――青春ミステリーと密室サスペンスがかけ合わさった本作。撮影を終えての感想を聞かせてください。
物語の前半と後半で、雰囲気が全然違います。前半は6人で手を取り合って、皆で一致団結して内定を目指していて、「こういう就活の形もあるんだ」とか「自分も頑張ろう」と思えるストーリーだと思います。
でも後半は、皆の嘘がどんどんバレて…と、かなり緩急がある作品です。密室の会議室で行われる最終選考のシーンは、僕たち6人の芝居を含め、すべて誤魔化しがきかない空気がありました。役者として試される勝負どころだなと、身が引き締まる思いでした。
――佐野さん演じる九賀は慶応義塾大学総合政策学部の学生で、フェア(公平)を愛するキャラクター。佐野さんが思う、九賀の魅力を聞かせてください。
九賀は統率力がありますし、周りを見る力もあって、よくも悪くも先のことを計算して実行に移す力がある。冷静でリーダーシップがあるように見えますが、ちょっと考えが幼稚なところもある気がします。そこが人間っぽさもあっていいのかな、と思います。
試行錯誤の撮影は「違和感がないか不安だった」
――演じるうえで、苦労したところはありますか?
結構、悩みながら演じていました。九賀もほかの5人も、本当のことを言っているかもしれないし、嘘をついているかもしれない。九賀はクールに見えていろいろな感情を秘めていて、台本に描かれてないことも含めて、どう色付けしていくか監督と相談して作っていきました。
その芝居が最終的にどうつながって見えるのか、違和感がないか不安でしたが、完成作を見たら安心しました。
――撮影のなかで、楽しかったことや手応えを感じたことはありますか?
ドラマや映画の撮影は、段取りやリハーサルをして少し修正してもう本番、みたいな感じで、芝居をあれこれ試す時間が少ない場合が多いんです。でも今回は、何度も試してからできたので、“噛めば噛むほど”じゃないですけど、芝居を詰めれば詰めるほど「こうやったほうが、気持ちがハマるな」っていうコツがだんだん分かってきて。そういう楽しさがありました。
6人の“芝居合戦”とも言える密室での最終選考シーンは、役者として手応えを感じたよう。そんな佐野さんに、浜辺さんらの印象を聞くと“ムードメーカー”が判明!