<山本昌 コメント>
――バントについては、どんな印象がありますか?
やはりバントといえば、川相昌弘さんじゃないですか。世界記録も持っている方なんでね。
川相さんがジャイアンツにいたころは「何とかバントを失敗させてやろう」と思いましたけど、簡単に決められちゃうんですよね(笑)。
その後は、同じチームでプレーしましたし、僕らの世代でバントといえば、誰もが川相さんを最初に思い浮かべるんじゃないでしょうか。
――山本さんご自身の、バントに関する思い出を教えてください。
メジャーリーグの試合を見ていると、特に序盤ではバントをしないですよね。一方で、日本は初回からバントということもあると思います。
特にセントラル・リーグでは、ピッチャーも打席に立つわけですが、そこでバントの指示が出ることも少なくありません。ただね、ピッチャーがバントを失敗すると、その後の回で打たれてしまうという印象があります。
僕は、バントがうまく決まったときの勝率は、結構よかったんじゃないかな。ちなみにプロ野球投手の中での、歴代最多儀打の記録(153)も持っているんですよ。
そう考えると、バントを成功させたことで、2、30勝くらいは勝たせてもらえているかもしれません。だから、うまくて良かったなと思っています。
――主人公・柳澤大翔にちなんで、ホームランバッターに対する印象は?
ホームランバッターに関しては、王(貞治)さんを筆頭に、素晴らしい先輩方がいますけれど、僕はやっぱり、同世代の打者の印象が強いですね。
特に山﨑武司は、通算403本も打って、セ・パ両リーグでホームラン王に輝いていますからね。思い返すと、僕らの現役時代のほうが外国人選手のホームランバッターが多かった気がするんです。
アレックス・カブレラ選手とかタフィ・ローズ選手とか…ウラディミール・バレンティン選手もすごかったですね。
今は、そうした外国人選手のホームランバッターがちょっと見当たらないし、そもそもホームランが少ない野球になってきているのかなと思っています。
――これまでにドラマ出演の経験はありますか?
以前にも、野球関連のドラマに出させていただいたことがあります。引退後にいろいろなお仕事をやらせていただいていますが、ドラマ出演は緊張するものの楽しいです。
特に今回の撮影は、いつも出演している『ドラHOT+』のスタジオでしたし、レギュラー陣と一緒だったので、落ち着いて収録に臨めました。むしろ、ちょっと笑いすぎたかもしれません。
――主人公・柳澤大翔を演じる鈴木伸之さんの野球シーンはいかがですか?
打ち方とか打席での構え方など、すごく様になっていますよね。落合監督時代のユニホームも似合っていますね。かっこ良くてホームランも打つ、もし柳澤大翔のような選手がいたら、人気が出るでしょうね(笑)。
――『バントマン』は、ホームランバッターだった大翔が「バントの精神で第二の人生を歩む姿」を描きます。
ユニホームを脱いで新たな人生を歩むというのは、プロ野球選手なら誰しも経験することなんですよ。少し特殊な世界で頑張ってきた人間が一般企業に就職したりするわけですから、やはり戸惑うこともあるでしょう。そういう意味でこのドラマは、とても現実に近い話なんだろうなと思っています。
――中日ドラゴンズと東海テレビが初タッグを組んだドラマでもあります。どんなことを期待しますか?
昼ドラで知られた東海テレビなので、素晴らしいできになると思っています。主人公は「戦力外通告を受けたプロ野球選手」ですが、私も実際にそんな後輩から相談を受けたことが何度もあります。みんな、セカンドステージで頑張っていました。
『バントマン』でも、主人公の柳澤大翔の頑張る姿が見られることを期待しています。