<ビートたけし コメント>

――今年の『THE MANZAI』は、いかがでしたか?

レベルが上がっちゃって、すごいことになってるね。『THE MANZAI』に出てる人たちは、ほかの漫才師と差がありすぎると思うよ。ただ「うまい」だけじゃなくて、「おかしい」とか「くだらない」っていうところまでいってるもんね。

昔は、うまいって言われりゃ、それで十分だったんだけど、今はそれだけじゃダメで、うまいのは当然として「くだらない」とか、それとは逆に「よく計算されてる」とか、いろんな要素が求められる。これから漫才を始めようっていう若い人たちは、相当大変だろうね。

――“こたつスタイル”での出演は、たけしさんから提案されたそうですね。

いや~、このスタイルはいいねぇ、楽で(笑)。来年は、(島田)洋七も呼んで、2人でお茶飲みながら、延々と漫才の悪口を言うのも面白いかなって思ってるんだけど。

でも、最近たまに洋七が俺の家に遊びに来て、今の若手の漫才の話とかもするけど、俺も洋七も結局、自分たちより今の子たちの方が全然すごいって、もう完全に認めちゃってるんだよね。技術に関していえば、俺たちは今の若手には到底かなわない。

昔は、漫才もまだ珍しくて新鮮に映ったからなのか、お客のウケ方というか、笑いの大きさは、漫才ブームの時代の方がすごかったような気もするけど、ネタの一つひとつを細かく分析すれば、今の漫才の方が数段上をいってるのは間違いないね。

――久しぶりの、ザ・ぼんちの漫才は、いかがでしたか?

昔からまったく変わってなくて、笑っちゃったよ(笑)。本当のことをいうと、漫才ブームのころって、あれだけ一緒に仕事しておきながら、芸人同士ほとんど口をきいてないんだよ。別に、あの2人に限ったことじゃないけど、あいさつもろくにしなかった。

だから、当時の『THE MANZAI』でも、お互いに漫才の練習をしてるときは絶対近づかないようにしてたし、本番が始まったら始まったで、俺たち以外は全員失敗しろ、ウケないでくれって、ずっと祈ってたもん(笑)。

でもさ、ザ・ぼんちとかB&Bとか、ドッカンドッカン、まぁウケるわけ。その笑い声が俺たちの楽屋にまで聞こえてきて、落ち込んじゃったりして(笑)。みんな負けず嫌いで、すごい時代だったね。