――被写体としてどんなことを心がけましたか?

“作らない”ということかな。いつもは楽曲の世界観や役柄に近づけることを目指していますが、今回は等身大の自分を表現することが目的だったので、余計な力を入れず、そのままで。

今まであまり見せないようにしていた部分も含めて、「これが自分だよ」というものが伝わるように意識しました。

――撮影にあたってウェイトを増やしたのだとか。

写真集はビジュアルが大事で、体を大きくしたほうがいい画(え)になると思ったので、トレーナーさんに協力していただいて、食事とトレーニングで10kg増量しました。

10kg増量した肉体で撮影に臨んだ『Art & Age』より

マイナス10度の気温の中、機械の故障で水風呂に沈み…

――撮影中の印象に残っている出来事やハプニングがあったら聞かせてください。

作中のインタビューパートでも話していますが、バスタブに沈んでいるカットは本当に大変でした。撮影を行ったのは今年の初めで、気温はマイナス10度くらい。それなのに給湯器が壊れてしまい、水風呂に入ることになったんです。

――真冬のニューヨークで水風呂は、ほぼ修行というか荒行ですね。

写真では数カットですが、一瞬で終わるものでもないので、セッティングを変えたり、何度も撮り直したり。顔は引きつっちゃうし、歯をガタガタ鳴らしながら、何とか気合いで乗り切りました。おかげでいいカットになったと思います。

ハプニングにより水風呂に入ることになったカット『Art & Age』より

――過酷な修行の一方で、犬のVelmaちゃんと砂浜で戯れているショットはとても楽しそうですね。

あのコはカメラマンさんが飼っているワンちゃんなんですけど、大好きな動物と一緒に撮りたいという僕の希望でゲスト出演してもらいました。場所がビーチということでテンションが上がったのか、冬の海に飛び込んだり、撮影クルーに突っ込んできたりなどコントロールが大変だったんですけど(笑)、おかげで僕もリラックスすることができて、サービスカットの「お手!」も撮らせてもらいました。

――インタビューパートでは、「纏(まと)う空気が美しい人」への憧れを明かしていますね。

自分にないものを求めたり、強がったりすると、心も体も強(こわ)張ってしまうと思うんです。人ってどうしても鮮やかなものに目を奪われがちですけど、そうではない本質的なところで魅力的な人、肩の力が抜けた人への憧れがあって。

失敗や後悔もありましたけど、今、こうして笑顔で過去を振り返ることができるのは頑張ってきた自分がいて、いろいろ学んできたからだと思うので、学び続ける姿勢を忘れず、より美しい人になりたいです。