初の眉毛剃りに戸惑う菊之助さん 垣間見えた等身大の11歳

翌日、楽屋で少し緊張した面持ちの菊之助さん。
それもそのはず、舞台用の化粧をしやすくするために、はじめて眉毛を剃ることになったのです。

苦笑いしながら、しきりに「怖い」と口にしました。

菊之助:
剃っても同じ形に生えてくる?

父・菊五郎:
剃っても生えてくるよ。だってお父さんも生えてるじゃん。

菊之助:
細くするのじゃダメ?

父・菊五郎:
立役だけだったらいいけど、女方のときはそった方がいいよ。

菊之助:
うん、わかった。

オシャレも気になり始める年齢とあってか眉毛を剃ることに対して慎重な様子でしたが・・・最後は腹を決め、しっかりと剃りました。

「いいね」と周囲に褒められ、少し安心した表情を浮かべていました。

緊張と興奮 初日公演の舞台裏

そして迎えた襲名披露公演の初日。

スーツ姿で楽屋に現れたのは父・菊五郎さん。

父・菊五郎:
いつも通り初日は緊張感があるもので…。でも、いい稽古もできましたし、丑之助も…じゃない。丑之助って言っちゃうんですけどまだ(笑)。菊之助も朝起きてよく眠れたみたいで、体調もいいので、きょうはいい初日が迎えられるのではないかと思っております。

続いて、菊之助さんも会場入り。

楽屋では親子で直前まで、入念に最終確認を行っていました。
そして菊之助さん、いよいよ舞台へ。

舞台上では、父とともに息ピッタリの女方舞踊を熱演し、無事に演目を終えました。

菊之助:
お疲れ様でした。

父・菊五郎:
お疲れ様でした。よかったよ。

菊之助:
よかった…。

しかしその後、長時間に及ぶ舞台で少しずつ疲れが見え始める菊之助さん。

菊之助:
舞台に出ないと無理。早く舞台に出たい。

父・菊五郎:
早く舞台に出たい?眠くなっちゃう?
じゃあ行こうか?

最後の演目は、「弁天娘女男白浪」。

ⓒ松竹

舞台上では疲れを見せずに、稽古場で苦戦していた傘の向きもしっかり決まり、堂々とした演技を披露しました。

それでも、終了直後にはすぐに「袖から手が出なかった」「お客さんが一気に反応してたから、後半緊張しちゃった」と、自身の舞台の反省を口にしていました。

父・菊五郎:
今日のベストを尽くしたと思います。今日いただいたお客様からの拍手は、きっとせがれの人生の中で大きな支えとなりますし、
本人も「今日はできなかった」という反省もしていたようですので、また明日の朝起きて、「今日の舞台どうする?」ということをまた話しながら、菊之助としての2日目を進ませたいと思います。

八代目菊五郎さん、六代目菊之助さんの襲名披露興行は、演目を変えながら、歌舞伎座で6月まで行われ、その後、来年2026年にかけて各地を回る予定です。

(『ノンストップ!』 2025年5月5日放送より)