子供の命を守るための「特別養子縁組制度」について、考えました。
女性が気になる話題について、スタジオで生討論を繰り広げるフジテレビ『ノンストップ!』の金曜恒例コーナー「ノンストップ!サミット」。
5月26日(金)の放送は、日本女子大学の林浩康教授をゲストに迎え、「今知っておきたい『特別養子縁組制度』」というテーマで、MCの設楽統さんと三上真奈フジテレビアナウンサー、千秋さん、カンニング竹山さん、「婦人公論」元編集長の三木哲男さんが話し合いました。
「特別養子縁組制度」と「普通養子縁組制度」の大きな違いは?
生みの親が育てるのが困難な状態の子を「養子」として受け入れる「普通養子縁組制度」とは異なり、「戸籍上の子供」として家庭で受け入れる「特別養子縁組制度」は、1987年にスタート。
林教授は、「子供の命を守るためにも、不妊治療に悩む夫婦のためにも、制度が広く知られてほしい」と語りました。
「普通養子縁組制度」の場合は、生みの親と育ての親の2つの親を持つので、生みの親が借金した場合など、生みの親の影響が子供に及ぶ可能性があります。一方で、育ての親との間で何かがあった場合には、縁を切ることができます。
しかし「特別養子縁組制度」の場合は、育ての親だけが「親」。「離縁」は原則認められないので、育ての親にも相当な覚悟が必要になります。
千秋さんも竹山さんも「日本は養子縁組制度が遅れている」と指摘。
千秋さんは「少し前までは『離婚』も珍しくて変な目で見られたりしたけれど、最近では普通になってきた。ハリウッドの俳優が養子の受け入れを公表したりするおかげで、海外では養子も普通に受け止められているし、日本でも見せ方を変えれば『特別なこと』ではなくなるのでは?」と訴えました。
子供を第三者に預けることが特別ではない社会に…千秋が追い詰められた母の思いを代弁
林教授は、出産後に子供を育てられない人たちが抱えている事情についても、解説。
例えば、虐待を受けて育った人は、実家との関係が悪く、産前産後の支援が受けづらいと孤独を感じるケースが多いといいます。
また、未婚や非婚で予期せぬ妊娠をした人は、結果として経済的不安を抱えるケースが多数。また、妊娠した際に父親が特定されず、子供を育てることに困難を感じる人も多いといいます。
番組では、妊娠相談をLINEで受け付けている認定NPO法人「フローレンス」の活動を取材。
さまざまなケースで悩んでいる妊婦をサポートしている「フローレンス」では、養子縁組に関するアドバイスを受けることも可能。また、必要な場合は妊娠にかかる費用の支援や、貧困家庭のための食料支援なども行っているそうです。
中絶を相談してきた人には、子供を育てられる状態になるまで預かってくれる乳児院などの福祉施設についても紹介しているという「フローレンス」の取り組みを知った三木さんは、「社会全体で子供を育てていく環境を作っていかないと、問題は解決しない」と述べました。
千秋さんは「虐待で子供が亡くなる事件があると、SNSなどで『殺す前に預けろ』という声があがるけれど、実際に預けても批判されてしまう。追い詰められた人を責める社会ではなく、みんなで子供を育てることが『特別』じゃない社会になればいい」と、メッセージを送りました。
「子育ての不安は養子も実子も変わらない」制度を利用した夫婦の本音
番組では、「フローレンス」が仲介して、「特別養子縁組制度」で生後0ヵ月の子の家族になった夫婦も取材しました。
5年に渡る不妊治療の中で制度を知った夫婦は、「虐待などで死んでしまう可能性のある子供が、私たちのところに来てもいいのでは」と考えるようになったといいます。
「特別養子縁組制度」で「親」になるためには、「夫婦仲が安定している」「経済的に安定している」「(夫婦のどちらか一方が)一定期間、子育てに専念できる」などの条件が設けられているそうですが、林教授は「受け入れる前にはきちんと研修を受けて、夫婦で話し合いをして、しっかり覚悟を固めていく流れになっている」と「条件」以外の部分についても説明。
実際、番組で取材した夫婦は、保育園で育児研修を受けたり、会社に妊娠せずに「親」になる可能性があることを説明したりと、さまざまな準備をしたそうですが、その中で「子育てに関する不安は、自分が生んだ子でも養子でも同じなのでは?」と考えるようになったといいます。
あらゆる準備を終え、2019年に「特別養子縁組制度」に登録し、女の子を受け入れたこの夫婦は「生みの親に感謝」と笑顔。しかし、「特別養子縁組制度」に登録したからといって、誰もが親になれるとは限らないのだとか。
赤ちゃんを受け入れても、戸籍上の家族になれるのは1年間の試験養育期間を経て、家庭裁判所に縁組の成立を認められてから。
林教授は「子供が知的障害や発達障害、身体的疾患を持っている可能性もある。覚悟をもって受け入れてほしい」と訴えました。
「血のつながった親子ではない」真実はいつ伝えるべき?
また林教授は、自分たちが血のつながった親子ではないという「真実告知」を、幼児のころからしておくべきだと主張しました。
「思春期などになってから打ち明けると、『なぜ今まで隠していたのか』と親に対して不信感を抱くケースが多い」と、早めに真実告知をしたほうがいい理由を説明。
親が子供に伝えなければいけないのは、「血縁がない」「生みの親に事情があった」「私たちはあなたを望んで受け入れた」の3つ。
林教授は、子供の年齢に合わせて丁寧に説明していくことが大事だと、語りました。
三木さんは「子供の知る権利は守られるべき」と前置きしつつ、「実際にいつどうやって(真実を)伝えるかは、ケースバイケースだと思う。特別養子縁組制度が、みんなが幸せになっていく道筋になればいい」と希望を持って語りました。
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