悩みぬいた末に44歳の母親がスイスでの安楽死を決意

「私だって生きられるなら死にたくない」…そんな思いを抱えながら命の決断をした女性がいます。

家族4人でゲームを楽しみ、笑い、語り合う…夫と2人の娘と暮らすマユミさん(44)と家族は、この楽しそうな様子からは想像できないほどの苦悩と向き合ってきました。

3年前、マユミさんに見つかった子宮頸がん。抗がん剤治療などを尽くしたものの、がんは再発を繰り返し、全身に広がっていきました。そして脳への転移。耐えがたい苦痛の中で、彼女はある選択肢を考え始めます。

スイスでの “安楽死”。日本では認められていない選択肢です。悩み抜いた末にマユミさんは、スイスへ渡ることを決断します。

空港で娘2人との別れを惜しむマユミさん

闘病する姿を見てきた高校3年生の長女(18)は母の決断に理解を示すものの、小学6年生の次女(12)は、すぐには受け入れられません。人生を連れ添ってきた夫のマコトさん(48)は、戸惑いながらも、その決断を受け入れました。

マコトさんは、最愛の妻の最後の願いに応えようと、ともにスイスへ渡航し、最期の瞬間に付き添います。最期の日を前に、スイス観光を楽しむ2人。子育てと仕事に追われ、夫婦旅など考えもしなかったのに、それが実現したのは、まさか妻が人生を終える時だなんて…。

日本にいる娘と最後の通話をするマユミさんと寄り添う夫

そして迎えた人生最期の日。ベッドの横には夫、そして、スマホにはテレビ電話でつないだ娘たちの顔…。生きることと死ぬこと。自ら人生の幕引きを決めた母の決断に向きあった家族の記録です。