<坂東彌十郎 コメント>
――彌十郎さん演じる、櫻田誠一郎について教えてください。
櫻田誠一郎は、大企業のオーナーなんですが、30000人の社員やその家族の幸せについて、常に考えている人間なんです。
そこで、社員をサポートする部署が必要だと考え、秘密の福利厚生組織(シークレット・ベネフィット・オーガニゼーション)「SBO」を立ち上げたんですね。その名称が野球の「ストライク・ボール・アウト」にかかっていることからもわかるとおり、櫻田は野球が好きで、野球の精神を会社経営にも活かしているんです。
――「野球好き」という部分は、彌十郎さんにも共通するわけですね。
櫻田は、野球少年がそのまま大人になったような人物です。会社も持って自分の人生もあるのに、すべてを野球に置き換えて考えている。人のため社員のため頑張ろうという気持ちの底に、野球少年がいることに共感を持ちました。
私も子ども時代はもちろん、歌舞伎俳優となってからも野球チームに入って試合をしていたほど野球が好きなので、「すべての道は野球につながる」という彼の考え方はよくわかります。
ちなみに、私は昔から巨人ファンで、妻は根っからの阪神ファン。元阪神の江夏豊さんの活躍で広島が初めて日本一になったときでさえ、妻は号泣していましたから。
それだけ熱いファンなので、結婚当初は野球が原因でバチバチの大ゲンカになったことも。晩飯を作ってもらえない、なんてこともありました(笑)。
――ジャイアンツの選手では、特に土井正三さんが好きだったそうですね。
そうなんです。土井さんはV9戦士の中では、決して目立つわけではないけれど、堅実な守備で知られる二塁手で、安心して試合を見ることができました。
また、土井さんは、打順だと2番あたりを担うことが多かったのですが、そこでヒットを打って、続く長嶋さんや王さんにつないでいくんです。派手さはなくとも、まさに“職人”という雰囲気で、名選手がひしめくV9戦士の中でも、一番興味を持ちました。
――誰かのことを陰から支えるという部分は、『バントマン』にも通じるところがありますね。
土井さんがバントをしていた記憶はあまりないんですけれど、堅実につなぎ役を果たしていたという意味では、通じるところがありますよね。
私自身も、これまで歌舞伎俳優として、舞台の上で主役を支えるような役を数多く演じてきました。だから、今回『バントマン』のお話をいただいたときも、土井さんのことをふと思い出しましたし、同時に自分にふさわしい役だなと感じました。
――中日ドラゴンズでは、星野仙一さんが好き?
はい。巨人ファンからすれば、憎たらしいほど強くて…。巨人戦になると闘志むき出しで向かってこられるんですよね。痛い目に遭ったことを、今でも忘れていませんよ(笑)。
でも、そういう好敵手の存在があるからこそ、野球が楽しくなるわけです。だから、痛い目に遭ったといっても、結局好きな選手だったんですけどね。
――最後に、『バントマン』の見どころを教えてください。
最近は、さまざまなスポーツが人気で、プロ野球は以前ほど注目を集めていないのかもしれません。そうしたなかで、『バントマン』が野球を違う角度から楽しむきっかけになってくれたらと思っています。
このドラマには、メジャーリーグともまた違う「日本人の考える野球観」が描かれています。そんな部分を楽しんでもらえたら、ありがたいですね。