――マリーはラジウム(放射性元素)を発見し、ノーベル賞を受賞するなど功績を残しました。一方、研究の過程で放射線を浴び、自身や周りの健康に影響を及ぼします。星風さんから見て、本作でのマリーはどんな人物だと感じますか? 

美化されていない人間らしさが表現されている、という印象が第一にありました。

男性科学者ばかりだった時代に、さまざまな壁を乗り越えて自分の信念を貫き通す姿は、本当にカッコいいと思います。そして、研究に没頭する彼女を支えてくれる存在がいたから、マリーはその大切な人たちを守りたいと思い、深い愛情が芽生えていったのではないかと思います。

研究をコツコツと冷静に続ける努力家な面もあれば、家族や友人を大切にする情の深さもある。そういう多面的なマリーを、丁寧に演じていきたいです。

――マリーと自身で似ていると感じるところはありますか?

もちろん、マリーと私とでは置かれた状況がまったく違いますが、「こうと決めたらやり遂げる」という気持ちは、似ているかもしれません。私も、自分自身に負けたくない性格なので、貫き通す強さみたいなものはあると思います。

マリーは、ラジウムが命を救える物質である一方、大切なものの命を蝕(むしば)む存在でもあるということに気づきます。信念を持って研究を突き詰めた結果、自分がそういうものを発見し、それにより愛する者たちがどんどん亡くなってしまう…なんと壮絶な人生なのでしょう。

でも物語のなかで彼女は、勇気をもってラジウムの危険性を公表し、自分を検死するべきだと訴えます。もし私がこの状況に置かれて、同じ行動ができるかと言われると…本当に勇気がいることだと思います。

傷つきながらも困難を乗り越えていく強さに憧れますし、彼女の試練や葛藤1つひとつをしっかり自分の中に落とし込んで、舞台の上でマリーとして生き抜きたいと思っています。

初対面の昆夏美は「すごく気さくで、役者としても人としても尊敬」

――Wキャストの昆さんの印象はいかがですか? 

今日初めてお会いしたのですが、私は人見知りなので、実は昨日の夜からすごく緊張していて。退団してから、他のキャストの方と一緒に合同インタビューを受けるのも初めてで、「どんな感じなんだろう?しかも、初めましての方々と…」と、とってもドキドキしていました。

でも、昆さんはすごく気さくで、「実は私も人見知りなんだ」と話してくださって安心しました。事務所の先輩ですし、役者としても人としても、とても尊敬しています。芸事に関してたくさん学ばせていただきたいですし、お稽古が楽しみになりました。それに「今度ご飯へ行こう」と誘ってくださって。嬉しいです!