあると思うんです。だけど、自分一人で抱え込まなくてよくて、誰かが解決してくれることもあるから、周りを頼ってもよくて。
このドラマを見て、「そんな生き方もあるんだ」と知ってもらって、「明日も元気に頑張ろう」と思ってもらえたらうれしいです。
