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三上博史 寺山修司と過ごした強烈な5年間「見るもの聞くものすべてがカッコよかった」

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オーディション会場で寺山修司から肩を叩かれ、「一瞬でデビューが決まった」

――15歳のときに寺山さんが監督した映画「草迷宮」(1979年)でデビュー。“呪縛”とまで言うほど、寺山さんから受けた影響は計り知れないのでは?改めて、初めてお会いした時のことを聞かせてください。

高校1年生のときに、「草迷宮」の主役募集の告知が載った新聞を同級生が持ってきて、「お前、これに出ろ」と言われたんです。

当時の僕は、高校に入学した時点で進学する大学まで決めていて、「きっちり4年で卒業して、高額の所得が得られるサラリーマンになる」という将来を思い描いていました。

ガチガチに自分でレールを作っていたんですね。正直、映画にそれほど興味はなかったけれど、高校の3年間と大学の4年間、就職する前の7年間のうちにやりたいことはすべて経験してしまおうと思って、応募してみました。

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学生服を着てオーディション会場に行ったのですが、エレベーターが開いた瞬間、目の前が劇場で、紫色の照明の中で裸の女性が踊ったりしている。「なんだ、これは」と呆然としていたら、遠くからカランカランという音がして、「うるせえな」と思って振り向いて睨んだら、ぽっくりサンダルを履いた寺山さんでした。

慌てて顔を戻したら後ろから肩を叩かれて、「名前と、オーディションの番号を教えて」と聞かれました。多分、あの一瞬で決まったのだと思います。

その後、映画「さらば箱舟」(1984年)でご一緒し、そのあと、すぐに亡くなられました。当時、僕は20歳。たった5年間しか交流はないのですが、多感な時期だったこともあり、見るもの聞くものすべてがカッコよく惹かれて、僕にとってはとても強烈な5年間でした。

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――寺山さんから受けたものの中で、最も大きなものとは?

既成の価値観を全部壊された。これが一番大きいと思います。「これがいい」とか「この色が綺麗」とか、基準みたいなものがあらかじめ壊されているので、自分はどれをいいと思うのか、はたしてそれでいいのか…。この年になってもその都度、考えています。

僕が出会ったころ、寺山さんはご病気だったので、ご本人からというよりは作品や、寺山さんの主宰されていた「演劇実験室◉天井棧敷」の劇団員の方たちから影響を受けたところも大きいです。

先輩たちの会話に(イタリアの映画監督)ピエル・パオロ・パゾリーニやフェデリコ・フェリーニなどの固有名詞が出てくると、メモをするのは恥ずかしいから胸に何回も刻んで覚えて、当時はネットもなかったので情報誌で探して、名画座のオールナイトを観に行ったりもしていました。寺山さんのルーツがどこにあるのかをとにかく知りたくて、必死で追いかけていました。

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