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5月31日（月）、映画批評家ならではの視点で選出される、第30回「日本映画批評家大賞」授賞式が行われ、各賞の受賞者が発表された。

「日本映画批評家大賞」は、映画評論家のみが選考委員を務め、“本音で”その1年の中で輝いた優秀な作品、俳優を選出する。

ここでは、授賞式の前半に引き続き、授賞式に登壇した各賞の受賞者のコメントを紹介する。

故郷の病院に転院してきた末期がん患者（中村梅雀）と、彼の最期の願いを叶えるべく真摯に向き合う担当医（津田寛治）の心の交流を描いた「山中静夫氏の尊厳死」で、W主演を務めた中村と津田が、異例の主演男優賞W受賞となった。

「異例のW受賞」となった経緯について選考委員は、「2人の相乗効果が素晴らしい。本当にすごいものを見せてくれた」と手放しで絶賛。

ニコニコと並んで檀上に登場した中村と津田は、トロフィーをもらう順番をコミカルに譲り合い。津田はうれしそうに「（登場したら）漫才みたいにやりたいと思っていた」と笑った。

津田は「中学1年生の娘が『トロフィーをもらえるんだね』と喜んでいたので自慢したい」と笑顔を見せ、死に向かう人を側で支える医師という難しい役については、「脚本を読んだときに、自分の芝居を壊す良いきっかけになると思った」と難役に挑んだ際の決意を明かした。

そして、「この映画に涙はいらない」と監督からあらかじめ伝えられていたが、中村との最初のシーンで思わず涙してしまったと吐露。改めて、共演者、スタッフ、周囲の人々に対して敬意を表し、「主演男優賞を死ぬまでにもらうという夢が叶った」と感極まっていた。

W受賞となった中村梅雀は、「明日で俳優生活56年、初の主演作でこんな賞をいただけて本当にうれしい」と喜びの声を伝えた。

脚本を読んだ際に、「これは役者として、どうしてもやらないといけない」と感じたという中村は、撮影の3年前に父（四代目中村梅之助）が肺炎で亡くなったことに触れ、病床でも「舞台に立たせてくれ」と懇願していた父の役者としての思いに触れたことを回顧する場面も。

また、撮影中に母が危篤状態に陥ったと明かし、「撮影中、常に死が近くにありました。気持ちの上で周囲の方々が支えてくれ、集中力を切らさないようにしてくれた」感謝を伝えた。

そして改めて、「津田さんがいなければあんな演技にならなかった、W主演でよかった」と津田に対し笑顔を向けた。

「朝が来る」で、特別養子縁組を斡旋するNPO法人の代表を熱演した浅田美代子は、助演女優賞を受賞。

浅田は鮮やかな着物姿で登壇し、「役者として賞をいただくのは初めてで、めちゃくちゃうれしいです」と満面の笑顔を見せた。そして、着用している着物について「河瀬直美監督との縁を作ってくださったのは樹木希林さん。今日は希林さんの着物を着てきました」と涙ぐみながらも、「緊張して何を言っているのかわからない」と喜びを伝えた。

作品賞：「星の子」
主演男優賞：中村梅雀「山中静夫氏の尊厳死」
主演男優賞：津田寛治「山中静夫氏の尊厳死」
主演女優賞：のん「私をくいとめて」
助演男優賞：宇野祥平「罪の声」
助演女優賞：浅田美代子「朝が来る」
監督賞：大九明子「私をくいとめて」
新人監督賞：内山拓也「佐々木、イン、マイマイン」
新人監督賞：HIKARI「37セカンズ」
新人監督賞：佐藤快磨「泣く子はいねぇが」
新人男優賞（南俊子賞）：宮沢氷魚「his」
新人男優賞（南俊子賞）：奥平大兼「MOTHER マザー」
新人女優賞（小森和子賞）：服部樹咲「ミッドナイトスワン」
新人女優賞（小森和子賞）：佳山明「37セカンズ」
新人女優賞（小森和子賞）：吉本実憂「瞽女GOZE」
ドキュメンタリー賞：「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」
アニメーション作品賞：「劇場版 ごん – GON, THE LITTLE FOX – 」
脚本賞：天野千尋「ミセス・ノイズィ」
脚本賞：入江悠「AI崩壊」
編集賞（浦岡敬一賞）：李英美「スパイの妻＜劇場版＞」
映画音楽賞：渋谷慶一郎「ミッドナイトスワン」
特別賞（松永武賞）：新文芸坐
国際審査員特別賞：チェ・ブラム
ゴールデン・グローリー賞（水野晴郎賞）：火野正平「罪の声」
ゴールデン・グローリー賞（水野晴郎賞）：田中裕子「おらおらでひとりいぐも」
ダイヤモンド大賞：大林宣彦