関東にも出店している熊本県の有名洋菓子店「シェ・タニ」が、販売する商品の賞味期限を先延ばしにしていたことがわかりました。
2024年10月15日、熊本市内にある江津店を「めざまし8」が取材すると…、入り口の前には臨時休業を知らせる張り紙が貼られていました。
そこには、「保健所からの立入検査を受け、保健所と今後の対応や事実関係を調査中でございます。」という記載も。
同市内の別の店舗・流団店を取材すると…、店の前にハロウィンの装飾がされ、大通りに面するかなり大きい建物の店も、同様に臨時休業となっていました。
『シェ・タニ』によると、関係者から「商品の賞味期限を先延ばしするためにシールを貼り替えている」との通報を受けたことで、熊本保健所が立ち入り調査をする事態に。食品表示法に触れる可能性があるとして、保健所は調査を行っているということです。
賞味期限“改ざん”の疑い、明るみに出たきっかけは〝内部告発〟でした。
問題の“先延ばし“行為があったのは、アーモンドにチョコをかけた「アマンドショコラ」という商品。
渦中の「シェ・タニ」は10月15日、経緯について社長名でコメントを発表しました。
<シェ・タニ社長のコメント>
本件商品については主にバレンタインデー向けという季節商品であったことから調査機関への調査を依頼せず、賞味期限を設定し、かつここ2年ほどは売れ残った本件商品について類似商品の調査結果を参考に賞味期限の延長を行っておりました。
保健所からもそもそもの賞味期限の設定が科学的・合理的でないという点が問題であるとのご指摘を受けております。
食品の安全に詳しい東京大学の唐木英明名誉教授は、賞味期限の延長による健康面への影響についてこう話します。
東京大学 唐木英明名誉教授:
(アマンドショコラの場合は)賞味期限なので、バレンタイン用に作ったんでしたら多分2月頃ですね。そもそもの賞味期限というのは、3、4カ月あったということで、それを2カ月延ばしても倍まではいっていないと。
そしてチョコレートとアーモンドですから、味が多少変わったとしてもこれで健康被害が起こるということは、ほぼ考えられないということだと思います。
ただし、それをやってしまうと消費者が嫌がるということがあります。だからやめてくださいね、という消費者庁のお願いというのが出ています。
さらに、一部で報道されているシュークリームやケーキのクリームの再利用について、シェ・タニはこう説明しました。
<シェ・タニ社長のコメント>
確かにシュークリームについて売れ残りからクリームを抜いて別の皮に入れて販売していた事実はあります。
しかしながら、シュークリームは消費期限が2日間ですので、新しい皮へクリームを再利用し、2日目のものは廃棄しておりました。2日目のシュークリームの皮は柔くなってしまい、1日目と皮の状態が異なっておりクリームを使用しておりました。ですので消費期限1日の商品として販売することに何らの違法性はありません。
このクリームの再利用について、唐木英明名誉教授はこう話しています。
東京大学 唐木英明名誉教授:
(シュークリームの場合)健康にはなんの影響もありません。
昔は業界の方々は自分の感覚で決めていました。チョコレートだったら半年、1年は食べられるよとか。ケーキでもシュークリームでも周りの皮は柔らかくなってだめになるけど、中のクリームは大丈夫だから皮さえ変えればあと2、3日は大丈夫とか。そういう“感“で安全を守っていました。
でも今は期限表示をつけてしまったら、もうそれは守らざるを得ないということだと思います。
スタジオコメンテーターの若狭勝弁護士は、店側の責任についてこう話します。
――今回は「消費期限」ではなく「賞味期限」の問題ですが、店側の責任は?
若狭勝弁護士:
私はかなり重いものがあると思います。お客さんが賞味期限を先延ばししていたということを知っていたら、果たして商品を買うかどうかというところがポイントだと思います。
多くの人間は「賞味期限は少しくらい伸びても大丈夫だ」と思っていても、それがどの程度伸ばされているかも分からないとやはり買うのを差し控えると思うんですよね。
そういう意味において、それを知らないから買うわけですから、ある意味だまされる形になるんです。
店側が意図してないかも分かりませんが、場合によってはだまして商品を買わせている、代金をもらうということなんで、理屈の上では詐欺罪にもなり得るんです。
そのぐらいの問題意識を持って事に対処しないといけない。
(『めざまし8』 2024年10月16日放送より)
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