大須賀先生が「婦人科検診に行かなきゃダメです!」と即答する理由
イベント後半は「それって病気のサイン?〜婦人科検診に行っていますか?〜」をテーマにトークを展開。
一般的には、20歳を過ぎたら年に一度の検診に行くことが推奨されていますが、実際みなさんはどうなのでしょうか?
ここでは、大須賀先生から、産婦人科の専門医としてよく聞かれる“リアルな相談”が3つ紹介されました。
①「婦人科検診に行ったことがありません。やっぱり行かなきゃだめですか?」
②「子宮頸がんの内診検査が痛いという人が多く、身構えてしまいます。ほかの方法はありませんか?」
③「おりものや痒(かゆ)みなど…この症状は性病ですか?」
これらのリアルな相談について、大須賀先生は丁寧に回答しました。
日本の「子宮頸がん」と「乳がん検診」の受診率が4割程度と、欧米の7割以上に比べて低いことが報告されているそう。検診に行かない理由として、「費用がかかる」「面倒」「健康に不安がない」という民間企業の調査結果が紹介されました。
(がん検診の国際比較(厚生労働省)2023年7月時点/ロシュ・ダイアグノスティックス、女性の婦人科受診に関するグローバル意識調査)
厚生労働省では、40歳以上は2年に一度の「乳がん検診」、20歳以上は2年に一度の「子宮頸がん検診」を受けることを推奨していますが、なかなかハードルは高いようです。
これについて大須賀先生は、「行かなきゃダメです!」と即答し、その理由を「まず、地方自治体などが検診の無料券を出している場合が多いです。
続けて「検診に行くのは、自分のためだけではないですよ。自分ががんになって、悲しむのは誰ですか?家族、友人、パートナー…そういった人のためにも行かなければいけません」と力を込めました。
「早く見つかれば見つかるほど、子宮は残せます」
婦人科検診で見つかる女性特有の病気、「子宮頸がん」「子宮体がん」「乳がん」の3つについても大須賀先生は解説。
特に、検診を避けてしまいがちになる20~30代は「子宮頸がん」に注意が必要で、放置して手遅れになった場合、妊娠ができなくなったり、最悪、命を落としたりするなど、深刻な事態になるリスクもあるといいます。
阿部さんは、「面倒くさがってはいけない。命が一番大切とはわかっているのですが、乳がん検診でもやっぱり“痛い”というのがあると思う」と本音を吐露。
乳房を引き伸ばした状態でX線撮影をするマンモグラフィは、痛いと感じる人も多いとされますが、大須賀先生は「最近は超音波での検査も普及しています。一概に超音波のほうがいいと言えない部分もありますが、そこは医師に相談してください。場合によっては、超音波だけで検診が済む場合もあります」と助言しました。
景井さんは、「例えば、子宮頸がんが見つかったとしても、早期発見ができたら、その後の妊娠や出産には影響がないのでしょうか?」と質問。
大須賀先生は、「早く見つかれば見つかるほど、子宮は残せます。そして、がんが進むほど、子宮を失う可能性は高まります。その中間的な段階として、子宮は残せたけれども、子宮に傷がついてしまいその後の妊娠・出産に問題が起こりやすい、ということもあります。一番いいのは、非常に初期の段階で見つけること」と語りました。
さらに、子宮頸がんを予防するHPVワクチンについてのトークも。
カナダやイギリスでは8割の接種率に対して、日本では1割にも届かないという現状があるそう。2013年から8年間、政府が(公費で接種を行う)積極的勧奨を控えていた時期がありますが、日本では年間1万人以上が子宮頸がんと診断され、約2900人が亡くなるという状況です。2022年には積極的なHPVワクチン接種が再開されています。
現在、その8年間に接種できなかった人に向けた「キャッチアップ接種」も実施されており(2025年3月末まで)、未接種の方は厚生労働省のHPなどを確認するとよいそうです。
どのタイミングで婦人科に行くべき?セルフチェックを実施
また、「婦人科にいつ行ったらいいのかわからない」という人に向けた、セルフチェックシートが紹介され、阿部さん、景井さんがチャレンジする一幕も。
・婦人科検診に行ったことがない
・いつもより生理痛がひどい
・生理が2ヵ月以上来ない
・最近おりものがにおう
・からだがなんとなくいつもと違う
・普段の元気が出ない
このうち2つ以上あてはまった場合は、婦人科の受診を検討するのがよいのだそうです。
大須賀先生は「仮にひとつでも気になることがあれば、受診するのがおすすめです。女性の体は一言でいうと、女性ホルモンにものすごく大きく影響されています。ホルモンの不調が即、体調につながるのが特徴なんです。ですから、かかりつけの婦人科を見つけておいて、何か変だな、と思ったら、悩まないでそこに行って話を聞いていただくというのがいいと思います」と、かかりつけ医を見つけることの重要性についても教えました。
景井ひなは生理痛について質問「こんなにぶっちゃけて話すことはなかった」
こうして、約2時間にわたり、女性の心と体のさまざまな悩みや問題についてトークが繰り広げられた『わたしたちのヘルシー~心とからだの話をはじめよう in Oct.2024』 。
阿部さんは「もしかしたら大きな病気があるかもしれない…と不安な気持ちでストレスを抱える前に検診に行くというのが大事なことなんだ、というのを改めて知りました」と振り返りました。
景井さんは「こんなにおおっぴらに、ぶっちゃけて話すということはなかったので。しかも、先生お2人に来ていただいて、初めて知ることがたくさんありました。今回勉強したことを、友人たちに広めたり、自分のSNSで発信したりして、もっともっと自分の体を大切してもらえるような活動をしていけたらいいなと思いました」とコメント。
さらに景井さんは、自身や友人が悩んでいるという生理痛がメンタルに及ぼす影響について質問。大須賀先生からは、「現代において月経困難症でお腹が痛い、腰が痛いなどだけでなく、落ち込む、こうした症状の方も非常に多いんです。日常生活に支障がある様であれば、婦人科に相談してみて下さい。低用量ピルなど様々な選択肢があります。」と教えました。
さまざまな悩みに回答した対馬先生は、「今、ようやく女性がやりたい仕事も、妊娠も出産も実現できる、周りが応援してくれるような、社会の潮目にいると思います。だからこそ、女性がもっと生きやすくなったり、幸せになったりする知識や情報を私も発信していきたい」と語りました。
最後に大須賀先生は「女性の健康問題について、国も動き始めていて、さまざまな施策を打ち出してきています。この10年くらいでしょうか、対馬先生がおっしゃるように本当に潮目が変わってきている。それをいい方向に推し進めていくには、一人ひとりが自分の問題としてとらえて、理解をして、理解のもとに行動をする。受診もそのひとつの形だと思います。そういうことによって女性の健康がよりよくなっていくんじゃないかな、と思っています」と語り、イベントは幕となりました。
このイベントの模様は、2024年10月11日(金)10時より、TVer、FOD、『めざましmedia』公式YouTubeとXで配信されます。