青島たちに託した“約束” 最後のセリフは「頼んだぞ、警察を」
和久が青島に教えた「正しいことをしたければ偉くなれ」という言葉は、やがて青島と室井の「組織の壁を越え、捜査員全員が正しいと信じたことをできる警察に変える」という”踊る”シリーズの根幹とも言える約束へとつながっていきます。
和久がこの言葉を青島に告げたのは、和久自身にも、青島と室井のように約束を交わした人物がいたからでした。
再雇用職員制度で研修に来た警察官の指導員になり、再び湾岸署で働くことになった和久。『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!』(1998年)では、副総監が誘拐されるという事件が発生し、本部からなかなか情報が渡されない中、和久は現役の刑事さながら単独捜査に出ます。
実は、この副総監の吉田敏明(神山繁)こそ、和久と“現場の刑事が正しいことができるようにする”という約束を交わした人だったのです。
無事に解放された吉田が記者に囲まれる中、視線を交わしうなずき合う姿は、和久と吉田の絆と歴史を感じさせます。
『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年)では、そんな吉田が退官することに。その決断に、和久自身も潮時を悟りながら「若いもんに何一つしてやれなかったな」と後悔を語り合います。
そんな中、湾岸署の刑事・恩田すみれ(深津絵里)が、被疑者に銃撃され負傷。捜査の指揮をとっていた管理官の沖田仁美(真矢ミキ)は、所轄に雑用を押しつけて捜査に参加させないという方針をとっていましたが、すみれの負傷をうけてもなお、所轄を捨て駒のように扱います。
そんな沖田に、和久は「もうお前の命令なんか聞けるか!俺たち下っ端はな、あんたが大理石の階段を上ってる間、地べた這いずり回ってんだ。文句も言わず命令通りにな!」と反発。「これ以上、若いもんを傷つけないでくれ」と言い残し、すみれが運ばれた病院へと向かいます。
処置中のすみれを見守りながら、次第に涙があふれだす和久。その涙から、和久がいかに後輩たちを大切に思っているか、そして所轄の扱いを変えられなかった悔しさと無念が伝わってきます。
被疑者を無事確保し、病院へと駆けつける青島と室井。信念を貫き、本庁と所轄一丸となって事件を解決に導いた2人を見た和久は「頼んだぞ、警察を。なんてな」と告げ、病院をあとにしました。
和久を演じたいかりや長介さんは、本作公開の8ヵ月後にこの世を去り、青島と室井に警察の未来を託したこの言葉が、和久平八郎として最後のセリフとなりました。
甥(おい)やノートが登場!受け継がれていく和久の言葉
『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』(2010年)では、和久の甥(おい)、和久伸次郎(伊藤淳史)が、湾岸署刑事課強行犯係に配属され、形見分けでもらったという、和久の言葉がびっしりと書かれたノートを持ってきました。
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(2012年)では、室井が青島への思いを後輩たちにしみじみと語った後に「なんてな」と和久の口癖を付け加えるなど、和久の存在は、湾岸署の人々はもちろん、本庁で働く室井にも影響を与えています。
そして「『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』特別映像 ~オリジナルメンバー篇~」にも、和久の名前が登場しています。
和久に育てられた刑事・青島は、出会った頃の和久の年齢に近づいた今、どんな姿をみせてくれるのでしょうか。
