フジテレビ・フィギュア班が取材動画を毎日配信!Vol.22

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、カナダ・モントリオールで開催予定の「世界フィギュアスケート選手権2020」が中止に。シーズンのクライマックスの舞台は失われ、様々な活動も停止する状況になってしまったが、来季までの想いを繋ぐべく、フジテレビ・フィギュア班が取材した動画が3月23日から毎日配信されている。

シーズン中に放送しきれなかったインタビューや取材動画、特別動画が続々と登場するので、フジテレビュー!!でもその内容を紹介していく。

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「“トップで戦えない存在”受け入れ、一からやってみたい」

【2019-20シーズン】 宇野昌磨インタビュー<前編>

「シャンペリー静かですよね」と宇野昌磨選手

今年1月からスイス・シャンペリーで生活をしている宇野昌磨選手。「僕は日本よりこっちの方が好きです。ただ電波が…」と笑う宇野選手が、「すごく大変でした」と2019-20シーズンを振り返った。

――本当にいろんなことがありましたね。心境もそうですし、改めて、怒涛といいますか…。

今となってはこうやって「いやー、あのときはね」みたいに笑い話になりますけど、本当にシーズンに入ったくらいからが、すごく大変でした。気持ちの問題とかいろいろあって、跳べない。跳べないけど、やらなきゃって思いながら練習して、すごく楽しくないスケートをしばらく続けていて。

その中での「ジャパンオープン」は、ボロボロの調子でしたけど、なんとかギリギリまとめて。次の試合もボロボロでしたけど何とかまとめて。「試合は集中すればなんとかなる」と思っていた中で、もうすべての糸が切れたかのように、ボロボロでやった「グランプリシーズ」でした。

あそこで、正直に言うと、今後のスケートのことを考えました。これだけ練習しても、全然ジャンプが跳べなくて、難易度も落としているのに、全然うまくいかない。このままトップで戦えなくなっていく自分も嫌だったし、何か試合も楽しくない、練習も楽しくない。

何のためにスケートやってるんだろうと思いながらやっていた中で、それがショートだったんですけど。フリーはとりあえず思いっきりやろう、どれだけ失敗しても「ああ…」と思わずに、次のジャンプに集中して、集中してやった結果があのような演技だった。

僕はその時の自分を受け入れて、今まで残した自分の成績だとか、過去の自分っていうものも考えないようにして、“僕はもうトップで戦えない存在になった”というのを受け入れた上で、もうちょっとスケートを楽しもうと。スケートを辞めようかなと思った自分もいたんですけど、これだけボロボロで、失うものもないし、楽しんでスケートしたいと思ってからが、結構、だんだん(調子が)戻っていきました。

――スケートを「辞める」という選択肢もあったかもしれないのですか?

本当にありました。家族と話した中で、スケートがそんなに辛いなら、今の自分が辛いなら休むことを考えたり、次の試合も出ないとか、「グランプリシリーズ」はもう(出ない)とか、話し合いました。だけど僕はもう、次も同じ演技をしてもいいから、とりあえず楽しんでスケートをしたい、思いっきり滑りたい、と思ったので。とりあえず一からやってみたいという思いで。また、そこからですね、僕の新しいシーズンは。

そうして飛び込んだ“チーム・シャンペリー”という新しい環境で、宇野選手が取り戻したものは何なのか。

銀メダリスト同士…「自分には皆がいる、と感じ自信を取り戻したのでは」

宇野選手を一番近くで見ているステファン・ランビエールコーチにインタビュー。

彼は、支えてくれる人が近くにいることで、責任を持った行動をするために必要な自信を得たと思います。これは、この数ヵ月で私が気付いたことです。もちろん彼は以前から、自分に何が必要で何をやるべきかわかっていたと思いますが、少し自信が足りなかったのかもしれません。「自分にはみんながいる」と感じられる環境があるから自信が戻ったのでしょう。

また、宇野選手を「現実的な性格」としたうえで「感受性もとても強い」と分析。ランビエールコーチ自身も、銀メダルを獲得した2006年のトリノオリンピック後に「内なる炎が失われた」と、大会を欠場したことがあった。その時の気持ちや、どのように立ち直り再び「内なる炎」を灯したのか、経験を踏まえて今の宇野選手への思いを語っている。

今の宇野選手は「まるで、火の玉のよう」と例えたランビエールコーチ。その言葉を聞いた宇野選手は、「今はスケートを楽しみたい。楽しみながら、これやろう、あれやろうという、スケートに対しての意欲に燃えているのかな」と、自身の心境の変化や、五輪メダリストとなった後で感じたことについても語った。

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