<高畑淳子 コメント>
――『ミステリと言う勿れ』への出演が決まったときはどう思いましたか?
まず、菅田将暉さんとご一緒できるということで「あら、うれしいわ!」と、思いました。
原作は存じ上げなかったのですが、とても人気ある作品だとうかがいました。
――今回の役をどのように解釈されたのですか?
通常、いただく役は「こんな感じかな?」とピンとアンテナが立つんですけど、今回はなかなか難しく、セリフを覚えるのも苦労しました。
ハッキリとしたキーワードのあるお芝居とは、違う役に挑戦したという感じがすごく強いです。
本当に苦労していたのですが、それを松山(博昭)監督が「一連で撮影します」とおっしゃったので、「ひゃーー!」となって、必死にセリフを覚えました(笑)。
――監督とはどのような話を?
監督からは「リアリティを持って…」と、ご指摘をいただきました。
そこで、サキが思うこと、大事にしていることを普通のこととして考えなくてはいけないのだと思いました。
――原作の中でも、とりわけ不思議なエピソードです。
そんな回に私が出演することになってしまったんですね(笑)。ですけど、苦労して演じた分、できあがりがとても楽しみになっています。
――菅田さんとの共演はいかがでしたか?
菅田さんは、すでに役を自分のものになさってました。
お芝居では、絶妙なタイミングで他人の会話に空気のように滑り込んでいらっしゃるんですよ。
割り込むのではなく、別世界からフワッとした感じですね。それもリアリティのあるセリフというより、独特の哲学を織り交ぜるじゃないですか。
それを、菅田さんは難なくこなされます。立ち姿、居ずまいから絶妙な雰囲気を醸し出されていました。
――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
整のように謎を解ける人は、地に足がついているというか…。人間は誰しも日常の中で右往左往しながら生きていて、摩擦やトラブルが起きてしまいます。
それを解決しようとして、ときとして事件になってしまったりします。そんな事象を整のように俯瞰(ふかん)で見る力があれば、未然に防ぐこともできるでしょうし、カオスにならないようにもできるのではないでしょうか。
そんな“整エネルギー”が少しずつでも私たちにあればと、彼の資質を少しでも分けてほしいという感じもあります。
菅田さんは、普段からそんな“整資質”を持たれているような気がします。絶対にパニックにならないだろなと。
とにかく、整というすごく“ととのって”世界を見られる人と真反対の摩擦の中で、もがきながら生きているサキという人物を演じています。
両極にある人間の姿を楽しんでいただければと思います。