AKB48を卒業後、女優として活躍する前田敦子。30歳の節目となる今年、14年所属した事務所から独立し、今年4月には離婚を発表した。女優として、母として、人生の転換期を迎えた女優・前田敦子の今とは?フジテレビ『めざまし8』にて、社会学者・古市憲寿が迫った。
“トップアイドルから女優へ”1本の作品がもたらした「決意」
10月13日(水)に発売されるフォトエッセイには仕事や子育て、そして恋愛観にいたるまでがつづられている。「私が経験している人生の転機は、自分でもすごく面白いと思うんです」という前田に、詳しく話を聞いていく。
古市憲寿:フォトエッセイを読ませて頂いたのですが、すごく面白かったです。
前田敦子:30歳を機に、とお話を伺ったときに、一回自分と向き合うために、そういう作業にもなるかな、と。
古市:(タイトルの)「明け方の空」というのは、どういう意味を込めたんですか?
前田:あれは秋元先生が考えてくださいました。「タイトル考えてくれないですか」ってLINEで送ったら、「いいよ」と1時間後ぐらいに(タイトル案が)30個40個ぐらいばっと来て。
2005年、秋元康さんプロデュースのアイドルグループAKB48に一期生としてメンバー入りした前田は、不動のセンターとしてグループを引っ張り、2012年に卒業。そして、女優の道へ進んだ。
前田:最近ですけどね(女優として)緊張しなくなったのは、この3年以内ぐらいですかね。
古市:昔はやっぱり緊張したのですか?
前田:しました。もう震えが止まらない10代から始まって、もう口まで震えるみたいな。初めてドラマに出演した時のことはそんな風に覚えているんですけど。
古市:自分の中で(女優として)どうステップ踏んでいったとかってあるんですか?
前田:それも秋元さんの影響はすごく大きくて、『映画を見なさい』って16、7くらいの時に言われて、一気に映画の世界にどっぷりはまりました。
「こんなに素敵に撮ってもらえるんだ」「女優を目指したい」と思わせた1本の作品
トップアイドルだった前田が女優への転身を決意したきっかけには、1本の映画との出会いだったという。
前田:10代の終わりぐらいに山下(敦弘)監督の「天然コケッコー」という作品が大好きで、その中に出てくる夏帆ちゃんと岡田将生くんがすっごい、すっごい、すっごいキラキラしていたんですよ。
こんなに素敵に撮ってもらえることがあるんだ、いいな、と思って“自分もやってみたい”と思ったんですよね。それで19歳くらいの時に山下監督に出会えて、実際に。作品に出させてもらって。それで卒業を決めました。映画の中の女優さんを目指してみたいなってすごく思えたんです。
「甘えていたらこれ以上の変化は難しい…」事務所から独立した理由
グループ卒業後、女優として歩み始めて、早9年。前田は今年、14年所属した事務所から独立した。
前田:自分にとってのきっかけが欲しくて、ここで甘えていると、これ以上何か変化がこれ以上難しいのかな?って思ったのがAKBの卒業の感覚と似ていて。
古市:あまりその場所に安住していたくないというか?
前田:そうなんですよ、10年同じ場所にいられないので。
古市:本当に自分だけの時間ってあまりないんじゃないですか?
前田:ないですね。たまに2日間とか休みがある時は1日は「無」になったりしますね。丸1日、昨日は動物園に行きました。
古市:子供と2人で?
前田:いや、元旦那と3人で行きました。仲がいいんですよね。長い休みのタイミングとか、私も休みがあったら、絶対「じゃあ子供と出かけよう」と、企画して出かけますね。結婚している時よりもお互いが、オープンになれているって感じで、これはもう、やってみなきゃわからないことなんだなって思いましたね。離婚して何かがいきなり変わったというより、もっとこうやって楽に考えればよかったよね、みたいな。
秋元康さん「肝の据わった、腹を括った強さを持ったなあ」
話は古市も親交のある、前田の恩師・秋元康さんについて。
古市:きょう、秋元さんから前田さんにメッセージをもらってきたんですよ。
古市に託された、秋元さんから前田へのメッセージが紹介された。
僕は前田敦子は、女優としては天才だとずっと、思って来たのですが、それは、やはり、彼女のある種の“狂気”に起因するものでしょう。感情の激しさが、人間の業を映し出しているというか…。
そんな前田が結婚して、妻になり、母親になり、離婚して、“子供を守らなきゃ”という圧倒的な母性が加わり、さらに、肝の据わった、腹を括った強さを持ったなあと。地に足がついたというか、多少のことでは揺らがない自信というか、覚悟みたいなものを感じます。
わがままで暴れん坊の前田敦子も好きでしたが、母親としての強さを得た前田敦子も好きですよ。これからの女優業に期待しています。
前田:うれしいです。いつも天から見ている感じで見透かされている感がすごいです。
古市:前田さんのある種の狂気って言ってますよ。
前田:泣きわめいたり、怒ったりしている時も何回も見せてますし、秋元先生に怒ったこともありますし、ソロの楽曲をいただいたときに「歌いたくない」と言ってふさぎ込んで、秋元先生が(心配して)見に来てくれたんですけど、「入らないでください!」と言って締め出したことも。
古市:“腹をくくった強さ”というのはありますよね。
前田:今でも秋元先生には、本当に悩んだときに弱音を吐くんですよ。こういうことがあって、「すごく嫌だと思いました」って言っても、秋元先生って、いつもすごくシンプルに励ましてくれて「大丈夫だよ、子供がいるだろ」って言われて終わるんです。「そうですよね、私、子供のためにがんばります」っていつも切り替えさせてくれるんです。
圧倒的な母性が加わり、強さを持ったという前田さんが見据えているこの先は…。
「子どもに居場所を作ってあげられる母親に」
前田:子供が自分でやりたいことを見つけられるような、居場所を作ってあげられる母親になりたいです。
古市:どんな30代にしていきたいですか?
前田:求められたいですね、映画の皆さんに求めてもらえる人でありたいです。