市村正親 “枯れ専”女子がときめくキャラクターの原点は「子どもとの交流」

──川本を演じている長濱ねるさんの印象を聞かせてください。

かわいいですよね。何よりも、川本さんの、新人でカーッとなってしまう様子とか、周りに振り回される初々しい感じを演じるのがうまいなと思っています。事務員の制服も似合うし！

あとは、彼女は五島列島出身と聞いて、昔、劇団四季にいたころに公演で行ったことがあるので、その当時の話をしました。共通の好きなものとしてゴルフがあるので、何かというとゴルフのスイングの話ばっかりしていますね（笑）。

──桐谷健太さん、瀬戸康史さんの印象はいかがですか？

瀬戸さんは『ルパンの娘』でお世話になっていたので、「久しぶり！」という感じでお会いしましたが…このドラマでは、まだ本編の撮影では会っていないんです（笑）。赤ちゃんが生まれたというナイスなニュースがありましたし、またお話できたらと思っています。

桐谷くんは本当にいい人。勉強家で、面倒見が良くて、明るくて、気遣いがあって。現場にスーッと溶けていく印象がありますね。

コロナ禍でワインの勉強をし始めたそうで、免許もとったらしいんです。「このカリフォルニアワインは安くて美味しいんですよ」ということを教えてくれたりして、とてもありがたいです（笑）。

院内交番にいるのは桐谷くんとねるちゃんと僕の3人だけなので、2月中に新年会やれたらいいねという話もしています。

──川本はやりがいを求めて阿栖暮総合病院にやってきた経緯があります。市村さんが仕事を選ぶうえで大切にしていることを教えてください。

一番大事なのは、自分の好きな仕事を見つけることだと思います。自分の好きなことだったら、何があっても耐えられると思いますが、お金を稼ぐことを目的としてしまうと、その組織が嫌になっちゃいますから。それは趣味の延長でもいいと思います。

──ご自身も「好きなことを」と思い、役者を選んだのでしょうか？

僕は一人っ子で、かぎっ子でした。うちの目の前には映画館がありましたし、かぎっ子だったからテレビでドラマを見ることも多くて。「テレビの中には“何か”あるな」「スクリーンの向こう側には“何か”あるな」と興味を持っていたんです。

そうした下地があるなかで、劇作家・木下順二さんの舞台「オットーと呼ばれる日本人」を見たときに非常に衝撃を受けて。戦争中のスパイの話で、詳しいことは分からなかったけど、高校3年生の自分なりに“激しい人生”というものを感じたんです。

それがきっかけで「こういう激しい人生を生きることを生業とできる役者という職業、いいな」「よし、役者になろう」と思いました。

それから学校に通って、西村晃さんと出会って、付き人を3年間やって。付き人は師匠が第一で、自分は第二で仕事をするのですが、24歳になったときに「そろそろ自分を第一に考えたくなりました」とお手紙を出して、付き人を卒業したんです。

その後、劇団四季のオーディションに受かって、それからとんとん拍子に来ちゃったという（笑）。

でもずっと好きなことをやっていたから、くじけたことはありません。はじめのうちはお金にならなくてもいいんです。好きなことだから。好きなことを楽しく、一生懸命やっていれば、だんだん（状況も）良くなっていく気がしますね。

──好きなことを突き詰めてきた俳優人生かと思いますが、今後チャレンジしてみたいことはありますか？

あくまでも生涯現役。そのために体のコンディションを整えて、健康でいなければいけないなと思っています。

去年、俳優生活50周年を迎えましたが、舞台も映画もドラマもやっていて、いろいろなバリエーションの役をいただくので、「あぁ、面白いな」と思ったんですよね。これからもいろいろな役、いろいろな監督さん、いろいろな俳優さんと出会えるんだなと思うと楽しくて。だから、生涯現役でやっていけたらいいなと思っています。