『366日』歌詞のあの部分が物語に?なぜ茨城県龍ケ崎市が舞台?
――放送後の反響はいかがですか?
恐れ多くもたくさんの反響をいただいており、ありがたいです。特に業界関係者の方から「見たよ」とご連絡をいただくことが多く、これまで手がけてきた作品のなかで一番かもしれません。外を歩いていても『366日』について話す声が聞こえてきて、大勢の方が見てくださっていることに驚いています。
――世の中に“恋の歌”は数多ありますが、なぜ今、16年前にリリースされた『366日』をモチーフに選んだのでしょう。
正直に言うとたまたまです。もともと僕自身がこの曲をとても好きで、去年の初めくらいに川崎鷹也さんと(HYの)仲宗根泉さんが歌っている映像を偶然見て「やっぱりいい曲だな」と思って。
その頃、ちょうど連ドラの企画を考えていて、「そういえばフジテレビ系列では昔、『天体観測』(2002年)のように楽曲がタイトルになっているドラマがあったけど、最近ないな…」と気づいたこともあり、この企画を考え始めました。
それともう一つ、僕は今年40歳になるんですが、『366日』はちょうど自分が入社した当時大ヒットしていた曲だったので、より思い出に残っているというのも理由です。
――『366日』の楽曲から、ドラマに具体的に取り入れている歌詞はありますか?
各話、歌詞を部分的に拾いながら作っています。たとえば第2話で明日香は、ようやく両思いになった遥斗が事故で意識を失うという現実に直面しますが、「それでもいいと思える恋」ってどんな恋だろうとか。第4話では下田莉子(長濱ねる)が彼氏と別れましたが「苦しい恋」ってどれほどだろう、とか。
全体としては、HYの皆さんがこの楽曲に込めたテーマ「大切な人を強く思い続ける気持ち」から発展して、“明日香が遥斗をどれだけ強く思い続けるか”を軸にストーリーを組み立てています。
――物語の時間軸を、高校時代と現在にフォーカスしたのはなぜですか?
最初は、高校時代から大学時代、そして現在に至る12年間の物語にしようと思いましたが、登場人物が大幅に増えて、視聴者の皆さんも感情が乗り切れないまま話が進んでしまうのではと考え、高校時代と現在に絞りました。
高校時代の舞台を茨城県龍ケ崎市にしたのは、僕自身が高校時代に何度か訪れたことがあったからです。個人的な思い出や、こういう青春だったらいいなという理想を乗せています。当初は広島にする案もありましたが、1クール前の月9ドラマ『君が心をくれたから』の舞台が長崎県だったので、関東圏にしました。
ほかにも、『366日』ということで、うるう年の2012年2月29日を調べたら、 東京スカイツリーの竣工日がまさにこの日だったので、第1話の高校時代の会話や、現在の明日香と遥斗の初デート先にスカイツリーを取り入れてみました。
――ちょっとした偶然や思い出が、このドラマを彩っているのですね。
そうですね。それから、ラブストーリーを作るうえで面白いなと思うのは、作品に参加する人たちの体験談がリアルに出てくるところ。
たとえば第1話で、 明日香と遥斗が手をつないだまま、青信号になっても横断歩道で横断歩道を渡らずキスをするシーンが出てきます。映画『花束みたいな恋をした』(2021年)にも似たような場面があるので、シチュエーションを変えるか変えないか話し合ったんです。でも皆で「信号待ちでキスしたことあるよね!?」って盛り上がって(笑)、信号待ちキスは“恋愛あるある”だろうという結論にいたって残しました。
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