「西荻の会」2022が開催されました。
8月7日(日)放送の『ボクらの時代』(フジテレビ)は、伊東四朗さん、角野卓造さん、佐藤B作さんが登場しました。
今回は、番組15周年企画として放送。番組が始まった2007年に登場した3人が、再び顔をそろえました。
伊東四朗「3人で飲んでいても、誰も『芝居やろう』なんて言わない」
3人は、ドラマでの共演をきっかけに、「西荻の会」という飲み会を不定期に開催。親しくお酒を酌み交わす仲になったといいます。
伊東:私がやっているドラマで…。
佐藤:はい、そうでした。
伊東:私が刑事(役)だった。
佐藤:そうです。
伊東:(角野さんを指し)で、上司?
角野:ちょっと上司です。
伊東:(佐藤さんを指し)で、そのときに…。
佐藤:ゲストで呼んでいただいて。
伊東:それで、ワンシーン早く終わって、2人は帰ったんだよね。
佐藤:そうですね。
伊東:そしたら、「あの2人、これから飲みに行くみたいですよ」って。妙に、腹が立ってね。
角野:あはははは。
伊東:俺、あとワンシーンなんだから、待ちゃぁいいじゃないかと思ってさ。
佐藤:いやいや、伊東大先生を(誘うなんて…)。
角野:そのころは、伊東さんを誘うとか、想像だにしなかったもんな。
佐藤:うん。
佐藤:恐れ多いんですよ。
角野:そんなこと、考えもしなかった。
伊東:俺、恐れ多い人とは違うよ。
佐藤:まあ、よくわかりましたけど、最近は。
伊東&角野:(笑)。
伊東:いいね、わかってくれた?
佐藤:わかりました。
伊東:そうよ、こういう人ですから。
佐藤:はい。
伊東:それで、この3人でよく飲んでいても、誰も「芝居やろう」なんて言わないんだよ。なんで飲んでるときは、そういう話が出ないんだって。もうちょっと前向きな話をしたらどうなんだって、反省したことは…ないね。
佐藤:ないですね(笑)。
伊東:ないです。
角野:芝居やろうっていう話は、1回もしてないですもんね。
伊東:してないです、はい。
角野:人の悪口は、ずいぶん言いましたけどね(笑)。
伊東:悪口っていうのは、気持ちがいいですね~。
角野:気持ちがいいですよね。
佐藤:でも、みんな同じように思ってるっていうのも、恐ろしいですよね。
伊東:その人のことをね。
佐藤:その人のことを…。
伊東:コモンセンス(常識)なんだ。
角野:あはははは。
佐藤:おしゃれなことを、おっしゃいますね(笑)。
冒頭から、3人は、見事なかけ合いを見せました。
佐藤B作「一番好きな芝居は『その場しのぎの男たち』」
3人は、舞台人として、三谷幸喜さんとの出会いを語ります。
伊東:来年、呼んでもらった芝居。あれ、大丈夫かね?コロナ残るかな?
佐藤:この状況が、続いてるんじゃないですか。「その場しのぎの男たち」(※)って、(佐藤さんが主宰する、劇団東京ヴォードヴィルショー)30周年、40周年で記念公演やってきて。初演のときから、伊東さんに伊藤博文の役で出ていただいて。(来年迎える)50周年でも…僕、一番好きな芝居なんですよ。
(※)佐藤B作さん率いる劇団東京ヴォードヴィルショーのために、三谷幸喜さんが書き下ろした作品。来年迎える50周年公演でも上演予定。
伊東:ああ、そうなんだ。
佐藤:初めて(三谷さんに)書いてもらった作品なんですよ。(当時は)まだ無名のころですもんね。
伊東:渋谷で「12人の優しい日本人」だったかな…っていうのをやってますんで、観にきてくださいって言われて。行ったら、ともかく見事に、われわれがその何年か前にやってた「十二人の怒れる男」をパロディにしてやってたんで。「こんなことが書ける作家がいるんだな」と思って。
そして、角野さんも、三谷作品との出合いを語りました。
角野:Bさんはね、僕に三谷さんのことを「観ろ、観ろ」って薦めてきたんですよ。(観たら)もう、感動してね。「ああ、Bさんの言ってた通りだ」って。(佐藤さんに)あなた、もう出てたでしょ?あのときは。「ショウ・マスト・ゴー・オン」(※)かなんか。
(※)「ショウ・マスト・ゴー・オン」(1994年)。作・演出:三谷幸喜。公演を間近に控えた劇団で役者や裏方がアクシデントで迷走。それでも公演を成功させようとする姿をコミカルに描く。
佐藤:ああ、出てたかもしれないですね。
伊東:(佐藤さんに)「ショウ・マスト・ゴー・オン」、あんな大変な芝居を、君はよくやるな。
佐藤:いやいや、俺は最後の方にちょっと出るだけですから。それよりも、あれ、拝見したとき本当に驚きましたよ。「すごい作家が出てきたな」と思って。暗転がないんですよ。ずっとリアルタイムで進んでいって、進めば進むほど、どんどん状況が悪くなって、笑いが増えていくっていう芝居を書いているんですよ。そしたら本当に暗転なしで最後までいったんですよ。「すごいな、三谷幸喜」って。もう、すぐ楽屋行って「三谷くん、すごいよ!で、うちに書いてくれないか」って(笑)。
角野:あはははは。(目的は)それだ、それ(笑)!
佐藤:で、書いていただいたのが「その場しのぎの男たち」なの。
舞台人である3人にとって、三谷作品との出合いは、大きな衝撃だったようです。
角野卓造 別の道に進んだ息子に「半分うれしいような、半分さみしいような」
伊東さんは、2021年に次男・伊東孝明さんと舞台「みんながらくた」で、佐藤さんは、2016年に長男・佐藤銀平さんと舞台「あぶくしゃくりのブリガンテ」で親子共演を果たしています。
伊東:Bさんのとこが、赤坂で親子芝居をやったでしょう。
佐藤:はい。
伊東:うらやましいなと思いましたね。
角野:おやりになればいいのに。
伊東:いや、そこまで勇気ないです。
角野:勇気ないですか(笑)。
伊東:これは、ほかの芝居やるときよりも、何よりも勇気がいりますね。
角野:でも、お2人だけじゃないのはね、ご一緒に(やられて)。ああいうの見るとね、ちょっとうらやましいなと思うんですよね。
伊東:ああ、そうですかね。
角野:「息子が、芝居やってたらな…」とか思ったりする。ちょっとね、かすめたりするんですよ。いまさら手遅れですけど。
佐藤:いや、大変ですよね。
角野:うちはね、幼稚園のときから、親父が何やっているか、ちゃんと知ってもらいたいと思って、舞台稽古に来させたんですよね。とにかく、やっていることは全部見た。で、結局「役者になりたい」とは言わなかった。半分うれしいような、半分さみしいような気持ちも、ある。
佐藤:ああ。
角野:やってくれてもよかったなっていう気持ちもあるし。でも、きっとそれだと、こちらもちょっと気苦労があるかなっていう。どうなの、そのへんは?
佐藤:いや、俺はね。うちの息子には、こっちの世界にきてほしかった。大変な世界に、声かけちゃったかなっていう、申し訳ないなっていう気はある。
角野:ああ、(自分が)誘ったっていう思いはあるんだ?
佐藤:ある。大学に入るときも「文学部行け」とか。なんとなく演劇に関わるような導きをしちゃったからね。なんか、自分もできてないんだけど、やっぱりもっとできてない息子を見るじゃないですか。そうすると、「ああ、やっぱりな」って…。
伊東さんは、角野さんと佐藤さんが語る息子への思いに、黙って耳を傾けていました。
そして、最後は、長いキャリアを誇る3人が、俳優人生を振り返りました。
佐藤:自分は、芝居の世界に入ってきて、いろんな人に応援していただいてラッキーだったなって。いい作家とも出会えたし。
伊東:それは、大なり小なり、誰かのおかげですよね。
角野:そうですね。自分が努力しなかったとは思わないけれど、それで全部できたわけないんだから。
伊東:いや、誰かがいてくれましたね。
佐藤:そうですね。だから、うちの劇団員には「誰かが応援したくなるような人間になれよ」と言いながら、自分がそうなってないんですけども。アハハハハハ。
伊東:カタカナみたいな笑い方しないでくれ。
角野:今、吹き出しが見えましたよ。
伊東:ね(笑)。
最後まで笑いが絶えず、まだまだ語り足りない様子の3人。「おつかれさまでした」と撮影を終えたあと、伊東さんの「飲もうぜ!」という声が響きました。
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