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「今もずっとペットロス、それでも僕は毎日うんちを拾い続けていく」坂上忍が亡き愛犬リクから学んだこと

映画「リクはよわくない」2021年10月1日(金)全国ロードショー

めざましmedia編集部

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無類の動物好きとして知られ、現在、犬と猫22兄弟と暮らす坂上忍。そんな坂上が、愛犬・リクと過ごしたかけがえのない日々をテーマに書下ろした絵本を原作にしたアニメ映画「リクはよわくない」が、10月1日(金)から全国公開される。

<坂上忍の絵本原作映画にくっきー!「『バイキング』の鬼畜所業太郎とダブらせないで!」ほか、坂上忍と動物たちの関連記事はこちら>

5歳の“ぼく”が子犬のリクとの交流を通して命の大切さを学んでいく物語に込めた思い、たくさんの動物との生活、動物を看取るということなど。「今朝は3時15分スタートで犬たち6組の散歩に行った」と、愛犬の海老原テンを愛おしそうに抱きながら語る坂上に話を聞いた。

<坂上忍インタビュー>

「今もずっとペットロス、それでも僕は毎日うんちを拾い続けていく」坂上忍が亡き愛犬リクから学んだこと_bodies

「動物と暮らすとこんなに楽しいよ」と伝えるだけで果たして良いのだろうか

―――この物語は坂上さんの実体験をもとに描かれていますが、5歳の“ぼく”を主人公にした理由について教えてください。

僕にとってこの物語はノンフィクションですが、子どもの“ぼく”を主人公にすると、僕のほうでも1枚フィルターがかかった状態になり、伝えたいことをより伝えやすくなった部分があります。“ぼく”という一人称で語ってはいるんですけれども、どちらかというと犬側の目線のほうを大事にしています。

子ども向けに絵本を書く際に、「動物と暮らすとこんなに楽しいよ」と伝えるだけで果たして良いのだろうかと考えて、子ども向けだからこそ動物を飼う大変さ、責任、必ず別れが来るということ、「失敗するとこんな後悔を生んでしまう」ということを盛り込まなければとの思いがありました。

僕の一番の後悔はリク(坂上家の5男・宝田リクゼン/イタリアン・グレーハウンド)との出会いと別れだったので、必然的にリクのことを書くという流れになりました。

――くっきー!さんが手がけた絵本のイラストそのままに、素敵なアニメーション映画になりました。感想はいかがですか?

「本当に映画になったんだ!」という、うれしさが一番ですね。今回、くっきー!に絵を描いてもらうと決めた時点で一切の口出しをしないと決めていたので。というか、口出しをしないくらい信用している人に描いて欲しいから、くっきー!にお願いしました。

映画化のためにエピソードを足す作業はやりましたが、他はノータッチの状態で完成作品を見たので、自分のことなんだけれども、どこか他人事でフワフワしている初めての感覚です。このセリフは自分が書いているはずなんだけれども、ちゃんと自分の手を離れている感覚というのでしょうか、素直にうれしかったですね。

「今もずっとペットロス、それでも僕は毎日うんちを拾い続けていく」坂上忍が亡き愛犬リクから学んだこと_bodies

常に「君は本当に僕の家に来てよかったですか?」と問いかけてしまう

――印象に残ったシーンは?

言ったらキリがないんですけれども、桜の中をリクが楽しそうに走っているシーンですね。リクはうちに来て1年経たないで亡くなってしまったので、実際にはリクにそれをさせてあげられなかった。あのシーンは見ていて(感情がこみあげてきて)ヤバいな、というのはありました。

あとは絵本でも最後に出てきますが、動物と暮らす自分に対して覚悟を持って言う“ある言葉”があります。それが人の手によってああやって伝えられると、全然聞こえ方が違うので本当に不思議でした。

――散歩に行きたがらないリクをぼくが引っ張ってしまい、リクの足を傷つけて後悔するシーンも描かれています。言葉が通じない動物とのコミュニケーションについて坂上さんが感じることは?

難しいなぁ…。僕のやり方は“ワンちゃんファースト”にはなっていなくて、自分のやり方を自分が肯定したかったがためのやり方だったのかなって。パグゾウ(4男・森田パグゾウ/パグ)まではそれでうまくいっていましたが、リクは体が弱かったけれど誰よりも頑固な子だった。それを僕のやり方でなんとかしようというのがまず大失敗だったと思うんですね。でもそういう失敗を繰り返して、ひとつずつ諦めずにやり方を変えていくしかないんだなと。

今僕は、6組に分けて犬の散歩をしていて、2組目に高橋くん(次男・高橋ヨースケ/ミニチュアダックス フント)、ブー太郎(9男・高木ブー太郎/シーズー)、ハル(10男・黄田川ハル/マルチーズ×ミニチュア ダックスフントのMIX)という3匹を連れて行くんですが、高橋くんが11歳半なのでやっぱりちょっとスピードが遅くなっているんです。先日、どうにもやっぱりおかしいぞと思いコースを変えてみたら、元気に歩くようになったんです。

僕はネガティブなので、「なんで高橋くんのスピードが変わった時点で臨機応変にできなかったのか、まだ僕は自分のやり方にこだわっているのか」と、いじけ虫になってしまいました。でも多分この繰り返しなんだと思います。うちの子たちには常に、「君は本当に僕の家に来てよかったですか?」って問いかけてしまうんです。

「今もずっとペットロス、それでも僕は毎日うんちを拾い続けていく」坂上忍が亡き愛犬リクから学んだこと_bodies

「人間が見習ったほうがいい」坂上家の兄弟たちのやさしさ

――多頭飼いの難しさについても坂上さんは折に触れて伝えていますが、逆に多頭飼いで得られたことは?

ありがたいのがうちの場合は、年功序列で、上のお兄ちゃんたちを見て学んでいくんです。だから途中からしつけをする必要がなくなっちゃった。もちろん、いいことばかりではなく、たまにいがみ合いもやっていますよ。でも動物ってすごいなと思うのが、こっちが何もしなくてもちゃんと向こうで折り合いをつけてくれる。そういうところは本当に人間も見習ったほうがいいと思いますね。

人間の場合は根に持ったりするじゃないですか(笑)。血のつながっていない、犬種が違うにもかかわらず一緒に暮らすとなったときに、あの子たちはちゃんとお互いの凹凸を埋め合うところが見事だと思います。それを見てまた僕は反省するわけですよ(笑)。

最近で言うと、パグゾウって好き嫌いがなく何でも受け入れてしまう気質の子なので、他の兄弟でパグゾウを嫌いな子っていないんですけれども、片足のないサンタ(12男・筑波サンタ/MIX)がどうやらパグゾウが苦手らしく、初めてパグゾウを嫌う子が出てきたんです。

けれど、これが今年に入りパグゾウの調子が悪くなってオシメをするようになったら、もうパグゾウが自分のベッドに来てもOKにしたんですよ。逆にパグゾウのことを弟たちがからかったりしていると、その子たちをサンタが威嚇する。大体飼い主って何でも良いほうに受け止めるものですが、僕は「なんていい子なんだろう」と感動しちゃって。やっぱりうちの子たちは違うわって(笑)。

「今もずっとペットロス、それでも僕は毎日うんちを拾い続けていく」坂上忍が亡き愛犬リクから学んだこと_bodies

「今もずっとペットロス、それでも僕は毎日うんちを拾い続けていく」

――「リクはよわくない」というタイトルですが、「強い」ではなく「弱くない」と表現した理由は?

“強い”とか言えないんですよね、強く見える人にも絶対に弱さはあるし、そういうところにも僕の卑屈な性格が出るんでしょうね(笑)。僕は子役のスクールをやっているというのもあり、子どもを子どもとして扱うのがあまり好きではなくて。子どもの方が大人なんかよりも秀でている部分があるし、大人がなくしてしまったものをまだ持っていたりします。

大人になると“逃げるが勝ち”ということも知るようになる。人にケンカで勝ったから強いではなくて、自分が傷つかないように逃げるということだって誰かを守ることにつながるんだと思うんです。そう考えたときにリクは強かったと言うよりは“弱くない強さ”であった。そういう考えがあってもいいのかなって。

リクが亡くなるとき、僕はドラマの仕事で長野にいたけれど、リクが虫の息状態だったので自分で運転して、毎日家と長野を5~6時間かけて往復していたんです。最後に長野から帰ってきたときは、一緒に動物たちの世話をしてくれている彼女は仕事で不在だったので、僕の膝の上でリクが息を引き取った。リクの亡骸をリク用のケージの中のベッドに寝かせてあげたら、マル(3男・円山ダイチ/フレンチ・ブルドッグ)だけが気付いてずっとリクの亡骸を30分以上見ていたんです。そのマルの姿を見たときに僕もいろいろなことを考えてしまって…。

後から思うとですけれども、その瞬間に僕の中でリクを亡くしてペットロスになるのか、そうならないかの分かれ目があったような気がして。リクのように病弱な子やいろいろな事情の子たちがいるのがわかったのなら、メソメソするのではなく、逆にリクが空けてくれた席に、そういう子を迎え入れてあげなきゃいけないんだって思ってしまったんです。

それですぐに「困っている子がいないか」と、知り合いに連絡をして数日後には太陽(7男・ジェームス・太陽・ブラウン/チワワとダックスフントのMIX)が家に来ているんです。後から彼女に、「あのときが1番あなたと別れようと思った瞬間でした」と言われたんですよ。「そんなふうに切り替えられる人とは一緒にいられない」と思ったらしくて。

マルも独特な子なので、もしかしたらリクのことをボケーッと見ていただけかもしれないんですけれどもね。でも、病弱なパグゾウや弱い子の面倒をすごく見る子なので、マルの姿を見て、いろいろなことを考えているのかなって勝手に想像してしまったんです。

「今もずっとペットロス、それでも僕は毎日うんちを拾い続けていく」坂上忍が亡き愛犬リクから学んだこと_bodies

――リクへの思い、動物を看取るということ、改めてどのように感じていますか?

僕は今でもリクの死から立ち直れていないんだと思います。立ち直れていたら絵本も作っていないだろうし。答え探しや穴埋めをしたがるというのは、人間にとって前向きな作業ではあるんですけれども、どこかで「どうせ答えなんかないんだろうな」と思っています。けれども、動物と暮らすことを継続することによって、「なんとなくこんなことだったのかな」というのが、僕なりにいつかわかればありがたいかなという感じですね。

今でもずっとペットロスですよ。ギンジ(6男・佐久間ギンジ/ヨークシャー・テリア)という子も8歳で亡くしているので、この気持ちはなくならないと思います。でも今はこれだけの命を抱えちゃっているんで、毎日僕はうんちを拾い続けていくということです(笑)。

映画「リクはよわくない」は、2021年10月全国ロードショー。

© 坂上忍/くっきー!/インプレス/MMDGP/リクはよわくない製作委員会
配給:東京テアトル/チャンスイン

最新情報は、映画「リクはよわくない」公式サイトまで。

撮影:河井彩美

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