「お父さんのような歌舞伎役者になりたいです」。
その抱負から5年、尾上丑之助さんが史上最年少11歳で「六代目尾上菊之助」を襲名。
その舞台裏に『ノンストップ!』のカメラが密着しました。

舞台に向けての稽古から、人生初の眉毛剃り、そして初日公演まで…見えてきたのは、大舞台に懸命に挑む11歳の等身大の姿と、それを優しく支える父との、親子の絆でした。

2歳で初お目見得 花道で足を滑らせるアクシデントも・・・

東京・歌舞伎座で、2025年5月2日から5月27日まで行われた「團菊祭五月大歌舞伎」。
尾上丑之助さんが「六代目尾上菊之助」を、父の尾上菊之助さんが「八代目尾上菊五郎」を襲名して行われる、初めての興行となりました。

ⓒ松竹

2013年に生まれた、六代目尾上菊之助さん。
祖父はともに人間国宝の、七代目尾上菊五郎さんと二代目中村吉右衛門さんと、歌舞伎界きっての名家の生まれです。

2016年、2歳での初お目見得では花道で足を滑らせてしまい、恥ずかしさで顔を隠してしまうハプニングもありました。

2019年には、5歳で七代目尾上丑之助を襲名しています。

5歳の菊之助さんは会見でどんな役者になりたいかと問われ、「お父さんのような歌舞伎役者になりたい」と立派に抱負を語っていました。

そんな思いを語ってから6年、今回史上最年少の11歳で「六代目尾上菊之助」を襲名することとなったのです。

豪華キャストが集結 「團菊祭五月大歌舞伎」の舞台裏

“令和の團菊”、市川團十郎さんと八代目菊五郎さんの共演をはじめ、尾上松也さん、尾上右近さんなど、歌舞伎以外でも活躍する人気俳優が次々と登場する「團菊祭五月大歌舞伎」。稽古の様子も華やかです。

ⓒ松竹

その中で、特に注目を集めているのが、「弁天娘女男白浪」という演目。
菊之助さんや、寺島しのぶさんの息子でいとこの尾上眞秀さん、團十郎さんの息子・市川新之助さんなど含む、歌舞伎界の将来を担う平均年齢11歳の5人の俳優が一堂に会します。

尾上菊之助:
弁天小僧は傘の向きを『志ら浪』にしなきゃいけないんです。なので傘の向きを調整するというのを練習中です。それが難しくて…。

と、稽古で意識している点を語ってくれた菊之助さん。初日まで残り4日となった稽古場では、傘の持ち方などについて、父のアドバイスを真剣な表情で聞き入っていました。

手打式で正式に襲名 緊張の面持ちで臨む菊之助さん

初日まであと3日に迫った4月29日、襲名興行の安全と成功を祈る「古式顔寄せ手打式」が行われました。これをもって、正式に名跡を襲名します。

歌舞伎座に入ると、出演者が楽屋に入ったことを知らせる着到板や楽屋のれん、楽屋の入口表の札などが、新たな名前に変更されていました。

そして本番。
舞台上では、片岡仁左衛門さんや坂東玉三郎さんら100人あまりの歌舞伎俳優が見守る中、「八代目尾上菊五郎」「六代目尾上菊之助」が誕生しました。

菊之助さんは「このたび、祖父も名乗り、父が29年間名乗って参りました、菊五郎の家にとりまして大切な名跡、菊之助を、六代目として襲名させていただく運びと相成りましてございます」と、真っすぐ響く堂々たる声で、見事なあいさつを披露。
歌舞伎座に、万雷の拍手が鳴り響きました。

ⓒ松竹

手打式の終了後、『ノンストップ!』のインタビューには…

菊之助:
手打式が真のスタートなので、丑…菊之助としての、ちゃんとしたスタートが踏めた気がします。
菊之助というのは青年期の名前なので、今まで以上に精進してがんばっていきたいと思います。

と、緊張がほぐれたのか、晴れやかな表情で答えてくれました。

母・瓔子:
めったに緊張しないのに、ずっと緊張する緊張するっていっていたので、こっちも緊張しちゃったんですけど、なんとか無事に…よかったです。

11歳の息子の晴れ姿を、父・菊五郎さんも…

父・菊五郎:
良かったと思います。

Q今日はご褒美?
父・菊五郎:

そうですね。ご褒美メシに連れて行こうと思います。今日はステーキですかね(笑)

と、やわらかい表情を浮かべながら語りました。