長尾獣医師が震災後、避難所を回っていて目撃したのは…
長尾獣医師:
震災から2週間が経ったころ、とある避難所の玄関先で、犬を連れた高齢女性が段ボール1枚を敷いただけの状態で避難生活をしていました。
話を聞くと、ペット連れのため避難所の中には入れず、玄関先ならどうぞ、となったそうです。
その高齢女性は「通りすがる子供らがかわいいねと犬を撫でてくれ、犬もしっぽを振って喜んでいるので、自分はここに避難できて幸せです」と話していましたが…この酷暑の中、2週間もの間、お年寄りが段ボール1枚の硬い床で寝泊まりしていることの、なんと悲惨なことでしょう。
この過酷な現実を皆さんにも知って頂きたいです。
長尾獣医師は、ペット同伴避難可能な施設が足りないのはもちろん、その在り方にも改善の余地があるのではないかと指摘します。
長尾獣医師:
例えばペットと車中泊をしている場合、ペットを車に置いたままにはできないので、家の片付けや仕事復帰もままなりません。
安心して預ける場所があるなど、ペットに関する不安を解消してあげることが飼い主の時間や心の余裕につながり、復旧への後押しとなります。
一時預かりや診察など様々な選択肢でサポートしたいと考えています。
また長尾獣医師は飼い主に対しても、平時からペットがケージに入れるように訓練することや、万が一の時の預け先を考えておく、フードやお薬など最低1週間分の防災グッズを揃えておくなど、準備の大切さも呼びかけています。
一時預かりから1カ月後、長尾獣医師のもとを訪れた上田さん。
ペット可の物件が見つかり生活が整ったので、ひなちゃんをお迎えにきました。
震災後、がれきの中で痩せてしまったひなちゃんは、預けられた1カ月間ですっかり回復し、
見た目もふっくらツヤツヤに戻りました。
上田さん:
先生や看護師さんにかわいがられ、コロコロとお腹を見せてリラックスしていたので、安心して預けられました。気持ちも前向きになり、復旧にも注力できたので感謝しています。
ひなちゃんは今、引っ越し先の新居内を、きょろきょろと探索して回っているそうです。
災害が多発する現在、ペットの被災は避けて通れません。
ほとんどの飼い主がペットと行動を共にする以上、人を救うためにも、ペットを救う必要があります。
多くの家庭でペットが飼われている中、避難所の在り方や被災者支援の方法も、改めて見直すべきタイミングが来ています。
(取材・執筆 丸山薫)
■熊本県獣医師会 被災でのペットの一時預かり
受付窓口:一般社団法人熊本県獣医師会
連絡先 :090-7481-3406
受付時間:月~金曜の9時~16時(祝日を除く)
※義援金の受付: https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/30/275568.html
