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『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』のシーン

<試写室>『おっパン!』見ている僕らも「少しだけ“アップデート”に成功したんだな」と思える素晴らしい最終回!!!

3月16日(土)23時50分~土ドラ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』最終話

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フィクションの世界だけじゃなく、現実の世界も、少しだけ“変わった”気がしたんです!

 “バイオリズム”の素晴らしさ

なんといってもこのドラマ、“バイオリズム”が素晴らしいですよね?(急に)いや、“バイオリズム”って言うのは、波長ってことなんですけどね(知ってる)。

誰かが“下がる”と誰かが“上がって”、誰かが“下がる”と誰かが“上がって”…って、そういうこと、です。

例えば初回、主人公の誠(原田泰造)が、“アップデート”できていなくて“下がって”いたとき、大地くんは“上がって”いて(っていう言い方も変だけど)、後半、大地くんがある意味“上がり過ぎて”いるとき、円(東啓介)は“下がりまくって”すれ違いが起きてたし、で、それはメインの登場人物たちだけじゃなく、細部にまで行き渡ってて、第9話でお姉ちゃんが人と関わる才能がないって“下がって”たとき、お父さんの誠は順調にアップデートできていて、“上がって”たもんだから、的確に励まし、アドバイスもできるし…という、そのそれぞれの登場人物の“バイオリズム”が絶妙で、しかもそれが作為的…物語の作劇上であえてそうしてる、みたいには見えないもんだから、お互いが助けあって理解し合う世界=“ダイバーシティ”という、このドラマのテーマ、世界観を見事に表現できていたし。

で、実際の現実でも、上がってる人もいれば下がっている人もいる…しかもそれは不思議と申し合わせてるかのように呼応しあっていることが多いから、とてつもないリアリティまでも生んでいた…と思うんです。

うん、だけど、そうは言っても、ここまでの10回。毎回毎回、“上がってる”人と、“下がってる”人が対(つい)になっている、わけがなくて…全員が全員“下がって”いるときもあれば、全員が全員“上がって”るときだって、ある…よね…ってことで、その“バイオリズム”の美しさが、最終回、見事に、見事に、美しく重なり合う!!!!その、瞬間、大ラスを迎えるのです!

 

『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』のシーン

“テーマ”と“ドラマティック”の“食べ合わせ”

『おっパン!』のように、時代の変化に合わせて自らを“アップデートする”っていう、“テーマ”が明確なドラマって、“ドラマティック”との“食べ合わせ”が、すごく悪いような気がするんです。

だって、テーマ先行だと説教臭くなってしまうし、ドラマティックが先行してしまうと何を言いたいのか?がぼやけてしまったり、物語のためだけにテーマを乱用してるみたいになっちゃうじゃないですか。

で、今回の『おっパン!』も、ともすれば、説教臭くなってもおかしくないし、テーマを掲げるためだけに大地くんと円の関係性を安易に当てはめた作品になってしまう可能性だってあった、わけです。で、それはもう、みなさんもおわかりの通り、ここまでは、決してそうならなかった…。

うん、そう、なんだけど、そこまではいいとして、ことドラマの最終回(とその前の回)っていうのは、どうしてもこれまで以上のドラマティックを用意しなければならない宿命があるわけです。だから、これまでは良くても、最終回前~最終回にかけてのドラマティック、最終回への“引き”、は、とてつもなく慎重にならなければならなかったと思うんです。

で、で、その最終回への、大一番への“引き”が、大地くんと円の“結婚”に反対する大地くんの父(相島一之)が現れる…って、言ってしまえば、結婚に反対する敵=ラスボスが現れるっていう、とてつもないドラマティック、なわけじゃないですか。なんだけど、字面からすると、とてつもなく危険。だって、これまで散々、いろんな紆余曲折を経て、大地くんと円は“結婚”を決意したっていうのに、最終回の“ためだけ”に、大きな“引き”をつけるためだけに、ドラマティックを用意した、みたいになるじゃないですか。

だけど、決してそうでは、なかったですよね?(誰に確かめてんだよ!)だって、大地くんと円の“結婚”は、このドラマにおいて、“その先”も描かなければならない。当事者ではない第三者だけが判断して、“愛し合ってる同士”なんだからって、“その先”は曖昧(あいまい)にして、コトが進められるドラマではない…じゃないですか。

責任のとれない他人よりも何よりも、責任が伴う親の反対をどう乗り越えるか、は、このドラマこそが描くべきで、“理解し合える世界”の、最も高い場所、かつ、険しい場所、と言ってもいいわけじゃないですか。

うん、だって、そう、このドラマは「恋愛ドラマ」じゃないんですからね。人は生きていくなかで、仕事もするし、親とケンカもするし、友情もはぐくむし、恋愛もする…それらを描いた、「人間ドラマ」、なんですからね。

で、まさか、その、危険、にも思えた、“結婚の反対”ってのが、“ドラマティック”的にも、“テーマ”的も、最終回前で、見事に合致するという奇跡!!!!!…では、“その先”を描く、最終回とは?…そう!期待を裏切らないわけがないのです!!

 

『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』のシーン

“恋愛ドラマ”としての着地点

ついさっき、「恋愛ドラマ」じゃない、とか断言しといて、舌の根の乾かぬうち…どころの騒ぎじゃないですが、ま、そうはいっても、大地くんと円の、「恋愛ドラマ」としての着地点が、気にならないわけ、ないですよね!??!(間違いない)

だって、男女の恋愛ドラマであれば、好き同士、で、話は完結。結婚する。どうぞどうぞ。じゃないですか。なのに、大地くんと円の場合、好き同士、だけでは完結しなくて、“結婚する”とは言っても、日本では“認められていない”わけだから、それがどう着地するのか?こんなにも二人の恋愛模様に、ラストどうなるのか?に、ドキドキしてしまうこと、ないですよね。往年の月9なら、タイトルバックでもうどう結ばれるかどうかなんて、わかっちゃうしね。

だけど、大地くんと円は好き同士、とはいっても、その先どうなるのか、どんな決着を迎えるのか…。あぁ、もう、無理…。最後の場面…いや、最後のお衣装、二人のビジュアル(そこ!?)、を思い出しただけで泣けてくる…。

そんな(!?)僕のように、不純に、「恋愛ドラマ」として楽しんでいる方にも…いいや!大地くんと円の恋愛模様を見守ることの、どこが、不純だって言えます!?(自分で言うたんやん!)ねぇ?!?!どこが、不純ですか!?(いい加減にしろ!)

うん、そう、結局は、最後の最後まで、どうなってしまうのか?ハラハラドキドキがたっぷりの、「至高の恋愛ドラマ」にも仕上がっておりますので、どうぞ、お楽しみに!!

『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』のシーン

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『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』のシーン

“フィクション”飛び越えたよね?

最後に、僕がこれまで、あまりにもひとりで身勝手に熱狂し過ぎてしまったせいで、ずっと言い忘れていた大切なこと、があるので、最後ですし、ちゃんとここに記しておこうと思います。

それは、さっきも例に挙げた、お姉ちゃん(大原梓)が人付き合いがうまくないことで悩んでいた第9話の、あの場面…。誠が「萌はいい子だよ?」ってセリフを返した、あの瞬間、「あ、世界が変わったな…」って、思ったんです。

『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』のシーン

で、続けざま、大地くんと円が、大通りで“手をつないで”歩く場面を見て、その前の前の回、第7話で僕が叫んだあの言葉…(円が大地くんと一緒に熊本へ帰ったら)「あんた誰」じゃん!!「あの二人はゲイカップルだからね」って、すんなり、受け入れてもらえる、自然に受け止めてもらえる、そんな世界は、まだ、来てないじゃないかぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁーーーーーーーー!!!!(大号泣)…っていう、“あの叫び”が、このドラマの、あの場面によって、救われた気持ちになった…だけじゃなく、これはフィクションの世界だけじゃなく、現実の世界も、少しだけ“変わった”気がしたんです!!

そう、このドラマは、主人公・誠の“アップデート”を描いていたんだけれど、誠だけじゃなく、その家族が、大地くんが、円が、会社の同僚たちが、そして、見ている僕、視聴者全員が、みんな、少しだけ、 “アップデート”に成功したんだな!って、思えたんです!!

本当にそうなっているか?は問題じゃなくって、不思議と、日本が、世界が、変わりつつあるんだなって、このドラマを通して思えた!!…つまり、それって、このドラマ、“フィクション”、飛び越えたよね!?う…うん、だから、それって、そう!!!つまりそう!!!!大地くんと円が、もし、もし、もし、“そう”なったら(どうなったら!?)――

 

俺も、熊本帰る!!!(なんでだよ)

 

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