<ストーリー>

東京近郊にある古刹・泉楽寺。フレンチシェフ・遠海翔太(神山智洋)の前に、副住職・方丈輝元(中村海人)が見せたのは、使われなくなったリヤカー式の屋台。 

「赤ちょうちんにフレンチか… 案外いけるかも」。翔太と輝元の挑戦が始まる。 

2人の出会いは、通夜の返礼品に四苦八苦する輝元の前に、翔太が、宅配便のドライバーとして現れたことがきっかけ。故人が大好きだった卵料理で見送りたいと、カステラを注文した輝元。手違いで届かなかったのを受け、翔太は、まるでカステラのような卵焼きを作り、無事通夜を乗りきった。 

フランスのミシュラン1つ星の店で修行した翔太。帰国後、オーナーシェフとして店を開く予定だったが、過度なストレスで味覚と嗅覚を失い断念、ドライバーとして働いていた。 

「俺、副業で屋台をやりたい」。一方の輝元も僧侶の道を歩み始めていたが、大好きな料理への思いを諦めきれずにいた。輝元は、迷わず料理担当に翔太を誘う。 

オニオンスープ、白身魚のポワレ、たっぷり野菜のポトフ…。 泉楽寺の境内に、平日の夜だけ営業する「ミッドナイト屋台」がオープン。翔太の料理は評判を呼んだが、客が足を運ぶ理由はほかにもあり…。 

「何でも作ります」。お品書きの最後に輝元が翔太に内緒で書いた特別メニュー。 

「勝手なことをするな」と文句を言いながらも、翔太は客の注文に丁寧に応えていく。 

愛する夫の焼き飯、部活後の味噌ラーメン、異国での奮闘を支えたカレーライス…ごくごく普通の家庭料理とともによみがえる、さまざまな思い出やエピソード。料理が訪れる客の背中を押し、屋台はいつしかみんなの居場所に――。

左から)方丈輝元(中村海人)、遠海翔太(神山智洋)