<鈴木伸之 コメント>

©東海テレビ FOD

――キャストやスタッフに野球経験者が多いと聞きました。

そうですね。監督も、ずっと野球をやっていたといいますし、カメラマンさんも経験者なので、バッティングシーンもベストアングルで撮ってもらったり…。みんな野球好きなので、空き時間は、ほぼ野球の話しかしていないです(笑)。

今回、僕は中日ドラゴンズの選手という設定なので、普段からドラゴンズの試合映像を見ているのですが、昔のエピソードなどを教えてもらったりすることも。そうしたことも全部吸収して、演技の中でアウトプットできるよう頑張っています。

――バンテリンドーム ナゴヤでの撮影はいかがでしたか?

それはもう、うれしかったです(笑)。子どものころにケガで野球を諦めているので、バンテリンドーム ナゴヤのグラウンドに立てたことに興奮しました。

外野フェンスがセ・リーグで二番目に高い(4.8m)ので、ホームランを打つシーンの撮影には苦労したし、選手のみなさんの打撃力を実感しましたね。

最終的には少し手前から打たせてもらいスタンドに入れることができたのですが、スタッフからも拍手をいただいて、まさに大翔のような気分でした。

<鈴木伸之 バットを振りぬいた渾身の一発!観客役として参加していたエキストラがドッと沸く見事な放物線>

©東海テレビ FOD

――強打者だった大翔がバントマンになるわけですが、大翔のバントスタイルは、どんな感じですか?

大翔はもう、完全なプッシュバントですね(笑)。このドラマは、バントマンたちが悩みを抱えた人を陰から支えていきます。まさに犠牲バントのような役割を担うことが多いのですが、大翔は「俺はこう思うけれど、そんな俺を見て、あなたはどう思いますか?」と、行動で相手の心を動かすんですね。

言葉だけではなかなか伝えきれないことを、「心のキャッチボール」でうまく伝えられるのが大翔なんです。そんなことを考えながら、大翔を演じています。

――共演者のみなさんについて教えてください。

倉科さんとは、10年ほど前に舞台でご一緒しました。当時、僕は19歳だったのですが、とてもかわいがっていただきました。それから10年くらい経ちましたが、あの当時のままで、周囲に気を配りつつ、いつも明るく現場を盛り上げてくれています。

根鈴華(倉科カナ) ©東海テレビ FOD

彌十郎さんとは今回初めてご一緒させていただいたのですが、歌舞伎俳優の方であると同時に、ドラマでの印象が強いですね。

彌十郎さん演じる櫻田社長が、大翔にバントの話をする場面で、歌舞伎の動きが生きてくるシーンがあって(笑)。そこは、ものすごく面白かったので、ぜひ見てもらいたいですね。

櫻田誠一郎(坂東彌十郎) ©東海テレビ FOD

藤堂俊介役の平原テツさんは、舞台などを掛け持ちしながらの参加なのに、セリフを完璧に覚えてこられるんです。役の上では一番ポンコツなんですけどね(笑)。

なおかつ、現場の雰囲気の盛り上げ役も買って出てくれる。みんなのことを陰でしっかり支える存在で、強引ですけど、ドラゴンズで例えるなら細川成也選手かな。

藤堂俊介(平原テツ) ©東海テレビ FOD

吉岡葉留樹役の阿久津仁愛くんは、集中力がすごいですね。このドラマは、仕事の話をしているのに、それを野球用語で返されたりと、会話の「ズレ」みたいな部分が面白みでもあるのですが、それをずっと続けていると、演じている我々自身が笑ってしまいそうになるんです。

でも、阿久津くんはそういう笑いに引き込まれず、自分の役に集中しているので、僕の中では守護神のような存在です。

ドラゴンズでいえば…マルティネス選手ですね。

吉岡葉留樹(阿久津仁愛) ©東海テレビ FOD

石川瑠華さんが演じる梶間響子は、野球観戦好きで常にスコアブックをつけているような女性です。ドラマの中でも、早口で野球用語をまくし立てるので、いつも「すごいなぁ」と思っています。

ちなみに梶間ちゃん、というか石川さんは、ドアラです(笑)。

梶間響子(石川瑠華) ©東海テレビ FOD

――注目してもらいたい部分は?

いつも明るい大翔ですが、その一方で諦めることが大嫌いな男です。良くも悪くも諦めが悪くて(笑)、常に挑戦心を忘れない。そんな彼の姿には、何かみなさんの心に刺さるものがあるのではないかと思っています。

このドラマの撮影中は、まるで野球選手のように練習に取り組みましたし、バッティングの感覚を忘れないように趣味のゴルフにも行かずに集中しました。

真剣に取り組んだ野球シーンなので、ぜひ見ていただきたいですし、小中学生に「ちょっと素振りをしたくなってきた」みたいに思ってもらえるとうれしいですね。