<永作博美 インタビュー>
――映像を見た感想はいかがですか?
できることをとにかく必死にやる、その頑張り方が誇張なしで映し出されていて、身近に感じました。ゴツゴツした良い無骨感があり、ぶつかりながらも一生懸命進んでいる感じが微笑ましいし、 応援したくなるし、自分も頑張ろうと思いました。とても素敵な家族だと思います。
――永作さん自身は中学生と小学生のお子さんがいると思いますが、母・貴美子さんに共感する部分はありましたか?
そうですね。貴美子さんは、大貴さんが発達障害だと分かる前のことを振り返って、障害かどうかも分からないから、周りと同じレベルで生活を送れるように厳しく躾(しつ)けて学校に行かせるしかなかった、というようなことをおっしゃっていました。
たぶんこれは、どこのお母さん、お父さんも状況は違っても、同じように必死だと思います。子どもにキツく言いすぎた、やりすぎた、うまく言えなかった、優しくしすぎた…“子育ての正解”の境界線が探り探りで、いろいろなことがさっぱり分からないまま親をやっているような感覚です。
その上で、貴美子さんが、発達障害と知らず追い詰めていた自分のせいで、大貴さんにつらい思いをさせたと胸を痛めていたことにも共感しました。
大貴さんの父・充明さんは、誰のせいでもないと言葉をかけていましたし、実際、“誰かのせい”というのはないと思います。でも子育てをするなかで、どうしても「自分のせいで」という感情を抱いてしまう親は多いのではないかと思います。
貴美子さんや充明さんの言葉、葛藤、家族間での言葉のかけ方など、多くの方の共感を得られるような気がします。私は、特に貴美子さんのおっしゃることが、よく分かりました。
――貴美子さんが大貴さんのことを「(料理の)腕はある」と話していました。そこに自信があるからこそ、頑張れるのかもしれません。
大貴さんの料理は、見ていてとにかく食べたくなりますよね。特にハンバーグ!子どもを信じる、その信頼関係はすごいと思います。
貴美子さんは、大貴さんを自分の力で助けなきゃと、できるだけのことはしなきゃと考え、母として大きなものを背負っているように見えました。それこそ人間くさいというか、人間の生きる姿だなと。誰かに感謝しながら、誰かに謝りながら生きていく。生き方そのままを見せてもらった感じがします。
――人間くさいと言えば、大貴さんが貴美子さんの作業に口を出して親子ゲンカになる様子も、すごくリアルでした。
誰もが、ビックリするぐらい分かるだろうなと思います(笑)。何だかんだと親にくっついてくる子どもと、「自分のことやりなさいよ!」って怒る親。何度言っても聞かなくて、もう怒る術がなくて…っていうあの感じ、すごく分かります。
――家族に寄り添う素敵なナレーションでしたが、読む際に意識したことはありますか?
原稿に書いてある言葉を、そのまま読むだけです。作り手であるディレクターさんの意思があるので、それに抗(あらが)わず素直に読むと、ナレーションに自然と抑揚というか、うねりが出てくるのだと思います。今回も、映像にすごく美しい流れ(ストーリー)があったので、読んでいて楽しかったです。
――楽しそうな感じが伝わってきました。
それはもう、大貴さんたち一家が前に進もうとしていますからね。しんどい時もあるけれど、改めて前を向き直してその1日を楽しく生きている。悲しい描き方にしたくないというディレクターさんの思いが、私にも届いていたので、最後まで下を向かないように読もうと思いました。
予告動画
YouTube「FUJITV GLOBAL CHANNEL」で、『ザ・ノンフィクション』の予告動画を配信中!8月18日(日)14時~「母と息子のやさしいごはん2~僕と母さん 時々父さん~前編」予告。
配信スケジュール
8月4日・11日放送「新宿二丁目の深夜食堂~人生を奏でるビール瓶~特別編」が8月25日まで、TVer・FODで無料配信中です。
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