豊嶋花さんが、現在の目標を明かしました。
豊嶋さんは、『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年)で演じたとわ子(松たか子)の娘・唄役をはじめ、最近では、天海祐希さんと共演する飲料のCMなどでも話題を集め、2023年スタートの大河ドラマ『どうする家康』(NHK)にも出演が決まるなど、引く手あまたの俳優です。
今年も多くの作品に出演するなか、大活躍の締めくくりとなるのが、自身が初主演を務めるドラマ『瑠璃も玻璃も照らせば光る』(読み:るりも・はりも・てらせば・ひかる/12月27日放送/フジテレビ)。
市東さやか(しとう・さやか)さんが脚本を手がけた、第34回「フジテレビヤングシナリオ大賞」受賞作です。
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この作品で豊嶋さんが演じるのは、高校2年生のひかる。学校に通いながら、うつ病の母、入院中の父の世話や介護をする“ヤングケアラー”です。
ある日、ひかるは、親友の美沙(横田真悠)から演劇部の照明係を依頼され、両親のことを気にしつつも、「少しぐらい青春っぽいことをしてみたい」と承諾します。演劇部を見学することになり、ひかるはそこで転校生の瑠璃(祷キララ)と出会い…という物語。
はつらつとした女子高生でありながら、繊細でもろさももちあわせたひかるを、芸歴15年になる実力派で、現役高校1年生の豊嶋さんがどう演じるのでしょうか。話を聞きました。
“豆腐メンタル”なのに、がんばっちゃうところが「似てるかも」
<豊嶋花 インタビュー>
――本作は、テレビドラマ初主演作ですが、ひかる役に決まったときはいかがでしたか?
オーディションのときから、ひかるを演じたいと思っていたので、「ひかるをお願いしたいです」と言っていただいたときは、とてもうれしかったです。
脚本も素晴らしいので、この作品に携わることができて本当によかったです。
――ひかるの印象は?
脚本を全部読んだのは、演じると決まってからでしたが、高校2年生が抱える大変さではないなと思い、自分にできるのかなって。
私は甘えて生きてきた人なので、「私にこの役ができるだろうか?」と不安にもなったんですけど、ひかるの気持ちと状況をじっくり考えて、慎重に丁寧に繊細に演じたいなと思いました。
――ヤングケアラーについてはどんなことを思いましたか?
高校生などの学生という短い期間のなかで、家族のために、自分のやりたいこと、やらなければいけないことを謳歌できない状況になるのは、本当につらく大変だろうと思いました。
家族を愛しているし、家事や介護をしたくないわけではないけど、やりたいことができなくなってしまう、その気持ちのすれ違いみたいなところは、とてもつらいだろうな、って。(その気持ちを理解しながら)自分もそこに近づけるようにしました。
――ひかるも、心情を吐露したり、爆発したりすることがありますね。
気持ちをぶつけたり、本音をぶつけたりするなかで、悪口に聞こえるようなことをズバッと言ったりするんです。言い慣れていないんだけど、キャパがいっぱいになって、あふれ出ちゃうっていう。
いろいろなことがあって爆発して遮断機の前で泣いてしまうシーンがあるんですけど、そこは自分でも結構大事だと思っていて、気持ちを作るのに時間をつくりました。
電車が通るタイミングもあったので難しい部分もありましたが、じっくり自分のなかでひかるの気持ちを考えて演じました。
――ほか、印象的なシーンはありますか?
学校のシーンで、瑠璃と対峙して本音をぶつけるというシーンは、祷さん、監督とも練って、じっくり作り上げたので思い出深いです。
――豊嶋さんは15歳、祷さんは22歳、横田さんは23歳と、同じ高校2年生を演じたキャストでも年齢に幅がありますが、そのあたりはどうしたか?
それが本当に同世代みたいな感じで、祷さんも、横田さんもフランクに気さくに接してくださったので、とても演じやすかったです。
――自身との共通点、相違点があれば教えてください。
私も結構、強がってしまうというか、“豆腐メンタル”なのに、がんばっちゃうみたいなところがあるので、そこは似ているかも、と思いました。
違うのは…ひかるのようにお父さんが倒れて、お母さんまでうつ病になってという状況で同じようにテキパキと家事をできるか、と言われたら、がんばるとは思うんですけど、きっとどこかで壊れちゃうと思います。
だから、ここまでがんばれるひかるは本当にすごいと思います。
――どんなところが、豆腐メンタルだと感じますか?
例えば、学校とかで嫌なことがあったりして、傷ついているのに、全然、気にしていないふうを装ったりしてしまうときに感じます。
――そんなときはどんな風に発散するのですか?
家でクッションに向かって叫びます(笑)。あとは、愛犬を愛でる。
がんばりすぎると、どうしてもバランスを崩しちゃうことがあるのは、自分でも「わかる、わかる」といいますか、ひかるとは種類も大変さも違ったりするのですが、それでもやっぱりわかるなって思います。
――タイトルの『瑠璃も玻璃も照らせば光る』はことわざで、劇中でも印象的に使われますが、知っていましたか?
今回、初めて知ったことわざなんですけど、まず響きがすごく素敵じゃないですか。「瑠璃も玻璃も照らせば光る」って、きれいな言葉だなという印象を持ちました。
瑠璃や玻璃のような宝石はどこにいても目立つけど、光が当たればさらに輝く、という意味ですが、逆に才能はないと思ってても、照らされて光ることもあるという。
自分が瑠璃や玻璃じゃないと思っていても、実は宝石だったってこともあるかもしれないですし、実際に、人間だれしも、輝ける部分は持っているので、みなさんにも自分のそういう部分を見つけてもらえる作品になればいいな、と思っています。
今年の漢字は「波」その理由は?
――さまざまな作品に出演した今年はどんな一年でしたか?
とっても充実した素敵な一年でした。15年間生きてきたなかで、一番幸せだったと思えるくらい。
山あり谷ありではあったのですが、思い出というか、自分のなかで歴史に残るような作品をたくさんやらせていただいたうえ、高校生活が始まって、新しい環境で精一杯がんばることができた一年になったな、と思っています。
――学校と仕事の両立に大変さもあったのでは?
学校に行きながら、お仕事もちゃんとやりたいなと思い…。お仕事の直前にテストが入ってしまうこともあったので、それでも両立できるようにがんばりました。
――プライベートでテンションがあがるのはどんなときですか?
友だちと一緒にいて、はしゃいでいるときが、一番自分のテンションが上がります。
一番仲がいい子とは、Instagramで面白い投稿やリールを見つけては、共有して笑ったりしています。
――ご自身にとって「演じる」とはどんなことですか?
アイディンティティみたいなものでしょうか。“なくてはならない存在”という感じになってます。
本当に好きですし、作品を見ても楽しいし、作品を「見たよ」とか「面白かったよ」と言ってもらえるものうれしい。自分の中でとても大きな存在のものです。
――「演じない自分」は想像できないほどですか?
想像したことは何度かあるんですけど、でも、やっぱりなんかこう…なくても生きていけると思うんですけど、寂しいなあっていうか、自分の中でぽっかり穴が開いたような感覚になるんだろうなあって思います。
――年末ということで今年を総括して漢字で表すとしたら?
なんだろう…。「波」ですかね。さっき「幸せな一年」って言ったんですけど、すごくうれしいこともたくさんあった反面、自分の中でいろんな波がありました。
仕事と勉強との両立で「どうしよう」となることもありましたし、学校生活のことで悩むこともありました。自分のなかでは平坦な一年ではなくて、上がったり、下がったりを繰り返す感じでした。
でも、波が大きかったことが充実の要因だったとも思います。
――芸歴15年の豊嶋さんですが、今後の目標を教えてください。
いろんな役にチャレンジして、いろんな役を演じることができる俳優さんになりたいんですけど、やっぱり最大の夢は、「日本アカデミー賞」を受賞すること。まずは、「日本アカデミー賞」で新人賞を受賞することが、今の一番の目標です。
もし、それがかなったら、(目標は)どんどん大きくなっていくと思っています(笑)。
『瑠璃も玻璃も照らせば光る』は、12月27日(火)13時45分より、フジテレビで放送されます(※関東ローカル)。