「アイドルとしての尾崎匠海」に興味津々な國村さん。「お互いに聞いてみたい事」という質問では、國村さんから尾崎さんへの温かいアドバイスも伝えられました。
尾崎匠海「アイドルとして全員を盛り上げるつもりでやっている」
――尾崎さんが演じる匠は音大進学を断念し、夢にふたをしたまま過ごしている青年です。共通点はありますか?
尾崎:匠とは、「俺なんて」となってしまう部分が少し似ていると思っています。俺は、めちゃくちゃ前に出ていくタイプではないので。
國村:え!?何万人もの前でやっているのに(笑)?
尾崎:たぶん(笑)。前に出ようとする自分もいますが、「俺なんて」と思ってしまう部分もあるので、そこは共通しているかなと思っています。俺は28歳で、匠とは同世代だからこそ感じる、分かってあげられる部分がたくさんありました。
――本作には匠と喜一郎のピアノレッスンを通した心の交流、周囲の人々の優しく見守る様子など心温まるシーンがたくさんあります。特にグッときたシーンを教えてください。
國村:喜一郎が亡くなった奥さんからの手紙を読むシーンです。手紙の内容の一言一言がグイグイ突き刺さってくる。僕自身も、こんな手紙もらったら大変だよねとグッときました。
尾崎:喜一郎さんがピアノへの挑戦を諦めてしまいそうになる時に、「今やめてしまったら後悔しますよ」と伝えるシーンがとても印象に残っています。匠自身も、自分の時間が止まっている感覚でいたけれど、喜一郎さんとの出会いで夢を目指すマインドになっていく。諦めそうな喜一郎さんにぶつかっていくぐらいの気持ちにまでなった姿にグッときました。
國村:喜一郎も匠も、お互いの時間が止まってしまっています。物語の中で「時間」は重要なファクターです。喜一郎は時計店を営んでいて、ピアノ以外にもウイスキーが象徴的な存在として登場しますが、ウイスキーも年月をかけて作られるもの。いろいろな符号が計算され尽くされている、面白いドラマです。
――喜一郎から匠にウイスキーがプレゼントされるシーンも印象的です。個人的にプレゼントにまつわる思い出があったら教えてください。
尾崎:母がずっと欲しいと言っていたバッグをプレゼントしました。なかなかの金額でした(笑)。
國村:へえ、いいね。僕は匠海くんみたいに印象に残るほどのものはないかな。お母さん、喜んだでしょう?
尾崎:喜んでくれました!「もう何も欲しがらないから」と言っていましたが、月日が経ってくるうちに、「これ欲しいな」というものが出てきたみたいです(笑)。
――撮影はこれから本格的に始まるとのことですが、お互いに聞いてみたい事はありますか?
國村:やはり、数万人の前に立つという気持ちを聞いてみたいですね。僕は舞台出身なので、生のお客さんの前に立つということはもちろんありますが、そんなに大勢の前に立ったことはない。よう、それだけの人数を相手にできるなと。ライブってお客さんのエネルギーを受け止めるだけのパワーというか体力がないといけないから。
尾崎:歌うことで何かを伝えたいと思ってこの世界に入ったので。ライブでは、僕からもエネルギーをめちゃくちゃ飛ばしています。
國村:何万人もいて、お客さんの1人ひとりを感じられるの?
尾崎:ちょっと感じやすい部分もあって。例えば、「あのあたりは、あまり盛り上がっていないのかな?」とか感じすぎると、へこんじゃうこともあります。もちろん、アイドルとして全員を盛り上げるつもりでやっていますが、感じていい部分とダメな部分をセーブするようにしています。俺から國村さんには、長年お芝居をしている中で、「苦労した現場」がどういうものだったのかをお聞きしたいです。
國村:若い時は、初めての現場の前は不安やから、家で「自分がこうしたい」と思うイメージで演技を固めきってから現場に行っていた。でも現場というものは、どんどん動いていくものだから、自分がイメージしたものしか持っていないとかえって不自由になって動けなくなる。
それに気づいてからは、「現場でどうやったら自由になれるんだろう」ということを考えながらやってきました。1番しんどかったのは、あなたぐらいの年齢の時だったかな。今しんどいはずや。
尾崎:乗り越えます。ありがとうございます!
――最後に本作の見どころを教えてください。
國村:放送が24日のクリスマスイブということもあり、人と人、それぞれの思いと、聖夜という時がつながっていくような作品になっています。このドラマを見ることで、亡くなった人への思いを馳せてみたり、生きている人たちの関係性がいい形で動き出したり…ひょっとしたらそんなこともあるかもしれないと思わせてくれるような。それが、このドラマの見ごたえなんじゃないかなと思います。
尾崎:誰かが何かを始めるきっかけになれたらと思っています。俺の周りの友達も、「何か新しいことを始めてみようかな」と言っても、状況や生活がある中でなかなか挑戦できない人のほうが多くて。この作品を通して、同世代の人が1つでも2つでも何かを始めようという気持ちになってもらえたら嬉しいです。
<番組概要>
『ドビュッシーが弾けるまで』
2025年12月24 日(水)22:00〜23:34(フジテレビ系全国ネット)
脚本:石田真裕子(新人・第36回フジテレビヤングシナリオ大賞受賞 ※本作が地上波デビュー作 )
プロデュース:鈴木康平
演出:平野 眞(『めおと日和 波うららかに』、『監察医 朝顔』シリーズ、『5→9~私に恋したお坊さん~』他)
制作著作:フジテレビジョン
