――宝塚を退団して約1年半、さまざまな俳優さんと共演していますが、みなさんの歌に触れてどんなことを感じていますか?

お稽古場でみなさんの歌を浴びるというのは、宝塚時代からありましたが、やはり女性だけというのと、男性もいるのとでは違うんですよね。

それこそ市村正親さんなどレジェンドの方々の生歌をお稽古場で初めて聞いたときは、もう役を忘れて、衝撃を受けました。ただお上手なだけではなく、歌のなかに魂が存在していて。私もこんな役者さんになりたいと思いました。男性陣からも女性陣からも、本当にたくさんの刺激をいただいて、すごく楽しいです。

また、宝塚では同じ組のメンバーで何作品も上演していましたが、今は作品が変わるごとにみなさん“初めまして”で。さまざまな経験を積んだプロフェッショナルが集まっていて、宝塚とはまた違った面白さを経験させていただいています。ありがたいことですね。

――その中で演じていくのはプレッシャーがありそうですが、それも楽しんでいそうですね。

楽しいです!いい意味で、昔より“お仕事感”が増しました。こんなに楽しいことをお仕事にできているんだ、という幸せを感じています。これは、オンとオフをはっきりできるようになったからかもしれません。

私はお稽古しないと不安になってしまうタイプなので、宝塚のときは朝から晩までずっとお稽古をしていました。でも今は、時間がきたら「はい、終わり!お疲れ様でした!」と、すぐ終えます。お稽古に全力で集中するので、終わると心地よい疲労感が残っています。

その後は、自分時間です。家に帰って、美味しいもの食べて、寝る!自炊や運動をしたり、好きなものを見たり、実家で飼っているワンちゃんと戯れたり(笑)。そういう日常を味わい、「私いま、人間をしている!」という感覚になれることが、すごく幸せです。

もちろん舞台への取り組み方は、それぞれに良さがあると思いますが、今はオンとオフの切り替えがあるからお仕事も頑張れますし、ありがたい日々を過ごしています。

星風まどか 大阪でタクシーの運転手さんと…ある日の夜空に驚き!

――退団してから生活スタイルが大きく変わったようですが、特に楽しい!と感じる瞬間はいつですか?

休みの日に、目覚まし時計をかけずに寝ることです(笑)。自然に触れることも好きなので、日光浴や月光浴をしたり、夜中に夜風を浴びに散歩をしたり、星空を見に行ったりもします。「今、誰も私を見てない!世界で1人だ!」という気持ちになれて幸せです。本当は誰か見ているかもしれないですけど(笑)。

地図を見ないで何も考えずにぷらぷら歩いて、知らない街を開拓していくというのも、リフレッシュになるので好きですね。地方公演へ行くと、必ず歩いています。

『1789 -バスティーユの恋人たち-』で大阪へ行ったとき、タクシーでホテルへ帰る途中に、窓からすごく大きい月が見えたんです。「え、見間違い!?」と思うくらいのサイズで、思わず運転手さんと「あれは何ですか?」「何やろな?」みたいな会話をして。

調べたら、ちょうどフラワームーン(5月の満月のこと)だったようです。あんなに大きな月は見たことがなかったので、ホテルに着いた後、月を見たくて街を歩き回りました。楽しかったです!