新幹線の高速運転を支える様々な設備に異常がないか、時速270kmで走りながら点検することから、“新幹線のお医者さん”と親しまれた「ドクターイエロー」

運行スケジュールが非公開のため、なかなか姿を見ることができず、“見ると幸せが訪れる”とも言われてきましたが、1月29日、老朽化のため「ドクターイエローT4」がラストランを迎えました。

運行最終日、始発の博多駅には最後に一目見ようと、多くの人が…。

「約23年間お疲れさまでした。ドクターイエローT4編成、最終運行へ出発いたします。皆さま盛大にお見送り下さい」

駅員の粋なアナウンスとともに出発するT4、走行する車両の窓には、「ありがとうT4」と感謝のメッセージが貼られていました。

午後6時前に終点の東京駅に到着、集まった人々から歓声が上がりました。

「うわ!本物だ!かっこいい!」

初めてドクターイエローを見たという家族は、その興奮をこう話します。

ラストランを見に来た家族:
(息子に)私たち夫婦から最初、初めてプラレールをプレゼントしたのがドクターイエローだったので、それをいつか見せてあげたいなと思っていて。きょう最後の日だということで、家族で来ました。
(見ることができて)感動しました!一緒にプラレールで遊んでいたものが目の前に来た!っていう。子育て中も結構、ドクターイエローのプラレールで遊ばせていたりして助かっていた部分があるので、見られてよかったなと思いました。

約10分間、駅に停車し最後の姿を披露すると、大きな歓声に包まれながら車両基地へと向かいます。

車両基地のそばでは、“本当の最後”を撮影しようとカメラを構える男性の姿がありました。
長年、ドクターイエローメインで撮り続けてきたという、吉田匡さん(50)。

ドクターイエローを撮影し続けている 吉田匡さん:
東京駅とかすごいことになっていると思うんですけども、さみしくしんみりとお別れできるかと。

これまでに撮影した写真を見せてもらうと、建設が進む高輪ゲートウェイシティとドクターイエローという珍しい組み合わせの写真。

出張先の京都で撮影したものや、富士山をバックに撮影したものなど、様々なドクターイエローの姿が収められていました。

取材スタッフ:
大井車両基地にドクターイエローの姿が見えてきました。ゆっくりとドクターイエローが車庫に入っていきます。

ドクターイエローを撮影し続けている 吉田匡さん:
終わりました…。
もうああなったら動かないので、もう、ありがとうですね…ありがとうございましたですね。

残るドクターイエローは、JR西日本が所有する923形T5編成のみ。
こちらも2027年以降をめどに引退を予定しており、その後は、今までの特別車両ではなく、主力車両の「N700S」に検測機器を搭載し、営業走行しながら検測する方法に切り替える計画です。

最後まで仕事を…電車大好き芸人語る“有終の美”

「めざまし8」のスタジオには、ドクターイエロー大好き歴27年、電車大好き芸人のななめ45°岡安章介さんが登場。

ななめ45°岡安章介:
私は残念ながら仕事で、見に行くことができなかったんですが、映像では見させていただいて。もう、感動しました。

そんなT4引退の映像を見て、岡安さんはあることに気がついたといいます。
それは、ドクターイエローの“点検にかける姿勢”です。

ななめ45°岡安章介:
仕事が終わって、もう車両基地に帰るときに、まだパンタグラフにライトが当たっているんです。もう仕事は終わっているのに、まだ!
パンタグラフがちゃんと動いているかどうかを点検する用に、(屋根上に)ライトがついているんですが、もうライトをつけなくてもいいはずなのに、車両基地に帰るまで点検!これがもう“有終の美”ですよね。

(『めざまし8』 2025年1月30日放送より)