<コラム>『最高のオバハン中島ハルコ~マダム・イン・ちょこっとだけバンコク~』第2話
いや~今回もひどい(褒めてる)。相変わらずひどい(だから褒めてます)。いや、いつも以上にひどい(うん、だから、褒めてますよ?)。だってだって、今回のストーリーライン、振り返ってみますとね???
・前回ラスト、妙にミステリアス風吹かしてた龍くん(堀海登)がふいに登場!!
・その自己紹介の間、いづみ(松本まりか)の会社が突然買収でクビの危機
・とかしてたら、いづみ、早速、買収された会社で面接
・そんなこんなの隙に、ハルコ(大地真央)がニセ広告に!!
・そして編集長の名前が、尾石初郎(おいし・ういろう)!(ネーミングが雑)
という、この新キャラ初登場~自己紹介~主要キャラの会社が買収~早速面接~メインエピソードの提示(しかもハルコがニセ広告に利用されるっていう引きの強さ!)~“ういろう”というキャッチーネーム…ここまで、怒涛の、圧倒的情報量で、開始約5分という超スピード展開。
せめて、龍くんのキャラをもっと紹介したうえで(声小さいし)、いづみの会社の買収問題ももうすこしタメを作って衝撃度を上げれば、そこまでで25分は尺稼ぎできたというのに(尺言うな)、この無駄に意味不明に異常なハイテンポ!ひどすぎる。だけどだけど、こっからがまたひどい!!
・ニセ広告の主は、まさか買収問題の、いずみの会社だった
・とかビックリしてたら、いずみ共々(ういろう編集長に龍くんも)、その会社に即入社!!
・で、その社長が、キャラ濃すぎ。ワードをテロップに出しがち!!!
・だけどどうやらその会社、ホワイトだったっぽい
・とか言ってたら、謎の“地獄の研修会”へ
・いやだけど、単なる、低山ピクニック!!
・龍くんあきれて即帰宅!空気ぶち壊す
・“ういろう”「ロマン万歳!」で取り戻す
もう、この重要事項と“どうでもいい”がめちゃくちゃに混在しまくったこの展開、マジでひどすぎる(だから、褒めてるんですよ?)。
もうだって、第1シーズンからじっくりキャラを育んで、しかもその中で最も丁寧に育んできたはずの、いづみの、グルメ雑誌編集というそのお仕事を、こんなにあっさり手放した!と思ったら、こんな急激に、謎のシフトチェンジをしてみせて。
で、そんな超絶スピーディのハイテンション&テンポ感に戸惑いを隠せないでいたら、ういろう現編集長代理が「ロマン万歳!」とか謎のワードでオトすってさ(いや、オチてないけど)…ほんとに、このドラマ、ひどすぎるよ!?
うん、でもでも、こっから中盤にかけても、海野鰯(うみの・いわし:大友花恋)という雑パワーネームキャラが新登場したり、いづみが“WILLハラ”にあったり(未来の自分を想像させることがWILLハラらしい)、なんでかトイレで残業したり、そこでうめき声聞こえてきたり…と、その辺をかいつまみだしたらきりがなさ過ぎるんだけど、今回の何が一番ひどいかってさ、ハルコの“ニセ広告”と、いづみが入社した“ホワイト企業”の、その決着のストーリーラインのひどさですよ!!
・いづみ、あまりにも忙し過ぎて社長に窮状を訴えるも、なんでか社長が卒倒
・そしたら社長、すぐに復活
・とかしてる間に、ニセ広告の犯人は海野鰯ちゃんだと判明!
・だけど、その件、ハルコをリスペクトしてるから不問に処す
・で、社長、会社を“ホワイト”に見せたいがために、自分を追い込んでいた
・そんな社長に、ハルコが喝!!!
・ハルコ、ニセ広告に使われた商品の開発に手助けをして、ロイヤリティをゲット!!
(第2話・完)
うん、まじでひどい(だから、ホントに、褒めてますって)!!
だって、普通に考えて、このドラマが令和の“水戸黄門”と標榜するならば、もっと話の構造は単純なはず。だから、いずみが入社した会社はニセ広告も出しちゃうほど落ちぶれてて、ホワイトとは名ばかりの隠れブラックだった…だから、ハルコが喝!で、本来はいいわけじゃないですか?
それでも視聴者は、ベタだけどそういう話!ベタだろうが何だろうが、ハルコの喝!が見たいんだからなんでもいいのって納得するわけじゃないですか??
なのになのに、このハルコときたら、ホワイトと思わせといて実はブラック?までは予想の範囲内だったんだけど、実はホワイトではあるんだけど、その裏には隠された意外な真実が…っていう、ちょっと深みモードに入る?っていうその“意外”の初動を、いづみが倒れた直後に社長も倒れちゃうとか、“意外”を別角度の“意外”でデコレーションしてしまうことによって、なにが“意外”だったのか?迷子にさせてしまうひどさ(うん、ホントに、これ、マジで、褒めてますからね)!!
で、今回のエピソードの最大のトピックス “ニセ広告”を、真犯人は海野鰯!という衝撃を、視聴者に「あ、今回のハルコ、ミステリーだったのね?」って、体感させる前に、その件はハルコをリスペクトしてるから不問とぶっちぎりであっさり解決させてしまうという潔さのその向こう側過ぎるひどさ!!!ああ、なんてひどいのハルコ!!!
…うん、もう、そう、おわかりですよね?いつだってそうなんですが、「ハルコ」にとって“ひどい”とは「最高」と同義なのです!!
…いやだけど、これが、これこそが、中島ハルコ。時間たったらすぐ忘れちゃうけど、このへんてこさ、このひどさこそ、ハルコ。ほかのドラマで、このひどさは成立しないもんね??