日本茶を通じて日本の伝統産業を世界へ。Crimson Forestが手掛ける日本茶専門越境EC「Tokyo Leaves」立ち上げまでのストーリーとは。
Crimson Forest(クリムゾンフォレスト)は、「日本が持てる良質な事業資源をリメイクする」ことを目指して2022年に創業しました。代表の荒賀真弓は、高齢化による伝統産業の廃業が相次ぐ姿を見て、長年の広告会社での経験と社会人大学院での学びを活かして生産者と世界中の消費者との懸け橋になりたいと考えました。
具体的には日本茶をその文化と共に海外に広め、日本の伝統産業の活性化に貢献する事業を行っています。事業の3本柱①日本茶の越境EC「Tokyo Leaves」②インバウンド及び在日外国人に向けた日本茶のワークショップ「Green moment」③海外でのポップアップショップなどのプロモーションが相互に融合し、それぞれが誘客し合う仕組みづくりをしています。
このストーリーでは、オリジナルブランド「Tokyo Leaves」の越境EC立ち上げまでの秘話と創業の想いについて紹介します。
茶道には心身を癒す不思議な力がある。大人になって気づいた身近なお茶の魅力
祖母が東京の自宅で茶道を教えていました。私は東京生まれですが、6歳から関西で育ちましたので日常的に茶道に触れていたわけではありませんが、幼少の頃より祖母の家に遊びに行くと、ままごとのように茶碗と茶筅を使ってお点前をしたり、稽古の方に混ざって抹茶をいただく機会がありました。新卒入社と共に上京し、25歳くらいから表千家に入門して本格的に茶道を始めました。 私にとっての茶道は、日々の喧騒と一線を画すヒーリングのようなもので、忙しい時ほど稽古に通い、一服の抹茶が心身にもたらす不思議な力を実感していました。また、自宅でもコーヒーより日本茶や紅茶を飲む習慣が圧倒的に多かったため、お茶は身近な存在でした。
国境を越える日本のおもてなし。アメリカで開いた茶会で感じた、日本文化や伝統産業の魅力
2012年から約1年間をアメリカのボストンで過ごしました。育児休暇を延長して、夫の大学院留学に帯同しました。そこでは、様々な国からの留学生が家族を連れて学びに来ており、お互いに自国の文化を紹介するコミュニティがありました。私も、日本から最低限の茶道具や着物を持参していたので、自宅に友人を招いて抹茶を点てたり和食をふるまったりしました。また、私自身も大学のサマースクールで語学を学び直し、「Japanese spirits OMOTENASHI」と題して、茶道をベースにした日本のおもてなし文化をプレゼンテーションしました。在米中最大のイベントは、夫の学校で日本文化を紹介する催しで茶会を開いたことです。会場に畳を敷き、20席くらいの小間を作りました。車でニューヨークの表千家の先生を訪ねて釜を借り、和菓子も用意しました。参加者は、畳敷きの小間のどこに座ってよいかもわからず、おどおどしながらも私の説明に従って正座で挨拶をして、和菓子をいただきながら一服の抹茶を楽しみました。着物を着てお点前をする私の一挙手一投足まで見逃さないように観察し、「なぜその作法をするのですか?」の質問攻めでした。この一件をはじめとして、米国滞在中の数々の経験から、日本人が忘れかけた文化や産業はまだまだ世界を魅了する力があるのだという事を確信しました。
日本文化を広めるために日本茶の勉強を重ね「Tokyo Leaves」創業へ
帰国後は、広告会社に復帰し多忙な業務を抱えながらも、少しずつ「日本の伝統的な文化や産業をどうしたら海外に広められるか」について考えるようになりました。広告会社での経験から、リサーチやマーケティング、PR、SNSやデジタルを使ったコミュニケーション戦略など「どう売るか」については知識がありましたが、企業としての戦略や財務、オペレーションなど川上の計画、つまり経営者目線が足りませんでした。そこで社会人大学院に通い、2年間経営学を学びMBAを取得しました。その間にも日本の伝統産業は事業主の高齢化による廃業が加速し、ニュースで見るだけでなく、身近な商店が閉店するのを目にするようになりました。
当初は、自分で起業することは考えていませんでした。なぜなら、既存の伝統産業をマーケティングやクリエイティブの力で蘇らせる事が目的だとすると、事業を引き継いだ方が効率的だと思い、M&Aを目指しました。しかし、マッチングに時間がかかりすぎることや、思ったような伝統産業が見つからないこともあり行き詰っていたところ、たまたま同様の越境ECサイトを立ち上げた人に出会い、事業を手伝わせてもらうことになりました。それまで日本茶の事業はイメージがなかったのですが、前述のような経緯から「日本茶」というキーワードにとても惹かれました。またリサーチの結果から、国内の日本茶産業がここ10年横ばいなのに対して、輸出はコロナ禍を経ても右肩上がりで伸び続けていることもこの事業を選ぶきっかけとなりました。2022年は219億円、10年で約3倍、2006年から比較すると約7倍にも拡大しています。(農水省調べ)
日本茶の事業を推進するにあたり、決定的に不足していたのは「日本茶がどのようにして作られ、どのように流通しているのか」についての知識でした。私は日本茶に親しみがあるというだけで、茶畑での生産方法も知らなければ農家から売り場へのバリューチェーンの仕組みすら知らなかったのです。その一通りをデスクリサーチだけではこなせないと感じ、日本茶インストラクター協会の通信講座を受講しました。インストラクターと聞くとお茶の淹れ方だけをレクチャーするものに聞こえますが、日本茶の歴史、チャの木の育て方、病害虫の話、製造工程、流通経路、表示法規、地域ごとの茶の種類、成分と効能、そしておいしい日本茶の淹れ方に至るまでを網羅し、資格も取得しました。こうして、創業に向けて走りながら不足している知識をおぎなって、2023年5月2日に「Tokyo Leaves」という越境ECサイトを開店しました。
「Tokyo Leaves」のネーミングに込めた想い。日本文化を発信するハブになりたい
「Tokyo Leaves」というネーミングを聞いて、東京はお茶の産地でもないのに不思議な感覚を持った方もいるかもしれません。このネーミングは、「情報とモノ(物流)の集積地、東京から新しい日本茶の価値を創造したい」という想いから付けたものです。
「Tokyo Leaves」は単なるショッピングサイトではありません。日本茶を起点とした日本文化のハブとしての機能を持たせたいと考えています。例えば、煎茶はもともと輸出用の産品として生産されたことをご存知でしょうか?また、煎茶も紅茶もほうじ茶も同じチャの木から作られていて、製造方法によって味わいも形状も違ったものになっている事、暑い日や寒い日など四季折々のお茶の味わい方、そして「茶飲み話」という言葉に代表されるように、日本の喫茶文化が最強のコミュニケーションツールになっていたことなど、“なんとなく触れてきた”日本茶の奥深さを掘り起こし、その魅力を再発見して伝えます。さらに「温故知新」をテーマに、ラテアートやビジュアルに凝った「目で楽しむ日本茶」など、日本茶のNEOな部分やあまり知られていない効果効能についての情報を盛り込み、仮想空間ならではのストーリーをもって発信します。そうすれば、海外の方には日本文化と共に日本茶を知ることができ、日本の方にもこれまで「飲食店でタダで出てくる飲み物」あるいは「ペットボトルで簡単に水分補給できる飲み物」としての位置づけから、もっと興味深いものにその地位が上がっていくのではないでしょうか。
日本茶を体験する楽しみ。Tokyo Leavesのワークショップ「Green moment」
越境ECサイト「Tokyo Leaves」は、日本茶の売り場としての拠点ですが、ここでいくら興味深い情報を発信しても、そもそも日本茶を飲んだことがない人がいきなり購入することは考えづらく、実体験が必要です。Tokyo Leavesのワークショップ「Green moment」は主に外国人に向けた「急須で日本茶を淹れる体験型ワークショップ」です。日本に来た外国人が日本茶を飲む機会は意外とどこにでもあると思います。蕎麦や寿司をはじめ和食のお店に入ると日本茶が出されます。自動販売機には必ずと言っていいほどペットボトルで日本茶が売っています。しかし、そこで日本茶の本当のおいしさに出会って興味を持つことは稀有ではないでしょうか。また、観光地で抹茶を点てるシーンを見る機会はあっても、急須で日本茶を淹れるシーンに出会う事はまずないでしょう。
日本茶(煎茶)をおいしく淹れるにはいくつかのコツがあって、なかでもお湯の温度が大切です。いきなり熱湯を注ぐと苦味ばかりが強くなり、逆にぬるいお湯を注ぐと水っぽくなります。一度沸かした熱湯を湯冷ましやマグカップなどに移すだけで、ぐっと甘みやうま味を引き出すことができるのです。ですから仮にお土産などで煎茶を買っても、コーヒーや紅茶のようにいつも同じ味にならないかもしれません。
さらに最近は日本人でも急須で日本茶を淹れる機会が減り、家に急須がないケースも多くなったので、このようなことを教わるチャンスもほぼないと思います。
一方で、ただ味わうだけでなく「自分で日本茶を淹れる楽しみを知る」って、ワクワクしませんか? 百聞は一見に如かず、体験ほど商品との距離を縮めるものはないと思っています。もちろん外国の方だけでなく、日本の方にも楽しんでいただけるコンテンツだと思います。現在は不定期で行っていますが、ご要望に応じてオリジナルで企画することも可能です。
現代的アプローチで日本の伝統産業の価値を昇華。そして世界へ。
今、日本は「忘れられた30年」と言われるように経済が停滞し、多くの伝統産業が価格競争に追われて衰退しています。てまひまをかけて作ったものでも売れなければ値引きするしか方法がないと、半ばあきらめのような売り方をしている企業をよく見かけます。しかし、マーケティングやブランディングでその商品の価値を再構築すれば、顧客と新たな接点を持てる商品はたくさんあるのです。そして、コロナ禍を経て人々の生活スタイルや嗜好が大きく変化しても、日本の技術や文化を価値に感じる人はまだまだたくさんいると確信しています。かつて日本茶が貿易の主要産物であったように、もっと世界の人々の身近な存在になりたい。デジタルが発展し、世界が近くなった今こそ顧客とどのようにしてコミュニケーションをとるのか、どのようにして顧客に必要とされるものになるか、を現代にふさわしい方法で定義していく必要があると考えます。ここは広告会社で培った知識と、時代の波にのる力を発揮して引き続き試行錯誤したいと思います。創業から1年、まだまだ駆け出しですが「SENCHA」や「MATCHA」が海外でファッショナブルなカルチャーとして浸透すること、そしてそれが日本に逆輸入されて次世代の日本茶文化が花開くことを夢見て活動しています。
https://tokyoleaves.com
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