8月7日(土)より、伊野尾慧主演、そのバディを神宮寺勇太が務めるフジテレビ系オトナの土ドラ『東海テレビ×WOWOW共同製作連続ドラマ 准教授・高槻彰良の推察』が放送される。

本作は、東海テレビ×WOWOW共同製作連続ドラマ・第三弾。Season1を、東海テレビで放送後(全8話)、Season2を、WOWOWプライム、WOWOWオンデマンドで10月10日(日)23時~放送・配信予定。

『東海テレビ×WOWOW共同製作連続ドラマ 准教授・高槻彰良の推察』の記事はこちら!

『准教授・高槻彰良の推察』は、完全記憶能力を持った民俗学の准教授・高槻彰良(伊野尾慧)と、幼少期の怪異体験がきっかけで人の嘘が歪んで聞こえるようになってしまった大学生・深町尚哉(神宮寺勇太)の凸凹バディによる謎解きミステリーで、「コックリさん」や「呪いの藁人形」など不思議な怪異事件が登場する。

原作は、澤村御影の小説「准教授・高槻彰の推察シリーズ」(角川文庫)で、ドラマ化解禁に伴い重版がかけられたが、売り切れる書店が続出するなど、放送前からその期待値は高い。

同じオトナの土ドラ枠で『その女、ジルバ』(「その女、ジルバ」 有馬しのぶ/小学館「ビックコミックス」)、『最高のオバハン 中島ハルコ』(「最高のオバハン」シリーズ 林真理子/文春文庫)など、話題の原作ものを手がけた松本圭右プロデューサーが、今作も担当。原作を映像化する意味や難しさ、そしてドラマの見どころを聞いた。

<松本圭右(プロデューサー)インタビュー>

――原作ものを映像化する意味は、どういうところあると感じていますか?

松本:もともと、本が好きなんですけど、自分で読んだときに「あ、このセリフいい」とか、「このエピソード、刺さるわ~」となったものって、ずっと残るじゃないですか?それが、自分を作る構成要素にもなったりするんですけど、ある日唐突に「あの原作のあのセリフ、今、多くの人に見てもらいたい!」と、自分の中から衝動が生まれる瞬間があるんです。

“今、この時代だからこそ届けるべきメッセージがある”というか…そんな言い方をすると、上から目線でおこがましいのですが、電波を借りている身として、少しは世の中のためになることがしたいなと(笑)。

人が一生のうちで接触できるニュースやエンタメ、文化って、実は結構少ないと思うんです。そんな中で、テレビドラマって比較的、触れやすい位置にあると思うんです。だからドラマにすれば、一生触れなかったかもしれない人たちにもメッセージを届けられる可能性がある。

“難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く”ドラマにして届ける。それが、映像を生業にしている人間、映像屋の義務だと思っています。ほぼほぼ劇作家の井上ひさしさんの言葉の受け売りですけど(笑)。

―― 原作「准教授・高槻彰良の推察」の魅力は?

松本:原作を読んだときに、異能を持った准教授と大学生による謎解きものというキャッチーな部分がありつつも、その裏側にある怪異事件を起こしてしまう人たちが抱えている孤独が、自分の思いを表に出しにくくなってしまった今のコロナ禍の日本の空気感と重なって見えたんです。同調圧力というか…「本当は〇〇したいけど、できない」っていう心の叫びとして。

そんな中、主人公の高槻は、悩める人たちにとことんやさしいんです。同じ物事でも“解釈”を変えれば見え方も変わり、楽になることもあるよと教えてくれる。すごいキャラクターですよね。

今、高槻がそばにいたら、救われる人が多いんじゃないかなって…WOWOWの高江洲(義貴)プロデューサーも同じ意見だったので、すぐに一緒に出版元のKADOKAWAさんにお願いに行きました。澤村先生には、映像化を快諾していただけて感謝です。

――それでは、ドラマ版『准教授・高槻彰良の推察』の魅力は?

松本:実は、このドラマは普通の人たちが主役の物語なんです。主人公の高槻は、完全記憶能力が、バディを組む大学生の尚哉にはウソがわかる能力がありますが、それぞれ普通に悩んだり葛藤したりする。異能を持つ=スーパーヒーローではないんです。

そこが何より大事な部分で、だからこそ見ている人にも自分の物語として共感してもらえるものになるんじゃないかと思っています。人間誰しも他人と違う部分ってあるじゃないですか。それがたまたま異能だっただけで、悩みは普通に存在する。

アベンジャーズだってそうですよね?人間くさい部分があるから、人は魅力的なんだということをドラマを通して描いていけたらと思ってます。そういう意味では、『ジルバ』も『ハルコ』も一緒ですね。同じプロデューサーが担当するとテーマって自然と似てきちゃうんですよ。だから、またかって思われないように、描き方の違いはけっこう頭を使って考えています(笑)

――今回の、キャスト陣へのこだわりを教えてください。

松本:もともとキャラクターが強い原作なので、それに負けないくらいのパブリックイメージがある方がいいと考えていました。

伊野尾さんなら、理知的な准教授として説得力もあるし、それぞれの人が抱えているものに寄り添うようなやさしさを表現してくれるんじゃないかと思ったのでオファーしました。衣装合わせ前に、読み合わせで初めて伊野尾さんと会ったのですが、すごいなと思ったのは声の出し方をすでに考えてきていたこと。

准教授という人に教える立場の人間のセリフなので、耳で聞いてちゃんと頭に入ってくるセリフ回しを、最初から意識されていたんです。相手(ドラマを見てくれる方)のことをちゃんと考えてるその姿に、「あ、高槻そのものじゃん」と安心したのを覚えています(笑)。

一方、高槻とバディを組む尚哉はセリフが少なく、そのぶん彼が抱えている孤独やナイーブな一面を表情だけで表現しないといけないシーンが多いんです。台本の「……」に込められた思いが、実はとても重要で、脚本の藤井さんとも「……」の意味の確認を良くしているくらい(笑)。

そんな難しい「……」を、神宮寺さんがちゃんと表現してくれています。尚哉のリアクションを見ていれば、そのシーンの意味がわかるくらい。台本を読んだときのイメージ以上のシーンがどんどん撮影できているので楽しみにしていただければと思います。

高槻研究室の大学院生・瑠衣子役の岡田さんは、“芝居への愛、情熱がすごい伸び盛りの元気女子”です。こういう俳優さんには、プロデューサーはどんどん難しいシーンを作りたくなる(笑)。親戚の子を見守るおじさんの気分ですね。育てると言うとおこがましいですが、間違いなく大女優になる素質を持った女性だと思います。

ほかにも、尚哉の友人・難波役の須賀さんや、高槻の幼馴染・佐々倉役の吉沢さん、あとゲストでは『ウツボカズラの夢』で主演していただいた志田未来さん、『その女、ジルバ』でブラジルパートの賀太郎を演じて下さった久保酎吉さんなど、コネも使いながら(笑)、実力派に集まってもらえました。

本当に理想的なバランスのキャスティングができている気がします。間違いなく“いい芝居”がお届けできるので、土曜の夜、怪異ミステリーの世界にどっぷりはまりこんでいただきたいです。

――第1話の予告動画も公開され、ゲストが志田未来さん、温水洋一さんであることも発表されました。

志田さん演じる、まりかが自分の思いを告白するシーンがあるんです。志田さんに対する伊野尾さんの最後のひと言の喋り方と、それを受けての志田さんの表情の変化は、瞬きせずに見ていただきたいですね。

男女関係なく人をやさしく包み込む高槻が、1話のその場面でしっかり作り上げられているので、ぜひ注目してほしいです。

<予告動画>

<第1話あらすじ>

過去の怪異体験から人の嘘が歪んで聞こえるようになってしまった大学生・深町尚哉(神宮寺勇太)が、何となく受講した民俗学の講義で出会ったのは、完全記憶力を持ち、怪異現象にしか興味のない准教授・高槻彰良(伊野尾慧)。

変わり者だが言葉に嘘がない高槻に、尚哉は興味を持つ。そんな中、近所の小学校のとあるクラスで「コックリさん」を巡る怪異事件が起きる。

担任の平原まりか(志田未来)と副校長の真鍋和夫(温水洋一)が困り果てる中、尚哉はなぜか高槻と助手の生方瑠衣子(岡田結実)と共にその謎を追うことに…。