『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』第7話完全版

五十嵐唯織(窪田正孝)のもとへ、甘春杏(本田翼)の父親で、離島で診療所を開いている正一(佐戸井けん太)が突然訪ねてくる。唯織に1枚の画像を見せる正一。そこには、かなり進行しており、外科手術も不可能なすい臓ガンが映し出されていた。

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同じころ、悠木倫(矢野聖人)は、昼食の時間も惜しんでIVR<画像化治療>の動画を見るなど、熱心に勉強を続けていた。そこにやってきた副院長・鏑木安富(浅野和之)は、悠木に対して一部の患者から苦情が寄せられていることを告げ、勤務態度を改めるよう指示する。

技師長・小野寺俊夫(遠藤憲一)が不在のため、急きょ「技師長代理」を任された黒羽たまき(山口紗弥加)も悠木を注意するが、悠木は愛想を良くするより、時間通り正確な検査をするほうが患者のためだ、と反発する。

そんな中、心筋梗塞を起こし、路上で倒れていた男性・今井陽一(戸塚純貴)が緊急搬送されてくる。陽一は26歳という若さだったが、精巣ガンが全身に転移しており、抗がん剤治療も効果が見られなかったため、現在は痛みを和らげる緩和ケアに切り替えていた。心筋梗塞を起こしたのも、抗がん剤の影響で血管が詰まりやすくなっていたためと思われた。

心臓カテーテル治療では日本でも五指に入ると言われる循環器内科の大森渚(和久井映見)は、唯織をサポートにつけて陽一の治療を行った。IVRなら唯織にも引けを取らないと自負している悠木は、自分が外されたことが納得できず…。

一方、杏は、正一からすい臓ガンであることを告げられる。だが正一は、積極的な治療を受けるつもりはないという。島に渡ったとき、最後まで白衣を脱がないと決めた、患者ではなく医師であり続けたい、という正一。杏はショックを受けながらも、別の病気である可能性を信じ、さまざまな文献を調べ始めた。

その夜、唯織が正一の画像を見ていると、悠木がDVDを手に戻ってきた。唯織が渚のサポートをしたIVRの復習をするのだという。だが、その際に腰に痛みを感じて屈みこむ悠木。心配する唯織に、悠木は大したことはない、と告げるが…。

あくる朝、出勤してきた悠木は、突然激しい痛みに襲われて倒れてしまう。ちょうど一緒にいた広瀬裕乃(広瀬アリス)や軒下吾郎(浜野謙太)らラジハメンバーたちは、整形外科医・辻村駿太郎(鈴木伸之)にも連絡を取り、悠木をラジエーションハウスに運び込んだ。だがMRI検査の結果、病変らしい所見は発見できなかった。

渚は、503号室を訪れる。そこに入院していたのは池田しずく(伊藤歩)という女性だった。「あと1ヵ月ですものね」。しずくは、そう渚に話し…。

入院することになった悠木は、陽一と同じ病室になる。末期ガン患者にも関わらず、明るく話しかけてくる陽一に、戸惑う悠木。陽一は、死ぬまでにラーメン雑誌に掲載されているすべてのラーメンを食べつくそうと思っているのだという。「ラーメン太郎」というアカウントで、食べたラーメンの紹介もしている陽一のお勧めだという店は、先日、悠木が訪れたものの、1時間待ちだと知って諦めた店だった。

悠木は、どうしてそんなに明るくしていられるのか、と陽一に尋ねた。すると陽一は、「ガン患者は暗くしていなきゃダメ?」と聞き返し、ガン患者も健康な人も、いつ誰がどこで死ぬのかなんて誰にもわからない、と続けた。

正一のことを知った辻村は、唯織に声をかけた。杏が医学部の学生だったころから父親のような医者になりたいと言っていたことを知る辻村は、自分が杏のことを支える、と唯織に告げる。「あなたがワシントンにいた間も、ずっと彼女のそばにいたのは僕ですから」。辻村は、唯織にそう言い残して去っていく。

正一が自己免疫性膵炎の可能性も考えられると知った杏は、もう一度詳しい検査を受けてほしいと説得。ラジエーションハウスに検査オーダーを出した杏は、正一に膵臓ガンの疑いがあることをたまきたちにも打ち明けた。

だが、検査の結果、やはり正一は膵臓ガンであることが判明する。わずかな希望も失い、読影室で泣き崩れる杏。辻村は、そんな彼女を抱きしめて…。

悠木は、車椅子に乗って病室を出て、廊下でIVRの勉強をしていた。だが、そこでも痛みに襲われてしまう。通りがかった唯織は、腰痛の原因は必ず自分たちが見つけ出すから待っていてほしい、と告げる。軒下、田中福男(八嶋智人)、威能(丸山智己)も、それぞれ悠木の病室を訪れ、彼を励ましていた。

夕方、杏は、正一を見送った。そこに、再び悠木が激痛に襲われたとの知らせが入る。しかし、CT検査装置が点検中のため、検査を行うことができないと知り、困惑する杏と辻村。そのとき、慌てた田中がゴミ箱を倒し、こぼれ出たゴミの中から、悠木が食事代わりによく飲んでいたDNAサプリメントの空き瓶がいくつも見つかる。

苦しむ悠木のもとへやってきたのは、正一だった。悠木の腰を診察する正一。そこにやってきた唯織は、悠木がDNAサプリメントを愛用していたことを正一に告げる。それを聞いた正一は、尿道結石の可能性が高いと判断し、CT検査の代わりに、IVP<静脈性腎盂造影検査>をしてはどうかと提案する。それは、CTの普及後には行われなくなった検査で、造影剤を静脈注射して腹部のレントゲン撮影をする方法だった。

ただちに悠木のIVP検査が行われ、右尿管に結石があることが明らかになった。水をたくさん飲んで結石さえ外に出れば、痛みも治まるという正一の言葉に、ホッと胸をなでおろす一同。唯織は、悠木の診察をする正一の姿を見つめていた杏に、正一は諦めたのではなく、医師でいることを諦めたくないのかもしれない、と告げる。「患者としてではなく、最後まで医師であり続けたい」という正一の言葉を思い出す杏。

退院が決まった悠木は、今回の一件を通じて、コミュニケーションの大切さを痛感していた。患者となったことで、スタッフとのささいな会話に心が軽くなることがあると実感したからだった。たまきは、そういうことが苦手だから技術を磨こうとした、という悠木に、自分も同じタイプだからわかる、と同意する。

そんなたまきに、陽一にことを切り出し、どんなに技術を身に付けたところで何もしてあげられない、とこぼす悠木。するとたまきは、不愛想なままでもいい、技術を身に付けることもいいが、それを目の前の患者と向き合わなくてもいい理由にするな、と技師長から言われたことがあった、と返す。

あくる日、悠木は有給休暇を申請する。陽一と一緒にラーメンを食べに行くためだった。2人は、ラーメン店をハシゴし、楽しいひと時を過ごした。

別の日、ラジエーションハウスにやってきた鏑木は、またSNSで悠木に関する苦情があったと言って、ラジハメンバーにスマホ画面を見せた。それは陽一のアカウント「ラーメン太郎」に掲載された、陽一と悠木のツーショット写真だった。

そこに添えられていた「甘春病院の不愛想な技師と食ったラーメン!最高に美味かった」という一文を読んでさまざまな思いがこみ上げてきた悠木は、在庫棚の裏に隠れて涙をこぼし…。

唯織たちラジハメンバーは、杏とともに正一を見送った。「思う存分医者を続けられるように応援するから」と声をかける杏。すると正一は、唯織を呼び、耳元で「杏のこと、よろしく頼むよ」と囁いた。その言葉に感動した唯織は、去っていく正一に向かって「お父さん、大好きです!!」と思い切り叫び…。

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