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「現場監督が天職です」。出産を経て、育児をしながら「現場」に貢献する道を切り拓く女性社員の挑戦

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仕事が生きがいで、生涯現役で働きたいと願う女性が、出産を経たあとにどうキャリアを築いていくか──。「女性活躍」という言葉に違和感を抱くほど、女性が活躍することが当たり前になってきた令和の時代、そのキャリアの築き方は至上命題でもある。


特に、時間の融通を効かせるのが難しい「現場」の仕事では、その道は一筋縄ではいかない。お客様がいて納期のある建築現場の仕事は、リアルタイムな判断と返答が求められることも多く、育児と両立して仕事を続けることが困難になってしまう可能性もある。


そんな中、住友林業には「現場監督が天職」だと語るキャリアウーマンがいる。住宅建築の現場監督ひとすじでキャリアを築いてきた本薗早苗、40歳。彼女は2008年に新卒で住友林業に入社し、現場監督として住宅事業本部に配属された。そして2016年、32歳の時に社内の業績表彰「住宅生産部門」の受賞者に選ばれ、その後38歳で出産を経験、現在1歳半になる子どもを育てながら仕事に邁進している。さらには今年の1月から、他部署へ異動し新たなキャリアを築くなど、さらなる活躍を続けているのだ。


ただ、そこに至るまでにはさまざまな葛藤があったという。本薗は自身のキャリアについてどのように考えているのだろうか? これまでとこれからの話を聞いた。

設計職志望で入社したけれど、現場監督に憧れるように


本薗が住友林業に入社したのは2008年。大学で建築学科を専攻していた彼女は、そのまま建築の道に進もうと、まっすぐ就職活動に取り組んだ。企業研究を続ける中で、住友林業の木を活かす技術や事業に惹かれ、志願するようになったという。


「木の会社であることを活かして、住宅を建てる際に選べる内装材の種類が豊富であること、住宅以外にも幅広く事業展開していることを就職活動中に知ったのが、住友林業に興味を持ったきっかけです。なにより、人事担当をはじめ各職種の先輩社員から仕事への熱意が感じられ、自分に合っていそうだと思いました」


新卒で建築技術職として住友林業に入社すると、当時は1年間の研修を経て配属先が決定した。大きくわけて「設計担当」と「生産担当」の2つのキャリアルートがあり、設計担当は言葉通り住宅の設計にまつわる仕事を、生産担当は現場監督として実際に住宅が建つまでの監督業をする。


本薗は入社当時、設計担当を志望していた。けれど、1年間の研修を通して思いは変わっていった。当時の担当トレーナーや周りの先輩の仕事ぶりに感銘を受け、生産担当──つまりは現場監督を目指すようになっていたのだ。


住宅の工事現場は、机上の設計図通りに万事順調に進んでいくわけではない。施工誤差や木という天然素材ゆえの若干のズレ、図面上おさまっているものが製造過程で生まれる誤差によりおさまらないなど、現場では設計段階では予測できない問題が発生する。そういった事態ひとつひとつと向き合って、お客様の希望通りの家が建つように調整を重ねていくのが現場監督の仕事である。


「何千万円もかけてお客様に依頼していただく家ですから、私たちはより良いものを完成させる使命があります。提案と試行錯誤を重ねる『現場の意地』。それがとてもかっこいいなと思いました。設計担当ももちろん素敵な仕事ですが、生産担当もただ設計図通りに仕上げるのではなく、もうワンステップ、プラスアルファをお客様に提案するという誇り高い仕事だと知って、非常に魅力を感じましたね」


住友林業株式会社 住宅事業本部 生産統括部 多摩駐在担当 (当時)

本薗早苗

「現場監督の仕事が天職だと思っています」


実際に現場監督の職に就くようになり、本薗はこの仕事を「天職」だと思うようになったと語る。


「お客様や職人の方など、幅広い業種・年齢層の人の価値観に触れられることがとにかく楽しくて。お客様にもいろんな価値観の人がいますし、職人の方も、下は10代の方から上は70代の方までいらっしゃいます。もちろん年齢が違えば価値観や考え方も違い、私たちへの接し方、要望も全然違う。そういった関わる方とのコミュニケーションも楽しみながら、色々と勉強をさせていただいています」


現場監督の仕事は「5大管理」が重要だ。「顧客管理」「原価管理」「工程管理」「品質管理」「安全管理」──。お客様の希望を汲み取り、最後まで安心していただくこと。事業として成り立つための原価管理をすること。納期までに工事が完了するように工程の管理をすること。納期や金銭面だけではなく、しっかりとその品質まで担保すること。現場の安全を守ること。


住宅の工事現場では、本薗のような現場の指揮を執る監督が様々な業者を束ね、何十人もの職人が関わって、1つの工事が進んでいく。施工の難易度が高い物件もたくさんがあるが、そういう物件こそ無事終わったときの達成感は何にも変えがたいと本薗は続ける。彼女は、この仕事をすればするほど、その魅力に夢中になっていった。


悔しさを乗り越えて勝ち取った、業績表彰「住宅生産部門」受賞


とはいえ現場監督の仕事での苦労ももちろんあった。特にこの仕事は、女性の割合が低く、それゆえに苦労したことも多くあったという。


「20代の頃は、“若い女性”であるがゆえの悔しい思いをすることがたくさんありました。現場監督=男性だと当たり前のように思っていらっしゃる方も多かったので、初対面のお客様に『うちは女性の監督なんだ』と露骨にがっかりされてしまったり、社内からも『難易度の高い物件の担当は、若い女性には難しいだろう』と言われることがありました。」


現場を共にする職人の方から挨拶を無視されるなど、コミュニケーションの取りづらさを痛感する場面もあったという。


そんな本薗を支えたのは直属の上司だった。上司は本薗の年齢や性別ではなく、スキルを信じて支え続けてくれた。「本薗さんで大丈夫?」と言われた難易度の高い物件も、「本薗だったら大丈夫です」と一緒になってお客様や業者の方々に説明を重ねてくれた。「必ずいつかは難易度が高い物件を担当する日が来るんだから、今日がその日だと思ってやりなさい。お客様にとっては、現場監督に男も、女も関係ないよ」。その言葉が本薗のやる気を掻き立ててきた。


弛まぬ努力が功を奏し、本薗は32歳の時に快挙を成し遂げる。社内の業績表彰の受賞者に選ばれたのだ。年間の引き渡し物件数と、お客様アンケート(お客様の満足度評価)の点数、安全と品質の抜き打ち検査のトータル評価で1位の社員に与えられる名誉ある賞だ。この受賞をきっかけに、少しずつ本薗自身のマインドも変化していった。


業績表彰を受けた社員にだけ贈られるゴールドバッチ(右)


「仕事に慣れてきたのもありますが、賞を獲ってからはそれまで以上に難易度の高い物件や多くの現場を任せてもらえるようになりました。私自身も以前より自信を持って『これは違うだろう』と思ったことを誰に対してもちゃんと言えるようになりましたし、お客様にも色々な提案が出来るようになりました」。そう語る本薗の顔は、凛とした自信に包まれていた。

次は、自分のための人生も。出産・育児を経験して


「35歳までは仕事を全力でやること、生産グループの中で必ず結果を残すということは入社当時からの目標だったので、それまでは子どものことは考えずに仕事1本でやっていました。でも、ある程度仕事の理解が深まって来たかな、という思いが生まれてきた頃、今度は自分のための人生も大切にしていきたいと思いはじめて、38歳の時に長女を出産しました」


仕事人だった本薗が、母になった。つわりが酷く、産休に入る前も急きょ2ヶ月間の入院を要し、思うように働けない日々が続いた。当時担当していた現場を同僚たちに振り分け、サポートを受けながら産休ぎりぎりまで働き、その後1年間の育休を取得する。


これまで仕事ひとすじで生きてきた本薗は、その生活の変化をどのように感じていたのだろうか?


「子どもと過ごせる時間はもちろんうれしかったです。でも、育休期間の最初の3・4ヶ月は、3時間おきの授乳や夜泣きがあって寝不足になり、夫は仕事でほとんど家にいなかったので大変でしたね。現場で鍛えられてきたのでメンタルは強い方だと思っていたのですが、少し不安定になってしまって。」


アクティブな性格で、これまでたくさんの人と関わる仕事をしてきた本薗にとって、まだ会話もできない赤ちゃんと家に2人きり、社会との関わりを実感できない日々は想像以上にこたえるものがあった。本薗は2年間の育休を取得できたが、1年で復帰することを決めた。


「子育ては思い通りにいかないことが多くて、私にとっては仕事より大変です。仕事は自分の事前準備と采配・裁量次第で事前回避ができますが、子育てはそうはいかなくて。私は仕事をすることでストレスを発散できていて、ある意味、仕事に救われていたのだと育休取得をすることで知りました。仕事をする素晴らしさを改めて実感しましたね。」

育休復帰後の葛藤


育休が明けて、現場監督として復帰しようと考えていた本薗だが、出産にともなって職場から離れた土地に引っ越したこともあり、通勤に1時間半以上かかるようになっていた。保育園の送り迎えに加え、発熱やケガなどいつどんな呼び出しがかかるかわからない子育てと、タイムリーに判断を重ねる必要がある現場監督の仕事の両立は、どうシミュレーションしても難しいように思えた。


本薗は、出産前は年間30棟以上の現場を担当していたが、復帰にあたっては上司と相談し、子育てと仕事の両立を総合的に判断して「現場監督をしている同僚たちのサポート業務」「後輩の育成やアドバイス担当業務」という形で職場に復帰することが決まった。


本薗の復帰に合わせ、そのサポート業務には「生産支援職」という名前がつき、支店内のひとつの役割として設けられた。



復帰後の業務内容を決める時、上司から言われた言葉が本薗の心に残っているという。


「復帰前に上司に提示された業務内容のボリュームが結構多かったんです。育休後は17時に退社しているのですが、『こんなにできますかね、私?』というぐらい任せてくれて。始めてみて、時間的・物理的に業務量が多すぎたら調整していくから、まずはこのボリューム感でやってみてくれと言われて、それがうれしかったです」


これまでの自分の仕事ぶりを見て、信頼してくれて、復帰後も任せてくれる上司や同僚がいること。それは本薗にとって、仕事をより頑張ろうと思えるエネルギーになった。


ただ、復帰して3ヶ月ほどが経った頃には、本薗の中には「やはり現場に出たい!」という思いが膨らんでいった。たくさんの業務を任せてもらっているとはいえ、その内容は現場の施工図や発注内容・金額に間違いがないかを確認するなどの内勤業務がメインだったので、自分の裁量・判断で進める現場監督の仕事が恋しくなってきたのだ。


そこで、上司に率直に相談することに。「ちょっと現場の仕事がやりたくなってきてしまって……」。そういうと、本薗の性格を知っていた上司はその様子に気づいていたようで、「やっぱりそうだよね、現場出たいよね。」と、すぐに理解してくれた。そして無理をしない範囲で、現場監督として2棟の現場をふたたび持つようになったのだ。


「内勤業務も抱えているので、現場への移動時間などを考えると時間管理が大変ですが、やっぱり現場を間近で見られる監督の仕事は、楽しいなとあらためて感じました」と本薗は語る。

さらなる高みを目指して、後輩たちの見本になっていく


そんな本薗は、これだけ天職だと思っていた現場監督の仕事を一度離れ、今年の1月、スキルアップのために他部署へ異動した。住友林業では住宅のみならず、中大規模木造建築にも注力している。本薗の異動先はそういった事業を推進する部署である。


「少子化が進んでいく中で、住宅市場全体を見ると戸建て住宅の販売戸数は減少傾向にあります。その中で、弊社では中大規模木造建築にも力を入れている。いずれ中大規模木造建築の棟数が増えたら支店や営業所規模でも住宅以外の建築を担当する時代が来るかもしれないと思うんです。10年後そういう未来が来た時に、後輩たちに『住友林業は住宅だけではなくて、木の特性を生かした中大規模木造建築もこんな形でできるんだよ』ということを伝えられたらと思っています」


本薗のキャリアチェンジは、決して監督業が嫌になったわけでも、子育てとの両立に今の職種の働き方では合わないからという後ろ向きな理由でもない。あくまでも未来を見据えて、いつか現場に戻った時のことを考えて選んだ道なのだ。


本薗の直属の上司である、生産グループの次長である菅浩志は、こう語る。


「異動したいと言われた時は、正直とても寂しかったし困りました。それほどまでに本薗さんはチームに必要な人ですから。でも、彼女のキャリアを考えるといい選択だと思います。心から応援したいですね」


さらに、支店長(当時)である寺西正智もこう言葉を続けた。


「生産グループで働く女性として、本薗さんはパイオニアです。彼女がいてくれたからこそ「生産支援職」という新しい役割ができて、それは後続する子育て社員にとっても革新的なことだったと思います」。


既存のルールに社員のキャリアを当てはめていくのではなく、社員の要望や状態に合わせ、柔軟にポジションをつくり、キャリアを「共に」つくっていく──。それができるのは、誰よりも仕事に対する情熱を持つ社員と、その社員の活躍する道をつくりたいと願う職場の意志が揃っているからできることなのだろう。


(写真右)住宅事業本部 多摩支店長(当時) 寺西正智

(写真中央)住宅事業本部 多摩支店 生産グループ次長 菅浩志


最後に、本薗に女性としてキャリアを築くことについてメッセージをもらった。


「周りを信用して、自分がやりたいと思ったことを素直に声に出していたら、意外と周りはやらせてくれると思うんです。中には、育休を取ったあとは責任ある仕事を任せてもらえないんじゃないかと自信がなくなり、会社で居場所がないように感じている方もいるかもしれません。でも、日本は今いろんな業界で働き手不足だと思うので、自分がもっとやってみたい、チャレンジしてみたいと思う仕事は、声に出して上司や周りに相談してみたらいいんじゃないでしょうか。そういう熱意を聞いて、嫌な顔をする人って、きっといないと思うんですよね。」


好きな仕事を見つけ、その仕事に邁進し、出産や育児も諦めることなく両立してキャリアを築いていく。想像を絶する大変さがそこにはあるが、目の前に起きる課題や自分自身の気持ちとひとつずつ向き合い、働く仲間と対話を重ね、乗り越え、変化させていく。そうすることで、きっと女性のキャリアはひらけていくのだろう。住友林業には、それができる柔軟な環境と人財が揃っている。


本薗が勤務する住宅事業本部 多摩支店(当時)のメンバー





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