アメリカ西海岸の劇場で「ヘドウィグ」と出会った三上さんは、ステージで紡がれる音楽に大きな刺激を受けたのだとか。そんな楽曲を今回、披露するにあたり、20年間待ちわびた観客を「がっかりさせたくない」と力を込めます。

<三上博史 インタビュー>

――20年ぶりに『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』がライブ・バージョンとして復活しますね。改めて、この作品との出会いについて聞かせていただけますか?

今回、20周年記念ということで話をいただいてから、当時のことを思い巡らせていたのですが…。実は40歳の時、役者稼業をもう引退しようと考えていたんです。

そんなときに、寺山修司没後20年記念公演『青ひげ公の城』に出演して、「こんなに自由に泳げる場所があるんだ」と、舞台演劇に気持ちが傾倒していきました。

そのころ、僕はアメリカの西海岸に住んでいたのですが、小さな町の劇場でたまたま『ヘドウィグ〜』を観ました。とにかく音楽が強烈に印象に残って、「ああいう音楽をやりたい」と思っていたら、偶然にもミュージカルのオファーがきたんです。

――『ヘドウィグ〜』に出演していた当時は、どのような心境でしたか?

泳ぐように自由にやれたし、すごく手応えがありました。日に日に客席の熱が盛り上がっていくのも実感して…。あの盛り上がり具合は、まさに“増殖”という感じでした。

――あまりの熱狂から、翌2005年に再演もされました。その舞台が今回はライブ・バージョンとなります。

当時は10㎝のピンヒールを履いて、歌って踊っていたんです。2年目を終えたときに、さすがにしんどくて、「もうできない!」となって(笑)。

そこで一度身を引いているので、今回、「20年経って何ができるんだろう?」と、最初は悩みました。フルでやるのはさすがに無理だけれど、待ってくれている人たちがいるのもわかっていて、その人たちをがっかりさせたくない。

そこで、「20周年のお祭りだから曲を披露しよう」と決めました。そもそも20年前も、楽曲をやりたいというところから始まっていましたし。

観客がもっとも気になるのは、ステージに登場するヘドウィグがどのような扮装をしているのか。三上さんは「皆さんの思いが手に取るようにわかる」と静かに語ります。